+++
「神多くんすごーい! 次あたしたちもやりたいー!」
「うん。じゃあ簡単な催眠術を、みんなでやってみようか」
——部活をなくさないために。
「そこ盛り上がってるけど、神多くんたち、次は移動教室だからねー!」
「ありがとう。じゃあこれが最後な」
——おれたちの活動を認めてもらう。
「ねえ、どうしたのあの子。あんなに喋ってたっけ。あれ、なんか変な催眠かかってるの?」
「一ノ瀬先生も気づきましたぁ〜? 神、がんばってるんですよ〜最近」
——それがおれの最重要ミッションだから。
そのためになら、人に媚びるしコミュりもしてやる。
「わーすごーい! 手上がってるー!」
「うおっ、俺も俺も!」
——噂が広がる前に、身近な人からの信頼を得ればいい。
「はは……。二人ともかかりやすいよ、ここまでかかる人は珍しいかもね」
——それくらい、容易いことだから……。
「……」
「キョーくん?」
「……あ、ごめんなに? にっちゃん」
「いをりくん、最近ちょっと変だよね?」
「今は仕方ないんじゃない」
「えー冷たくない?」
「やれることはやってもらわないと」
「うーん。ぶっちゃけ、あたしはそこまでして動画を続けなくてもと思うんだよ……」
「……」
今、どうしても頑張らないと。
きっとおれは、ずっと後悔するだろうから。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!