●前回のおさらい●
学校からの帰り道。
奈々と仲直りした歩美は、2人で帰路に着くが、再び、昨日の『龍斗が、歩美の事を好き』と言う話が再燃する。
「あぁ、もぅ昨日も言ったけどさぁ。それ……絶対有り得ないよぉ」
「なんでそうまでして否定するのよ?」
「だってさぁ。私って運動出来る訳でも無いし、顔もそんなに可愛い訳じゃないし。それになにより、私はアイツに我儘ばっか言ってるしさぁ。……そんな私を、アイツが好きになる理由なんてなにも無いじゃん」
「そぅ?」
「そうだよ」
「でもさぁ、考え様によっちゃあ、絶対アンタしかない物が1つだけ有るんだよね」
「うん?何か有ったっけ?」
「アンタさぁ。アイツの事を一番理解してない?」
「う~ん。まぁそりゃあさぁ、付き合いだけは長いから知っちゃ~いるけど、そんなの後付でも良いじゃん」
「アンタってさぁ、ほんと男心って解って無いよねぇ」
「なにがさ?」
まったくもぅ。
奈々の言う、その『男心』って言うのが解ってるんだったら、そんなに苦労しないっつぅ~の。
それが解んないから困ってんじゃん。
「じゃあ聞くけど。影山が、なんで私なんかと付き合おうと思ったと思ってるの?アイツも、あれでいて、結構モテるんだよ」
「うん?そんなの簡単だよ。奈々が可愛いからでしょ」
「あぁもぅ。じゃあ、なんで私は、アイツと付き合ったと思ってる訳?」
「コクられたから」
「ダメだ……天然には勝てない……」
もぅ『天然』『天然』って何回も言うな!!
だってそうでしょ、幼馴染で可愛い子と、幼馴染でカッコイイ奴、そりゃあ告白されたら付き合うでしょうに。
そりゃあさ、確かにアイツは、幼馴染でカッコイイよ。
でもさ。
私は、奈々みたいに可愛くもないし、運動も出来無い。
昨日も言ったけど、アイツと私じゃなにも吊り合わない訳さ。
そりゃあさ。
私なりに、女の子らしくする為に努力はしてますよ。
でもさ。
アイツと居ると、直ぐに本性が出ちゃう訳さ。
結局、いつも、いつも振り出しな訳さ。
奈々の所みたいに、みんながみんな上手く行く訳じゃない訳さ。
要するに、無駄なんだよねぇ~~~。
「まぁさ、奈々の言いたい事も解るけどさ。そう上手くは行かないと思うよ」
「じゃあさぁ、試した?」
「私だって試してみたいのは山々だけどさ。いつも本性が出て、キッチリとは試せ無い訳さ」
「あっ、アプローチはしてるんだ」
「まぁそれなりには……」
「例えば?」
「『!!』言わない!!言わない!!絶対に、それだけは言わない!!」
そんな事、恥ずかしくて言~え~ま~す~かって~の!!
毎朝アイツの家に迎えに行ってるとか。
チャリの後ろから、アイツに抱きついてるとか。
その時に、意識的に胸を押し当ててるとか。
そんな事、アンタ、口が裂けても言えますかってぇ~~~の!!
下手すりゃ、学校内でエロ女扱いですよ。
「まぁそれなら良いけど。その調子だと、結構、過激な事してたりして……」
「してない!!してない!!」
「ふ~ん」
奈々は嫌な眼つきで私を見てる。
なんか感づいたかな?
この子も変に鋭いからなぁ。
もぉ嫌だなぁ~。
女同士の噂って、直ぐに、ろくでもない噂が立つんだもんなぁ。
「まっ、まぁ、そんな事は、どうでも良いじゃん」
「良いけどさぁ。……って、そろそろ駅だから、再び『忠告』」
「えぇ~~~、またぁ~~~」
「そう。昨日に引き続き『100%当たる忠告』」
「えぇ~~~、もぅなに~?」
「氷村は、近日中に誰かと付き合うよ。……それが、誰かは知らないけどね」
「えっ?」
「じゃあね」
奈々は突然。
ほんと突然、奇妙な事を言って、手を振りながら駅に向かい、その場を立ち去った。
私は、あまりの突然の彼女の言葉に呆然として、その場に立ち尽くすしかなかった。
理由は勿論、今まで彼女の推理は外れた試しが無い為だ。
―――アイツ……一体、誰と付き合うって言うの?
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