魔神、リンザー・グレモリーに囚われたステファニーは――
※本エピソードから数話は、性的な表現を含んでおりますので、あらかじめご了承ねがいます。
「15歳未満のよい子のみんなは、読んじゃいけないぞ☆」
身体がふわふわと浮いている感覚。その感覚は曖昧だけど、何故か身体の奥の方で妙な違和感を感じていた。
朦朧とする意識は、少しずつ回復していくが、身体はほとんど動かせない。まるで金縛りにあったかのようだ。
「う……あぅ……ん」
妙に熱い吐息を漏らし、少女は必死に自分という意識を取り戻す。
「おやおや……これは驚いたわん。この状態から意識を取り戻すなんてね」
耳障りな、女の甲高く全てを卑下したような声。それを聞いて、少女は本能的に危機感を覚えた。ようやく、意識だけはまともになっていく。
「グレモリー……ね。ここは、どこ?」
惚けそうになる思考を、強靱な精神が叱咤する。確認できる範囲での情報から、ステファニーは自分が捕らえられたことを認識していた。
「その精神力は大したものね。ここは、私の城よ、人間のお姫さま。クックックッ……囚われの身になったお気分はどうかしら?」
「気分は最悪だわ。ところで、あたし身体が動かないんだけど、なんで?」
気怠そうに軽口をたたくステファニー、その身体は、特に拘束されているわけではない。ただし、寝かされているのは大理石の床で、しかも数セグメライ(センチメートル)程の深さにお湯が張られていた。
仰向けの彼女は、髪が湯面に広がり、衣服も濡れてしまっている。
「あらら、気丈ですこと。ここには、私達二人以外、だぁれも居ないんだから、無理しないで、泣き叫んでもいいのよぅ」
ステファニーを見下ろして、リンザーは口角を吊り上げる。
「泣き叫ぶほど元気じゃないわ。もう少し回復させてくれたら、そうしてあげるかもよ」
「あははっ、それは無理ねぇ。ところでその魔湯の湯加減はどうかしらん?」
「魔湯?」
「ええ、そうよぅ。ここの部屋は、貴女のために特別に作らせたものなのよん。なんかぁ、アークのお姫さまはぁ、お忍びで温泉街に通うほどぉ、温泉好きって聞いたからぁ、『寝湯』っていうのー? 用意してみましたあ」
いちいち鼻につく言い方で、リンザーは足元の湯面を軽く素足で蹴って、湯飛沫をステファニーにはねかける。跳ねた湯が、ステファニーの胸や腹部の布地に落ちた、その瞬間――
「ふぁ……っ」
漏れ出す惚けた声混じりの吐息。ステファニーの全身に、まるで電気のように甘い痺れが走り抜けた。
「クックックッ……いい声出すじゃない、ステフちゃん。この魔湯はねぇ、私の魔力がたーっぷりと混ざってるのよん。こうして、私の素足からね」
軽く空中に浮いて、虚空に腰かける仕草になるリンザーは、素足を湯面に入れて軽くかき混ぜる。広がっていくいくつもの波紋が、ステファニーの身体に打ち寄せる度に――
「ふっ……っ……はぁっ……んん……っ」
パーティードレスを脱がされ、薄い布地のドレスインナーを着ただけの肢体が、艶めかしく脈打つ。
「あははっ! やーっぱり、ステフちゃんってば、感じやすいのねぇ。気の強い娘ほどアレっていうカンジぃ?」
「う……こんなの、なによッ。そ……それより、ルナフィスは? あの子はどこにいるのよ?」
「へー、ホントに気丈ねぇ。んー、言いにくいんだけどぉ、ルナフィスちゃんはね、今頃、もーっと幸せいっぱいなエロイベントで、たーっくさんの亜人さん達に、いっぱいいっぱい可愛がってもらってるのよぉ。ママになれたら、連絡するねって、言ってたわん」
「……嘘ね」
「……ふぅん?」
