●前回のおさらい●
クラスでの苛めの主犯格である掛川一味を追い詰めていく歩美。
掛川の取り巻きである『ミサミサ』と『姫』を上手く撃退した歩美は、最後の締めに、掛川の机を叩きながら詰め寄っていく。
うわっ、信じられない。
『ダンッ!!』って机を叩いたら、メッチャ埃舞ったよ。
それに、この子、絶対、毎日、風呂入ってないんじゃないの?
なんか、どこがどうって訳じゃないんだけど、なんか微妙に汚いよぉ。
いやだなぁ。
話、早く終わらそっ……なんか臭いし。
「ねぇ、掛川さん。これだけ証拠が有っても、まだ自分じゃないって言うの?お友達は認めちゃったよ」
「私……私は知らない!!証拠だってないでしょ!!」
「ふ~~ん」
あぁ~あっ『私は』なんて言って、とうとう友達見捨てたよ、この人。
それにねぇ、アンタ、相当な馬鹿だから、ハッキリ言うけどね。
私を、そこら辺の『苛められるだけの子』と一緒にして貰っちゃあ困るなぁ。
私は『虐め対策』にかけたら、もぅプロの域だよ。
そんな私が、まずにしてアッサリと机に書かれた証拠を、全部消すとでも思ってるの?
どんなお人好しよ……それ。
私は威嚇をする為に『キミっち』の机の脚を『ガンガン』っと蹴り始めた。
「証拠……無いと思ってるの?」
満面の笑みで答えてあげた。
「そんなのしてないんだから、有る訳が無いでしょ!!」
「アンタこそ、なに言ってんのかなぁ?そんなの全部有るに決まってるじゃん」
更に、先程より強く机の足を蹴る。
「なっ、何よ!!何が有るって言うのよ!!ホントは、なにもないくせに」
「朝、私が落書き消す前に『写メ』撮ってんだけど……見る?これって、アンタの絵じゃないの?」
落書きを、携帯の待ち受けにしていた私は『キミっち』の目の前数センチまで出す。
「知らない、知らない。知らないわよ」
「ねぇ、ほんとに知らないのぉ?」
今度は『キミっち』の顔にグリグリと携帯を思い切り押し当てて、さらに尋問を続ける。
……って、あっ!!しまった!!
こんな事したら、私の大切な携帯が『キミっち油』でベットリになってるかも……
可哀想な私の携帯、後で、ちゃんと洗ってあげるからね。
「ねぇ……ねぇ……」
「しっ、知らないって言ってるでしょ!!」
「あぁ~そぉ、まだそんな事を言うんだ。じゃあさぁ、ちょっと、これ、借りるね」
「あっ!!」
私は、不意に『キミっち』の机に置いてあるノートを奪い取った。
大体『腐女子』の子って、自分のノートに『妄想』をぶつけて落書きしてるでしょ。
絶対、明確な証拠になる物が、何か描いてる筈。
「やっ、やめて!!やめてよぉ」
「……ププッ」
無視してノートをペラペラと捲る。
書かれているものは、中学生にしては、そこそこ上手い美形男子の絵。
その美形キャラに付随する、何が何か訳が解らない事細かな設定。
そんなものが、所狭しとノートいっぱいに描かれてる。
アンタ等……ちょっとは勉強したら?
マジで馬鹿になるよ。
それにさぁ、なに、この幼稚な設定?
『xさhdh星の王子様』って、そんなの絶対に居ないって……
夢見るのは良いけど、ほんとアンタ等、年幾つよ?
・・・・・・
うわっ、これは凄っ!!
コイツ等って、普段から、こんな事ばっかり考えてんだ。
これを見たら、さっきの幼稚な物の方が、幾らかまっしに見える。
男同士が裸で……その……Hしてるのよ。
しかも、その男ってのが『影山』と『龍斗』らしき人物……
うわ~~~、嫌だなぁ、これ。
影山にHされて、龍斗の奴、かなり気持ち良さそうに喘いでるよ……流石に、これはキツイ。
にしても、誰よ、これ?
