悪夢の医療アドバイスAI

HasumiChouji H
HasumiChouji

2年目 4月

公開日時: 2021年9月16日(木) 12:30
文字数:677

『P*R検査は偽陽性が高いのでお勧め出来ません。抗原検査をやるべきです。簡易抗原検査キットは騾苦電ショッピングまで。3日以内に結果が出ます』

「いや、待て。偽陽性率がどれ位になるかは、感染者率によって大きく違うから、これだけ感染者が増えた状況では、偽陽性率は下ってる筈……」

『それはニセ科学です。抗原検査をお勧めします。簡易抗原検査キットは、ヤマモトヒロトシ系列のドラッグストアでも販売しています。最寄りのヤマモトヒロトシ系列のドラッグストアへの経路探索を行ないますか?』

「前より酷くなってない……? ちょっとソースコード見せて……」

「は……はい……」

 俺が表示したソースコードを10分ほど見た指導教官は溜息を付いた。

「あのさ……この文章解析の部品モジュール、処理は軽いけど、文章の意味や文脈まで『理解』してる訳じゃないから、そりゃ変な事になるよ」

「は……はぁ……」

「あと、学習データを選別したと言っても……単に君が信用出来ると思ってるSNS上の意見を学習させただけじゃないの?」

「ええっと……なんと言うか……そうです」

「だったら、単なる君の分身……それも君を頭悪くしたような代物が出来上がるに決ってるでしょ」

「あ……」

「大体、AIの学習って、要は統計の一種だから、現在進行形で起きてる事だと……嫌でも、学習が終った頃には状況が変ってるような事態にならない?」

「ええっと……」

「今、流行ってる例の病気についてアドバイスするAIってのに無理が無い?」

「……すいません……就活のエントリーシートに……『修論のテーマは例の病気についてアドバイスするAI』って書いちゃいました」

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