「ほら、やっぱり……表情が堅くなったわ。そもそも、貴女みたいな人なら、ルナフィスがひどい目にあっている姿の映像なりを撮って、私に見せつけるでしょ? それをしないで、殊更に勿体ぶった言い方するんだから、ルナフィスは無事なのよ。」
「ホントに賢しいお嬢ちゃんね。いいわ、教えてあげる。本当に、オーク共をけしかけて、ズタボロに犯してやろうと思ったんだけどねぇ……。ステフちゃんが倒したはずの、吸血鬼のお兄さんが、なんと復活して邪魔をしてくれたのよ」
「へ? あの変態吸血鬼が? それって、逆にピンチなんじゃ……」
「アイツも相当嫌われてるわねぇ。でも、憎たらしいことに、貴女が知っている彼とは別人の性格よん。今頃、アーク王宮に帰っているんじゃないかなぁ」
「へぇー。でも……そっか、ルナフィスは無事なのね……よかっ……ふぁあッ!」
ルナフィスの無事に安堵しかけたステファニーが、突然嬌声を上げて全身を強ばらせた。その姿を見て、リンザーは喉を鳴らして笑う。
「クハハハ! 油断したわね、ステフちゃん。気を張って警戒していれば、ある程度抑えられても、そうやって気を許すと、私の魔力はすぐに浸食していくのよ」
「こ、これぇ……な……んでッ」
ステファニーは身をよじらせて、熱い吐息を漏らす。上気した顔で、瞳はうつろになり、意識が再び朦朧としかけた。
「ふふん……頑張るわねぇ。もうわかっていると思うけどぉ、その魔湯の効果で、ステフちゃんは自由に身体を動かせなくなってるのよん。それにしてもさ、お湯って便利よね」
再び、足先で湯面を軽くかき混ぜながら、リンザーは言葉を紡いでいく。
「こうやってさぁ……ぬるま湯位にしてあげれば、ただの湯であっても、貴女たち人間は気持ちがいいのでしょう? 人間の身体は、そのほとんどが水分だしぃ、全身を直に包んで対流するのだから、これに色々仕掛ければ、あらゆる呪術効果を超簡単に施せるのよぉ」
話しながら、少しずつ湯面をかき混ぜる速さを上げていくリンザー。広がっていく波紋が大きくなり、湯面だけでなく、湯全体が揺れ始めると、そこに軽く浮かんでいたステファニーも、僅かにゆらゆらと揺れ始めた。
「ぃ……やぁ……っ……んんっ」
身体以上に、自身の奥にある何かを、滅茶苦茶に揺らされる感覚。魔力を帯びた湯は、剥き出しの肩やスカートの中の脚に纏わり付いて、細かな気泡が肌の上を転がるかのような刺激を与えてくる。
柔らかで微かなその刺激が、全身をなめ回して、少女の身体を嬲り続けた。
「あははっ。さらにねぇ、女の子ならわかってると思うけどぉ……お湯ってさ、大事なトコロにも入っちゃうことあるよね……ほぉぅらぁ」
愉悦に口角を吊り上げるリンザーは、さらに魔力を湯に溶かし込んで、それをステファニーへと小さな波にして送る。僅かに紫色に光るその波は、催淫効果を強めた。
淫靡な魔力を帯びた魔湯が、下着を抜けて肌に染み入っていく。その感覚にステファニーは全身を震わせた。
粘膜を浸透して毛細血管から全身を巡る血流へと、異質な何かが彼女の身体を侵犯する。
魔力の影響で弛緩した気怠い肉体は、彼女の意志とは乖離していく。
さらにリンザーは、執拗に湯面をかき混ぜ、魔力の波が次々に襲いかかった。無遠慮に執拗に、甘美なる悪意が少女の無垢な身体を嬲り続け、無抵抗なその身は勝手に昂ぶっていき――
「ぃや、いやぁ……ふぁッ……ンんっ……っ……んんああっ!」
染みこんだ魔力にあてられて、女性としての器官が小刻みに蠕動し、その刺激に全身の筋肉が軽く硬直すると、肺にたまっていた空気が恍惚な吐息になって吐き出された。
咄嗟に抑えようとしてもどうしようもない。
それは肉体的に甘美な感覚。
だが、理性と精神には耐え難い屈辱。
上質な甘みの菓子を無理やり口に押し込まれたかのようだ。
そして……。
