その劣等生、実は最強賢者

未来人A
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第4話 魔法練習②

公開日時: 2020年10月26日(月) 13:01
文字数:1,638

 マナの接触。



 ここから徐々に魔法を使っている、という感覚になってくる。


  通常マナはものに触れることが出来ないが、接触を覚えると、それを触れられるようになる。


 習得は非常に難しく、ゼロから習得しようと思ったら、普通は一年はかかる。

 才能のない者は、習得することすらできない。


 前世の俺は習得に一か月ほどかかっている。


 今回は一から習得するわけではないので、そこまではかからないだろうが、今日中に習得できるか微妙だ。


 まあ、とにかく練習してみよう。


 俺はマナを操作し、手のような形にする。

 それで地面の芝生を引っこ抜こうとする。


 例のごとく、前世と同じ感覚でやっても成功はしない。


 試行錯誤を繰り返す。

 なかなかできるようにならない。

 視認、解放、操作とはやはり難易度が違う。


 元々現実の物に触れることの出来ないマナを、触れられるようにするには、強いイメージ力が必要だ。


 絶対に触れられるんだと、心の底から信じ込む必要がある。



 集中力を限界まで高めて、邪念を心から全て捨て去る。



 すると、僅かに草が動いた。



 現在無風。



 息を止めていた間に動いたので、高確率で今のはマナの接触に少し成功したから動いたのだ。


 先ほどの感覚を思い出しながら、もう一度試す。


 再び草が揺れる。


 先ほどより強く揺れた。



 …………掴んだ!!



 俺は感覚を掴んだと確信を込めて、もう一度マナを操作し芝を引っこ抜こうとする。



 綺麗に芝が地面から引っこ抜かれた。

 


「はぁはぁ、成功した」



 疲れた。

 肉体ではなく精神的な疲れだ。

 相当な集中力を持って、今の接触を使った。


 出来ないことを習得する時は、高い集中力が必要だ。一度習得したら、ここまで集中しなくても使えるようになる。



 今の感覚を忘れないよう何度か、芝を抜き、完全に我が物とした。



 一度覚えた感覚を、忘れてしまう魔法使いもいるのだが、俺はそういった事とは無縁だった。



 ふと周囲を見ると、だいぶ明るくなっていた。



 もうすぐ寮の生徒たちが起きる時間だ。

 練習はもうやめにしよう。



 1日でマナの接触まで使えるようになったのは幸先がいい。



 残りは七つ。


 変質(マナの質を変える。硬くしたり、柔らかくしたり、粘着するようにしたり、高反発にしたり)

 ↓

 変化I(マナを違う物質に変化させる。火にしたり、水にしたり、雷にしたり、鉄にしたり)

 ↓

 付与(マナが纏っている自分以外の物質の、攻撃力防御力を上げる)

 ↓

 特殊(一人につき、一つだけ、特別な魔法を使うことができる)

 ↓

 放出(マナを高エネルギー物質に変換して、撃ち放つ)

 ↓

 吸収(空気中に含まれているマナを吸収し、瞬時に回復する)

 ↓

 回復・修復(自身のマナに触れている物質を回復・修復する)

 ↓

 変化II(自身のマナに触れている物質を、別の物質に変化させる)


 という感じだ。

 前世ではこれらすべてを習得したものを賢者と称していた。


 賢者と呼ばれていた俺は、変化IIまで使用することができた。ここまで習得しなければ、賢者の石を作成することは出来ない。


 変化Ⅱを使用して賢者の石の作成は行われるためだ。

 マナの質が悪いと、どうしてもそこで不純物が入ってしまうのだ。


 ちなみに転生の魔法は特殊を習得時に、使えるようになった。


 付与を完全に習得し、しばらくすると才能のある者は、天啓を受けるかのように特殊魔法が使えるようになる。


 才能のない者は、特殊が使えるようにならず、それより先を習得できなくなってしまう。


 今世での俺はどうかというと、今の時点では何も言えないが、純粋印がある者は高確率で特殊魔法が使えるようになるという事実がある。


 マナの質により、魔法の先天的な才能は比例する傾向にあるのだ。


 前世での俺は、質が悪いのに賢者と呼ばれるほど魔法を極めたが、これは物凄く珍しいケースだ。

  

 幸運と、それから血の滲むような努力が必要となる。それだけの努力を前世ではやっていた。



 さて、部屋に戻るか。



 次からは、さらに習得難易度が上がる。

 今は学園は長期休暇に入っており、一週間後くらいに、始業するようなので、何とかそれまでに変質と変化Ⅰを習得しておきたい。





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