【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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もぉ、お母さん……

公開日時: 2021年9月17日(金) 00:20
文字数:1,718

●前回のおさらい●


過酷な芸能生活を送る羽目になった歩美は、心身ともにボロボロ。


そんな中、芸能活動がOFFの日に成り。

意地でも学校に向かおうとするのだが。

それには『自分の誕生日を龍斗に伝えたい』っと言う強い意志が込められていた。


そして家を出ると……

「よっ!!って……歩美、お前、なに朝っぱら家の前でニヤけてんだ?気持ち悪っ」


うわっ!!龍斗!!


なんでアンタが此処に居るのよ?



私、今、家から出たところだよ。



「あっ、あの……その……うるさい!!アンタこそ、なんで此処に居るのよ?」

「はぁ?いや、別に、大した意味なんか無ぇけど……今日OFFだし、いつもより早くセットが決まって暇だったから、お前を迎えに来ただけだけど。なんかオカシイか?」


ほんと嫌だな、コイツは……


タイミング良く、直ぐに、こんな事するでしょ。



もぅ……ねぇ。



「あっそ、じゃあ、サッサと行こっか」

「あれ?何だよ、珍しいな。今日は突っかかって来ないのか?な~んか拍子抜けな感じだな」

「なんかさ……こう言うのも新鮮で嬉しいじゃん」

「そっ……そうだな」


ホント珍しく、素直に相手にモノを伝えられた。

龍斗が迎えに来てくれた事が、私自身相当嬉しかったんだろうな。


その分、龍斗は、いつもにない反応に対応しきれずに困惑してるけど。


ちょっと良い雰囲気になった私は、そっと手を繋ごうとした。


でも、まだ気恥ずかしいのか、手が当たっては離れしている。


良いなぁ、こう言うの。


なんか自分が、現役中学生だって事を思い出させてくれる。



「歩美~~~、お弁当忘れてるわよ」

「!!」


突然、響いたお母さんの声に。

こんな所を見られるのが恥ずかしかった私は、即座に身を引く。


龍斗も同様だ。


しかも、龍斗らしくもなく、かなり焦ってる。


んで、結局、手は繋げず仕舞い。

しかも、そんなレアな状況を破壊した理由が忘れ物の弁当だよ。


折角の雰囲気が、超台無しじゃん!!



うわ~~~ん!!お母さんの馬鹿~~~!!


奇跡の時間を返せぇ~!!



「はい、歩美」


って、事態を知らない笑顔のお母さんからポンっと渡された弁当を、少し膨れながらも受け取る。



「ぶぅ~~~、ありがと……あれ?」


受け取った弁当って言うのが、何故か、これまた大きい。


やや小さい女の子用の弁当の大きさではない。


って言うか、これ、お父さんのじゃん!!


うわ~ん、これじゃあ大食い女みたいだよ。


お父さんも、お母さんも馬鹿~~~!!


また、お父さん、慌てて私の弁当と間違って持って行ったんだ。

っても、お父さんパン屋だから朝早いしなぁ。


また寝ぼけたのかな?


龍斗は、そんな私と、弁当箱をマジマジと物珍しそうに見ている。



「ゴメンね、歩美。お父さんたら……」

「解りました。いつもの間違いですね」

「そうなのよ。ホント、困った、お父さんね。クスッ」


それだけ言うと、お母さんはクスクス笑いながら戻っていく。


気恥ずかしいんだけど。

この弁当を、龍斗がどんな感じに思ってるか不安になった私は、彼の顔を見る。


意外にも彼の視線は、私が見た時には、既に大きな弁当から離れていた。


『良かった~』とか一瞬思ったんだけど、この馬鹿の視線は、意外なものを見ていた。


私のお母さんを見ている。

しかも、視線を追いかけてみると、なんと『お母さんのお尻』ばっかり見てる。


死ね!!このセクシャル・モンスター!!



はぁ~~~、でも、お母さんかぁ~~~。


以前言った様に、ウチのお母さんは凄く可愛いの。


もぅね、あの人は無条件で男性に愛されるのよ。


ほんと、あの人には勝てないなぁ。



龍斗の気持ちも解らなくも無いんだけどね。



「行くよ!!」

「痛た!!痛ったたたったた……なっ、なに?なっ、なにすんだよ歩美?痛ぇ、痛ぇつ~の」

「黙れ……」


気を悪くした私は、アイツの耳を千切れる位の勢いで、思いっきり引っ張ってやった。


納得していても、許せないのが彼女と言う立場。

自分の彼女を差し置いて、その彼女の母親に見蕩れるなんて、ヤッパリ死罪だよ死罪!!


しかもさぁ、エロい目で人のお母さんのお尻ばっかり見てるって、どうよ?


ほんと信じられない!!



んで、一瞬、納得した私は何所へやら、一気に不機嫌モードに突入。


意味が解らず。

耳を思いっきり引っ張られた加害者(被害者)も、当然不機嫌。


さっきまでの、凄く甘酸っぱく甘い雰囲気は消え去り、最悪で険悪な沈黙な時間が続く。



でも、絶~対、私、悪くないもん!!


どう考えても、悪いのは龍斗だもん!!

等と自分勝手な『被害者モード』

またの名を『乙女脳』炸裂で学校に向かって歩いて行く。


私は悪くない!!


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