魔力に侵された肉体は、いつまでもその快楽を貪ろうとし、心が満たされていない快楽は、彼女の精神を蝕み続ける。
朦朧とし上気した瞳が半ばに開き、琥珀の光は微かに濁りを帯びていた。
その瞳の下、朱の差した頬に、髪飾りにしていた桜の花びらが張り付いて、さらに魔力の帯びる湯面を、髪留めから剥がれ落ちた花びらが浮かんで流れていく。
「あーらぁ、ステフちゃん、もしかして今のでイッちゃたのぉ? んふふっ、ほーんとにエッチな身体ねぇ。でもほら、まだまだ満たされてないでしょう?」
リンザーは、わざとらしく蔑視する視線と嘲笑を落としながら、再び柔らかく湯面を揺らす。恥辱と屈辱にまみれた少女の精神を、嫌悪すべき甘い全身の痺れが蝕み続けた。
「やぁ……んもうっ……こんな……ゃめ……ってぇ……」
一度火のついた身体は、とめどなく襲ってくる淫靡な魔力と湯の温かさに抗えず、虚ろに拒絶する言葉を吐くが、吐息は冷めることがない。
「あははっ……苦しいでしょう? このまま、完全に満たされずにいつまでも続くわよぅ。きっと、貴女の心もいつかは壊れちゃって、何もかも受け入れたくなるの」
「そ……んな……こと、ないっ……っん」
リンザーの甘く撫でる声に、必死で抵抗するステファニー。その姿を見下ろしながら、リンザーはほくそ笑む。
そもそもリンザーは、先ほどステファニーが目を覚ましたこと自体に驚いていた。それは、彼女に施している『魔湯』が、本来意識を失っている間に肉体と精神を浸食し、目覚めることなくリンザーの意のままになる目算だったからだ。
それが、身体はほとんど動かせないながらも、ステファニーは目を覚まし、先程まで生意気な口をきいていたではないか。
実に、面白い小娘だと思った。
魔に抗う人並みならぬ強靱な精神を、少しずつ嬲り続け、陥落させたい。
そんな愉悦を見出したリンザーは、湯の中に溶かす魔力を強めていった。
言葉を巧みに操りながら、ルナフィスの安否を教えてやったりもして、心の油断を誘い、催淫の呪術効果をもって、少女の羞恥と屈辱を煽りながら、女としての理性と本能を鬩ぎ合わせている。
それでも、なお抗おうとするステファニーの手応えが、この魔神を心底愉しませていた。
だが、本来の目的も忘れてはいない。
「んふふっ……ステフちゃん、心が壊れちゃう前に聞いておきたいわん。これに答えてくれたら、こんなこと止めて、ちゃーんと王宮に帰してあげる」
「んっ……くっ……何よ?」
「超弦加速器の理論を完成させているわね? それ、私に教えてくれないかなぁ?」
リンザーの問いかけに、ステファニーの瞳が一瞬大きく開かれる。
超弦加速器――
それは、端的に言えば、物体を超光速にまで加速するための装置だ。これを組み込めば、物理上の絶対的な壁でもある、光速度不変の方則を覆すという、究極の超常現象を引き起こすことが出来る。
「そ……んな、夢物語みたいなモノ、あるわけないわ……科学をバカにしてるの?」
一瞬前よりも、ステファニーの意識がハッキリしていた。おそらくは、リンザーが超弦加速器についての話題をふっかけたおかげで、理性的な思考を外因的に促されたからだろうか。いや、それだけで理性が回復するならば、リンザーが僅かにでも怪訝な表情を滲ませはしない。
「ホントに、恐ろしく強靱な自我ね」
「なによ?」
「んー、こっちの話よん。それより、科学をバカにねぇ……。それは、貴女がしていることなんじゃないかなぁ、ステフちゃん。これまでの定説や常識を覆すということは、そういうことでしょ」
「知らないわ」
「んふふふふ……」
リンザーは含み笑いながら、虚空を水平に滑ると、ステファニーの真上に滞空する。そして、素足を彼女の胸元へともっていった。
