そこは、八百万の神々が宿る大地だった。
アスカ皇国――
ユーラシア大陸の極東に位置する、弓状列島で構成された小さな国だ。
しかしながら、この国を小国と侮る国家は存在しない。独自の訓練法により超人のごとく鍛えられたこの国の兵士達は、一人が並の兵士十倍に匹敵する戦力を誇り、あるいは一騎当千と謳われる武将が何人もいた。
かつては、大陸に存在する大国が、領土としてこの国を併合するべく、幾度となく派兵をしているが、そのことごとくを打ち破り、ただの一度も他国に侵略されたことのない、おそろしく強兵の国である。
また、この国には、以前から他の地にない特色があるという。そのひとつが、この土地にはあらゆる神々が存在し、各地にその神社が建立されていることだ。
その祀られる神の多さから、この地を神州と呼ぶ者もいるようだが、この国の領内では、活力の流れが変質しており、多くの神々の力が影響しているからではないかと言われている。
理力文明の最盛期――
理力の源である惑星の活力が異界に漏れ出し、緩やかな涸渇に向かう最中、世界を二分する大国間の戦争が勃発した。
世界の動乱を括り抜けるようにしながら、アーク王国第一王女、ステファニー・ティファ・メレイ・アークは、軍属のステフ・ティファ・マクベインとして、王家直轄特務隊を率い、活力流出問題を解決すべく動き始めた。
活力流出を止める方法は、神器・《ソルブライト》を介して、惑星の活力を司る精霊王たる五柱の女神と契約を交わし、精霊王の力を結集すること。
アテネ王国と自国のアークにおいて、大地と水、二柱の精霊王と契約したステファニーが向かう先は、火の精霊王が待つというアスカ皇国だ。
そしてその傍らには、彼女が選んだ騎士にして、蒼穹の神眼を持つ男、ダーン・エリン・フォン・アルドナーグの姿が常にあった。
八百万の神宿るこの地に、アークの至宝と謳われた理力科学を担う姫君が降り立つ時、数奇なる運命はまたも複雑に絡み合う。
超常の神剣を巡る伝説、第二幕の開幕――!
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