【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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予想外の出来事……そして予想外の展開

公開日時: 2021年9月29日(水) 02:17
文字数:1,553

●前回のおさらい●


芸能人として多忙を極める歩美ちゃん。

なので休みを貰おうと、必死に成ってマネージャーの池田さんに頼み込むが……却下される(笑)


そして、本日最後に仕事に連れて行かれる。

 結局、この日、AMJの収録が終わったのはAM00:15。

しかも、その間の時間の空きが出来ても、全てヨメウリTVで撮り。


なに、このハード・スケジュール?

休みが欲しい私に対して、わざとやってない?


本当は、中学生が労働しちゃいけない時間なのに『録画だからバレない』って理由で、こんな時間になってるんでしょ。


怖いよぉ、芸能界。



「はぁ~、やっと終わった」

「お疲れ様」


等と、芸能界の本当の怖さを身に沁みながら、局の外に出てタクシーを拾って貰う。


まだ、私は未成年だから、いつも池田さんがタクシーで、家の近くの大通りまで送ってくれる。


これはいつもの事。


家まで行けば良いんだけど、私は必ず大通りから歩く。


私には、ちょっとした日課みたいなものがあるからね。


等と、思っていたら、その時!!

神様の存在を示す出来事が、眼前で起こった。


タクシーに乗り込んで行き先を言って。

運転手さんが、レバーを入れて発車する直前、不意にコンコンっと、窓をノックする音が聞こえた。


『一瞬、ファンの方かな?』

とか思ったんだけど。

そこには、一番逢いたかった見覚えのある大好きな顔。


龍斗だ!!



「すんません。俺にAYUMIさんのサイン貰えますかぁ?俺、マジで超ファンなんッスよ」

「龍斗……なに言ってんのよ、バカッ!!」

「ごっ、ご無沙汰してます、氷村さん」

「池田さん、お疲れさまっス」


あれ?

池田さんの態度が、いつもにも増して丁寧だ。


けど池田さんって、確か25歳だよね。


なんで年下のコイツに……


まさか!!

なになに、龍斗って、なんかそんな権限を持ってるの?



「その節は有難うございました。お陰さまで……」

「あぁそう言うの無し無し。困った時は、お互い様ですよ」

「そうですね」


うん?


いや、ほんとになに?

2人の間には、一体なにがあったの?


私だけ知らないって……なんか取り残されてない?



「ところで、今帰りですか?」

「はい、そうですよ。少し時間がオーバーしちゃいました」

「いけないんだぁ。中学生を、こんな時間まで働かせて」

「氷村さん……あの~、言われてる意味が良く解らないんですが?差し支えなければ、お幾つか、年齢確認させて頂いても宜しいですか?」

「そうきますか」

「そういきますね」

「なるほど」


池田さんが、いつもの調子に戻った。


ほんと、この人、誰にでも強いよね。



「んじゃまぁ、年齢詐称がバレない内に、俺、チャリなんで、そろそろ行きますね」

「お疲れ様……っと良かったら、局に、自転車置いて、一緒にタクシーに乗っていきませんか?方向同じですよね」

「う~~ん、そうだなぁ」


一緒に帰りたい!!


絶対、一緒に帰りたい!!


池田さん(超邪魔者)が居るけど、そこは諦めるから一緒に帰ろ。


休みたいとか、もぅ言わないから。



そんな目で龍斗に必死で訴えた。



「やっぱ、明日もチャリを使うんで、遠慮します」


へっ?


けど、この馬鹿は。

私の方にニコッと一笑して、チャリに飛び乗った。



ええぇぇえぇぇ~~~~!!嘘でしょ~!!

まさか、この状況下で一緒に帰ってくれないの?


信じられない!!


全く逢えなかった彼女に、やっと、やっとの想いで逢えたんだよ。


2週間ぶりに巡り逢ったんだよ。


寂しくないの?


それともなに?

なにか企んでるの?


例えばさぁ、私を、此処から連れ出して逃げるとかさぁ。



『シャアァァァ~~~ッ』


自転車の回転する音が、私の耳に入ってきた。


私の期待は虚しく。

アイツったら、私に何も言わずに行っちゃっ……た。


あっ、あっ、有り得ない!!

しかも、ツール・ド・フランスかって言う程の勢いで、自転車が遥か彼方まで走って行っちゃったよ。


アイツ、ばっ、ばっ、馬鹿じゃないの!!



この後、当然、私のご機嫌は斜め。

池田さんとも、家の近くの大通りに着くまで、一切一言も喋らなかった。


アイツが悪いのだけなのに、池田さん八つ当たりしてゴメンね。



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