影山は、奈々の彼氏だから良いとして。
龍斗は、そんなにキラキラした『美形』じゃないと思うんだけど。
そんな中、私はノートの最後ら辺で『淫乱牛チチ』を発見。
見事なまでに、完璧に下書きされてる。
しかも、恒例の設定付きで……
まさかとは思っって見たんだけど、証拠……残ってるよ『キミっち』
こんな落書きにすら、完璧を求める『腐女子』って、一体なんなんだろうか?
「なぁ~にかなぁ~、これ?」
『キミっち』のオゾマシイ妄想が書かれたデスノートで、ペシペシと彼女の頭を叩く。
「……」
「黙ってちゃ解んないでしょ……謝らないと、此処で、みんなに、これを見せて『虐め』るよぉ。きっとさぁ、みんな、アンタが私より『ブス』だから、容赦なく虐めるよぉ」
頭を叩きながら、彼女の耳元で、そう呟く。
『ブス』の子って、必ず小学生の間に1度は理由なく虐められてる筈。
だから、この一言は、彼女にとってはトラウマにスイッチが入って、また虐められる恐怖が蘇って来るから、かなり怖い筈。
んっ?
じゃあ、なんで私は平気かって?
そりゃあ、いつも傍に龍斗いるも~ん!!
さぁ~てさて、守ってくれる人がいない(仮)『キミっち』は、どうするのかなぁ~?
逆ギレ?
それとも自白して謝る?
別に私は、どっちでも良いけどね。
「……ごっ、ごめんなさい」
はぁ~、良かった。
意外な程に、素直に謝ってくれた。
流石に此処まで証拠を挙げられて、逆ギレなんかされたら、私も多分、許さなかっただろうな。
「良いよ」
でも、謝ってくれた以上。
それ以上、彼女を追い込む意味はない。
『窮鼠猫を噛む』なんて諺がある位だからね。
下手に刺激して、噛まれたら堪ったもんじゃない。
私は猫顔だから猫だし、掛川一味は全員汚いから鼠。
これで噛みつかれた日にゃ、諺通りになっちゃうよぉ。
それに『ペスト』怖いし。
だから、もぅ許す!!
それに結局、あの馬鹿が好きだから、こんな事になったんだし、彼氏の責任は、彼女の責任でも有る訳さ。
「あんな酷い事したのに許してくれるの?」
「うん。もぅ良いよ。終わった事を愚痴愚痴と言うの好きじゃないし、ネチネチするのは、もっと嫌。だから、もうこの話は、お仕舞い……でも、ほんとに、もう辞めてね」
「うん、もう絶対しない」
「私も……ごめんなさい。もうしません」
「私も……」
「良いの、良いの。私も、結構、酷い事を言ったし。私も謝るね……ごめんね」
「……謝らなくても」
「でも、このノートは没収ね。……彼氏を、こんな風に描かれるのは、流石に不快。龍斗はホモじゃないからね」
「「「えぇえぇぇええぇぇぇ~~~~ッ!!」」」
まぁそんな感じで、教室内での虐めは万事上手く纏まった訳さ。
いやいや、此処だけでも、こんなに早く『虐め』解決するなんて初めてだよ。
ほんとほんと、相手がまだ言葉を解ってくれて、ホント良かった。
***
なんて思っていたのも束の間。
放課後、奈々は、家の用事が有るとかで部活はサポタージュ。
私1人で、相変わらず、容赦のないキツイ部活が終わって、安心して、上靴を履き替え様として、靴箱を空けたら……
『もわ~~~~ん。もわ~ん。もわん……』な訳よ。
しかも、しかもだよ!!
信じられない事に。
私が、この世で一番嫌いな食材である『納豆』をローファーの中に、これ見よがしに、満タン入れられてる訳よ。
更に親切な事に『ねぎ』『からし』『醤油』まで山盛りにかけられて……
はぁ~、もぅ嫌だぁ~。
これを私に、どうしろって言うのよ?
『食べろ』とでも言いたい訳?
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