「それにしても、大っきくて柔らかそうねぇ」
口角を吊り上げ、右足の爪先でステファニーの乳房、その脇の付け根あたりを、弧を描いて優しく撫で上げる。
「なにを……? ひっ……ぁっ」
途端に、ステファニーの全身を淫靡な刺激が駆け抜ける。
「んふっ……ここのところ、乳腺って言うんだっけ? こうして擦り上げるとたまんないでしょう……ほーら」
薄ら笑いながらのリンザーは、胸の外側の付け根あたりを、爪先で小さな円をいくつも描くようにする。魔湯に濡れた薄い布地と下着越しに、柔らかでありながら張りのある感触で遊んでいた。
唇を強く噛んで、襲いかかる甘美な衝動に耐えるステファニーだったが、身体の芯の方から鈍く響いてくるその火照りに、なんとか声を殺して悶えるしかなかった。
「きゃははっ! 耐える耐えるぅ……さすがはステフちゃんね。でもぉ、コッチの方をこーしたら――」
魔力の灯る足先を、今度はステファニーの胸からゆっくりと下に滑らせて、濡れた布地の上からもうっすらとわかるへそのまわりを、軽く撫でまわす。そして、そのすぐ下の下腹部、ちょうどへそと恥骨の間あたりを、少し強めに圧して、腹膜とその奥の器官を揺らし始めた。
「んひっ? ッんんんんっ!! やっ! いやぁ! だめぇぇえッ」
全身を震わせて、一際大きな声を上げ始めるステファニー。
「アハハハハッ! ここまで火がついた身体だと、すっごいでしょう? これが子宮で感じる快楽よ、ステフちゃぁんっ!」
足の指を少女の下腹部へと軽く埋没させて、小刻みに足を揺らし続ける。リンザーは、魔力のほとばしる瞳を妖しく光らせて、愉悦にその顔を歪ませた。
「ひあっ! あっ! あっ! んあっ! あああっ!」
琥珀の瞳が虚ろに開き、焦点が合わないままに虚空を見る。襲いかかる強い性的衝動が、少女の精神を嬲り、初めて味わう深く重い刺激に恐怖すら覚えた。
「さあ、ホントのことを言いなさい。貴女、知っているんでしょう? 科学を超えた禁断の技術理論を! 人が手にした神も魔も超越する究極の超常を! それを私に捧げなさい! さもなくば……」
リンザーは、言葉を一度切ると同時にステファニーへの責めを止める。上気し蕩けた表情のまま、胸を大きく上下させて荒い呼吸を繰り返すステファニーに、冷たい視線を落とす。
異界の魔神なれど、汚れを知らないステファニーの身体は、やはり無二の美しさだと感嘆していた。それを眺める度に、リンザーは思ってきたことがある。
リンザーは、魔神としての本体である魔神魂を複写し、他の肉体にそれを宿らせて、己が分身として自由に行動することが出来る。この美しいステファニーの肉体を奪い、人間共の女王として君臨、異界の領地と共にこちらの世界をも支配し、力とすることを夢見ていたのだ。
しかも、脳細胞さえ無事なら、この娘の精神が崩壊しようとも、その知識は全て自分のものとして奪える。
当初予想していたよりも、はるかに強靱な精神を持つ小娘だが、このまま嬲り続ければいずれその精神には限界がくるだろう。
二つの世界を自由に支配する自分を夢見て、リンザーはゆっくりとその足を振り上げる。眼下の少女の肉体、濡れたインナードレスが張り付いて、さらに目立つようにそびえる二つの丘陵、その一つのもっとも頂点を見定めて――
「この私を受け入れ、全て私のものになるがいい!」
己が望みをぶちまけつつ、振り上げた素足を振り下ろした。その足の爪先が、僅かに少女の敏感な突起に擦って、薄い布地を透過して強烈な刺激が突き抜ける。
少女の絶叫が無慈悲に響き、魔神の嘲笑がその金切り声に混ざって消えた。
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