【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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結局、私は龍斗さえいれば、後はどうでも良いんだ……

公開日時: 2021年9月7日(火) 00:20
文字数:2,519

●前回のおさらい●

苛めと言う嫌な事があった分、返ってきた幸せは大きかった。


龍斗のお父さんと一緒に新潟に行った筈の龍斗が、歩美の前に現れて、歩美の気持ちをほぐしてくれた。


そして、その上。

給料3か月分の指輪迄プレゼントされるが……


その理由に、イマイチ納得出来ない歩美は、その指輪を……

「じゃあイラナイ……返す」

「ちょ……オマエ、それは無いだろ」

「だって、そんな高い物、意味も無く貰えないでしょ」

「じゃあよぉ。意味が有ったら、貰ってくれるのかよぉ?」

「意味?……意味ってなによ?」


とうとう、なんか意味の解らない事を言い出した。


って言うか、元々自分の彼女にプレゼントするのに、意味なんか有るの?


そりゃあ全然無くはないだろうけど、なんか深い意味が有るのかなぁ。



「まぁ大した事じゃないんだけどさぁ。ほら、お前ってモテるだろ」

「はい?」

「なんつぅ~かさぁ……俺、お前限定だけど、結構、嫉妬深いんだよな」

「はぁ?」


正に、予想もしなかった回答が返ってきた。


なにそれ?


大体、私がモテるってなによ?

そんな話、誰にも聞いた事も無いわよ。



「アンタ、なに言ってるの?私、モテた事なんか一度もないんだけど」

「あんなぁ、勘弁してくれよ歩美。……オマエは、なんも知んねぇかもしらねぇけどさぁ。オマエって、実は、男子の人気高いんだぜ」

「はぁ?だから、そんな話、誰からも聞いた事も無いけど」

「そりゃあ多分、声を掛け難いんじゃないか?オマエって、怖そうなイメージが付いてるからな」

「はぁ?なんで?なんで私に怖いイメージなんか?」

「多分な。……普段から、俺を、あんなバシバシ殴る女なんか、早々いないからな」

「だって、それは幼馴染だからさぁ……」


知らなかった。


私ってば、いつの間にか、そんな怖いイメージで見られてたんだ。



「まぁ、そんな話は、さて置き、兎に角、オマエはモテるんだよ。だからな、俺は気が気じゃない訳だ」

「まぁ、それが理由なのかも知れないけどさぁ。なんかしっくり来ない話ね」

「あぁそぅ。オマエって、そんな『天然』だっけか?」

「なんでそうなるのよ?」


うぅ~~~、昨日の奈々に引き続き、龍斗にまで、また『天然』って言われた。


なんで、みんなして、私の事を『天然』『天然』言うかなぁ。

私、全然、天然じゃないのにさぁ。



「俺はな、安心したいんだよ」

「はい?ゴメン。なんか良く解らないよ」

「……1つ聞くけど、それって『新手のボケ』か?」

「だ~か~ら~」

「わぁった、わぁった。ちゃんと説明するよ……ったく」

「……うん」


兎に角、意味が解らない以上、説明して貰う事は大事。

その話を、ちゃんと聞こうと思って2度ほど頷いて見せた。


なのに龍斗は、何故か神妙な顔をした上で、顔を赤らめてる。


なんで、そうなるんだろ?


よく解んないや。



「良いか、まず『モテる』って事を、前提に置くぞ」

「龍斗が?」

「オマエがだよ!!」

「あぁ……うん」


怒られた。



「んでだ。その上で、彼氏になったとは言え、俺は気が気じゃない訳だ」

「なんで?」

「オマエ、マジか?」


龍斗は1つ勘違いしてる。


まぁ仮にコイツが言う様に、私がモテたとしても、そんな事は大した問題じゃない。


だって私は、龍斗以外の男性には興味ないもん。



「……てかさぁ。例え、そうだとしても、私、他の男子なんかに全然興味ないし。だから、アンタがいれば、そんなの関係ないじゃん。……それともなに?それって、私が信用されて無いって事なの?」

「まぁ、そう言う訳じゃないんだけどよぉ。なんか自分の彼女がモテるって、結構、辛いんだわ」


アンタが、それを言うか!!

それこそ、私の方が気が気じゃないわ!!


でもさぁ、なんかコイツも、そんな餓鬼みたいな所が有ったんだ。


『独占欲』なんて、超可愛いじゃん。



「そ・れ・で?」

「いや、それでも、何も……」


此処に来て、私の意地悪モード発動。


もぅ私ってば。

此処は素直に嬉しいって言えれば良いのにさぁ……ほんとにねぇ。


それが言えないから私なんだけどね。



「じゃあ返す」

「だからよぉ。それじゃあ、話が最初に戻んだろうが」

「だって~、そんなツマラナイ理由じゃあ貰えないよぉ」

「ツマラナイって、オマエなぁ」

「ってか、アンタ、馬鹿じゃないの?心配しなくても、私は、龍斗以外の誰も好きにならないよ。……口だけじゃ信じられない?それともアンタが好きになった女は、そんな尻軽なの?」

「そっか……そうだよな。お前の言う通りだよな。なんか1人で盛り上がって女々しいな俺」


あぁ、なんか凹んじゃった。


喜ぶと思って買ってきたものを。

そんな言われ方で突き返されたら、そりゃそうなるだろうけどさぁ。


そんなに強烈に凹まなくても……


ど~うしよう?


こんな経験した事無いから、対応法なんか知らないよぉ。


え~~~い!!悩んでても仕方ない。

解らないけど、こんな感じでいいのかなぁ?


私が咄嗟に思いついた事、それは、実に子供っぽいものだった。


ほっぺに『チュッ』



うわあああぁぁぁ~~~!!やっては見たものの、死ぬほど恥ずかしいよぉ。



「歩美?……」

「なに凹んでるのよぉ。元気出して……ほぉらぁ~」

「別に凹んじゃいないけど……その指輪、どうしようかなっとか思ってさ」

「じゃあさぁ……その時まで、私が預かっててあげるよ」


満面の笑みで答えてみる。


きっとコイツとなら、そうなる筈だし……ふふふ。


イケナイ、イケナイ顔が微笑じゃなくて、ニヤけてきた。



「なんだよ、その時って?」


なのに、コイツは、こんな感じ。


意外に、空気読めないな。


アンタの方が天然なんじゃないの?



「この指輪、給料三か月分なんでしょ……もぉ!!何言わせるのよ。恥ずかしいなぁ」


あぁ~~~、何言ってんだ私!!


ついつい雰囲気に流されて、本音が出ちゃったよぉ。



「えぇっと、それって……」

「うっ、うるさ~~~~い!!兎に角、そう言う事は、そう言う事なの!!」


相変わらず、直ぐに表情に出る私は、あっと言う間に顔が真っ赤。


きっとこれは、夕焼けのせいだね。

うんうん、そうに違いない。



「いや、あの、まぁ、その時は、もっと良いのを買ってやるって」

「これで良いの……うぅん。これが良いの。だってさぁ、龍斗と付き合って、初めて貰ったプレゼントだもん」

「そっか」


いつの間にか私は、学校の『虐め』の話なんか、スッカリ忘れて完全に『幸せモード』

なんかもぅ、学校の苛めの事なんて、適当にしとけば、どうにかなるだろし、どうでも良いや。


でも、結局そうなったって事は、コイツに助けられたって事なんだろうな。


ほんと、お節介な奴。


でも、そこが好きなんだけどね。


ははっ、惚気惚気。

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