【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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アイツが誰かと……

公開日時: 2021年8月29日(日) 00:20
文字数:1,489

●前回のおさらい●

学校からの帰り道。

奈々と仲直りした歩美は、2人で帰路に着くが、再び、昨日の『龍斗が、歩美の事を好き』と言う話が再燃する。

「あぁ、もぅ昨日も言ったけどさぁ。それ……絶対有り得ないよぉ」

「なんでそうまでして否定するのよ?」

「だってさぁ。私って運動出来る訳でも無いし、顔もそんなに可愛い訳じゃないし。それになにより、私はアイツに我儘ばっか言ってるしさぁ。……そんな私を、アイツが好きになる理由なんてなにも無いじゃん」

「そぅ?」

「そうだよ」

「でもさぁ、考え様によっちゃあ、絶対アンタしかない物が1つだけ有るんだよね」

「うん?何か有ったっけ?」

「アンタさぁ。アイツの事を一番理解してない?」

「う~ん。まぁそりゃあさぁ、付き合いだけは長いから知っちゃ~いるけど、そんなの後付でも良いじゃん」

「アンタってさぁ、ほんと男心って解って無いよねぇ」

「なにがさ?」


まったくもぅ。

奈々の言う、その『男心』って言うのが解ってるんだったら、そんなに苦労しないっつぅ~の。


それが解んないから困ってんじゃん。



「じゃあ聞くけど。影山が、なんで私なんかと付き合おうと思ったと思ってるの?アイツも、あれでいて、結構モテるんだよ」

「うん?そんなの簡単だよ。奈々が可愛いからでしょ」

「あぁもぅ。じゃあ、なんで私は、アイツと付き合ったと思ってる訳?」

「コクられたから」

「ダメだ……天然には勝てない……」


もぅ『天然』『天然』って何回も言うな!!

だってそうでしょ、幼馴染で可愛い子と、幼馴染でカッコイイ奴、そりゃあ告白されたら付き合うでしょうに。


そりゃあさ、確かにアイツは、幼馴染でカッコイイよ。

でもさ。

私は、奈々みたいに可愛くもないし、運動も出来無い。

昨日も言ったけど、アイツと私じゃなにも吊り合わない訳さ。


そりゃあさ。

私なりに、女の子らしくする為に努力はしてますよ。


でもさ。

アイツと居ると、直ぐに本性が出ちゃう訳さ。


結局、いつも、いつも振り出しな訳さ。


奈々の所みたいに、みんながみんな上手く行く訳じゃない訳さ。



要するに、無駄なんだよねぇ~~~。



「まぁさ、奈々の言いたい事も解るけどさ。そう上手くは行かないと思うよ」

「じゃあさぁ、試した?」

「私だって試してみたいのは山々だけどさ。いつも本性が出て、キッチリとは試せ無い訳さ」

「あっ、アプローチはしてるんだ」

「まぁそれなりには……」

「例えば?」

「『!!』言わない!!言わない!!絶対に、それだけは言わない!!」


そんな事、恥ずかしくて言~え~ま~す~かって~の!!


毎朝アイツの家に迎えに行ってるとか。

チャリの後ろから、アイツに抱きついてるとか。

その時に、意識的に胸を押し当ててるとか。

そんな事、アンタ、口が裂けても言えますかってぇ~~~の!!


下手すりゃ、学校内でエロ女扱いですよ。



「まぁそれなら良いけど。その調子だと、結構、過激な事してたりして……」

「してない!!してない!!」

「ふ~ん」


奈々は嫌な眼つきで私を見てる。


なんか感づいたかな?


この子も変に鋭いからなぁ。


もぉ嫌だなぁ~。

女同士の噂って、直ぐに、ろくでもない噂が立つんだもんなぁ。



「まっ、まぁ、そんな事は、どうでも良いじゃん」

「良いけどさぁ。……って、そろそろ駅だから、再び『忠告』」

「えぇ~~~、またぁ~~~」

「そう。昨日に引き続き『100%当たる忠告』」

「えぇ~~~、もぅなに~?」

「氷村は、近日中に誰かと付き合うよ。……それが、誰かは知らないけどね」

「えっ?」

「じゃあね」


奈々は突然。


ほんと突然、奇妙な事を言って、手を振りながら駅に向かい、その場を立ち去った。


私は、あまりの突然の彼女の言葉に呆然として、その場に立ち尽くすしかなかった。


理由は勿論、今まで彼女の推理は外れた試しが無い為だ。



―――アイツ……一体、誰と付き合うって言うの?

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