DEAD END 〜『神』と名乗るおっさん系女子は、定期的にお賽銭を要求してくる〜

天下をとりに行くぞ!ヒロ!
平木明日香
平木明日香

悪霊退治

第8話

公開日時: 2024年11月27日(水) 08:37
文字数:966



 「ヒロ兄!朝だぞ!」


 「んー…」



 ガラッ!と、襖が開く。


 閉め切ったカーテンの隙間から、朝の日差しが差し込んでいた。



 「大貴と瑠奈の朝ごはんは作ってるから、あと戸締りよろしく!」



 …やべ


 今日俺の当番だったっけ…


 バタンっと扉が閉じる音が聞こえて、バタバタと理佐が走っていく。


 相変わらず元気だな。


 高校から女子サッカー部に入ってる関係で、朝練があるっぽい。


 まだ7時にもなってないってのに、ジャージに着替えて自転車を走らせてる。


 俺だったら無理だ。


 そもそも、スポーツは苦手だし。



 「にいちゃん起きるの遅い」


 「うっせ」


 「理佐姉にちゃんとお礼言った?」


 「もう出てった」


 「ちゃんと言わなきゃだめだよ?」


 「わかってるわかってる」

 


 瑠奈と大貴。


 俺の妹と、弟。


 俺ん家は4人兄弟だった。


 妹と弟の他に兄貴がいて、兄貴は今県外で一人暮らしをしてる。



 …ってか、目玉焼き??


 理佐のやつ、いつの間に覚えたんだ?


 元々料理が苦手だったから、冷凍物ばっかりを朝に食べてたんだ。


 当番が寝坊したりする時は。



 「おい大貴、テレビ見ながらメシ食うな」



 大貴は今小6だ。


 来年、ようやく中学に上がる。


 相変わらず好き嫌いが激しいっていうか、わがままばっかり言うやつで、少し扱いに困ってる。


 性格は父さん似で、少しおとなしめな感じ。


 根は真面目なんだが、ほっとくとろくでもないやつになりそうで怖いんだ。


 ネジが一本抜けてるっていうか?


 ゲームばっかして勉強もろくにしないから、成績も下から数えた方が早いんだ。


 母さんは基本放任主義だから、誰かが厳しくしとかないと。


 反面教師じゃないけど、俺が困ったっていうのもあるからさ?


 高校受験の時に、もっと勉強しとけば良かったって。


 

 (ふわぁ…)



 …ようやく起きたのかよ


 俺より早く寝て、俺より遅くに起きるとか良い身分だな。


 ここら一帯の土地を管轄している「神」にしては、随分と情けない体たらくだ。


 普段からろくに仕事もしていないから、体が鈍りまくってるんじゃないか?


 理佐が作った目玉焼きと、焼きたてのトーストを頬張りながら、朝の支度をした。


 俺は理佐と違って、朝から部活があるわけじゃない。


 書道部なんてほとんど趣味みたいもんだった。


 部員数だってそんなに多くない。


 少なくはないが、他の部に比べたら規模が小さい。


 サボっても怒られることはなかった。


 顧問は顧問で、剣道部との兼任っていう状況だから。



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