【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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登校時のいつも幸せと、龍斗からのある提案

公開日時: 2021年8月31日(火) 00:20
文字数:3,045

●前回のおさらい●

奈々に、龍斗が誰かと付き合うという推理をされた歩美は、数日悩んだが。

金曜日に成って、悩んでても仕方がないと判断し、とうとう行動に出る……んだが、逆にそのテンションの高さが裏目に出て、いつも通りにしか出来ない。


此処でテンションダウンを喰らうが。

この時点で、学校の始まる時間まで、もぉあまり時間がなく遅刻しそうなので、此処は諦めて登校する事にする。


そしていつも通り、龍斗の自転車に乗せて貰うのを前提にして……

(此処の話は、龍斗編を歩美視点にしたものです)

「お急ぎだったら、俺の愛車に乗ってくか~?『アイドルよりも可愛い歩美さん』」

「うっさいわね!!まだバスに間に合うわよ」


バスに間に合わない事は、十分な程に解っているんだけどさぁ。

一応、必死になってる方が、自転車の後ろに乗せて貰うとき乗りやすいじゃん。


だから……ねっ。



「ふ~ん、間に合うねぇ……お前の間に合うってのは、出発したバスも込みなのか?」

「あぁ……もう、なんなのよぉ~~~」

「ついてなかったな。……じゃあな。俺は、まだ間に合う時間なんで、お先に学校へ……遅刻はいけないなぁ、歩美さん」


あれ?あれ?あれあれ?


なにこの予想外の展開?

今日は、自転車の後ろに乗せてくれない方向なの?


なんで、なんで?



「ちょ、ちょっと待ってよ、龍斗……」

「はい?なにか?ワタクシ急いでるんですが」

「チャリ……乗せて行ってよ」


あ~、こいつ、わざとやったなぁ。


最悪!!


ぷ~っと膨れてやる。



「へいへい、言うと思った。つぅか、早く乗れよ。マジで遅刻すんぞ。因に、後ろはステップしかないけど大丈夫か?」

「うん」


知ってるよ。

毎日乗せてもらってるもん。


でもさぁ、何でコイツって、こんなに私に優しいんだろ?


いつもこの状態になる事が解ってるんだから、1人分、多く乗せて走らなきゃいけないのにね。



「ごめんね。2人乗りになっちゃって……」

「なになに、いつもの事だし、気にしてないよ。……まぁ、お前が太ってなかったら間に合うしな」


えっ?嘘?

コイツが、そんな事を、直接私に言うって事は、私って太ったのかなぁ?


う~~~ん、昨日あんなに悩んだのに、太るなんて、私の体ってどうなってんのよ?


うっ、うっ、うるさ~い!!肥えてない!!


……でも、もし、本当にそうだったら嫌だから話題を変えよ。



「ねぇ、ねえってば、なに悦ってんのよ?早く行かないと、本当に遅刻するでしょ!!早く行きなさいよ!!」

「へいへい、了解了解っと……ご要望通り飛ばして行くぜ。落ちんなよ」


下り坂をぐんぐん加速して行く。

恐らく4~50キロのスピードが出てるんじゃないかな。


この時、私は、毎回の様に龍斗の首筋にガッチリと両腕でロックしている。

思い切り締っているのには、前にも言った通り胸を押し当てる為であって、決して怖い訳ではない。


どちらかと言えば私は『絶叫マシーン』が大好きだ。

だから実際は、ただ単に、龍斗に抱きつきたいだけなんだろうね。


はぁ~……なんだかんだ言っても、これって幸せなんだよねぇ~~~。


***


 そうこうしている内に、短い幸せは終わり。


自転車は、大通りまで一気に駆け下りてしまう。


そこで、いつも通り、龍斗が私の腕にタップしてくる。


―――でも、こんな事をしてて、一体なんになるんだろ?


嬉しいと思う反面、なんか虚しいなぁ。



「なぁ、歩美……いっつも言ってるがな。お前……俺を殺す気か?」

「ごっ、ごめん。でっ、でもさぁ、そんなの、あんたの運転が危ないのが悪いんじゃない」

「おまえなぁ……まぁいいけどさぁ」

「なによぉ~。なんか言いたげね」


あれ?なんか言いたげだ。


なんだろ?

ひょっとして、毎日、首絞めてるの怒ってるのかな?


そんな風に考えていた私は、知らない内に、ややしかめっ面になっていた。



「あのよぉ~……怒んねぇか?」

「なにがよ。別に怒んないわよ」


怒る?怒るってなによ?

私が、アンタに、一体、何を怒るって言うのよ?


毎日送ってくれてる事に感謝する事はあっても、別に怒る事なんか無いと思うけど?



「絶対だな?絶対怒んねぇな?」


あれ?やけに慎重だなぁ?


うん?なんだろ?


ふむ……なんも思い浮かばないや。



「もぅ怒んないって、何度も言ってるでしょ!!なんなのよ、気持ち悪いわね」

「そっか。じゃあ言うけど、おまえさぁ…………」

「なっ、なによ?」

「……乳でかくなったな。幾つになったんだ?」


えぇ~~~~!!またそこ~~~!!


ってかさぁ。

前回の喫茶店の時も注目されたのがそこだったし。

これじゃあまるで、なんか私『胸をわざとくっつけてる』のを言われてるみたいじゃん。


―――もぅ!!馬鹿ッ!!


『ガコッ!!』


私は自分の行為に、あまりに気恥ずかしくなって、照れ隠しの為に、後先考えず、龍斗の頭にチョップ!!



「なっ……なに考えてるのよ、あんたは!!馬鹿じゃないの!!毎日そんなことばっかり考えてたの!!」

「ッ痛~~~、死ぬかと思った。へいへい、どうせ俺はエロ馬鹿ですよ」

「もうッ!!本当にガキなんだから!!」

「そりゃあ、お前はガキじゃないですよ……そんなに立派なモノをお持ちになってるんですから」


そりゃあさぁ。

最近、成長期なのかして、確かにメッキリ大きくなってきたのは認めるけどさぁ。


私だって、女の子なんだからさぁ。

もうちょっと、デリカシーってもんが有っても良いんじゃない?


……という訳で、もう一発喰らえ!!


『ベコンッ!!』


今回のチョップは、少し手加減が無かったせいか、龍斗は地味な蛇行運転。

車に当りかけて、運転手には『バカヤロ~気をつけろ!!』なんて言われる始末。


―――ごっ、ごめんね。



「なぁ、さっきの話なんだけどな」

「まだ言うか!!」


もう何考えてんだか。

そんな何回も胸の話ばっかりされたら。、私の存在価値が胸しかないみたいじゃない。


腹が立つから、もう一発喰らわせてやる!!



「ちょ……だから、ちょっと待ってって!!お前のその凶悪なチョップは、こんな所でやったら危ないし。大体、怒んないって言ったのは、お前じゃん」

「でもさぁ、普通、そんな事を言うかなぁ……」


まぁね、確かにね。

怒らないとは言いましたけど、叩かないとは言ってませんよ。


だから、私は悪くない。



「悪かったよ。……でも、悪い話ばかりじゃないんだぜ」

「どう言う事よ?」

「あのさぁ、おまえ『国民性豊かな美少女コンテスト』に出てみねぇ?」


うん?突然、何の話してるの?


なにその『国民性豊かな美少女コンテスト』って?



「『??』ヘッ?アンタ、なに言っての?」

「おまえ、人の話聞いてんのか?」


いやいやいやいや、話は聞いてるけどさぁ。

そんなんに出たって、なんの意味もない所か、ただ単に恥をかくだけじゃん。

それに、私がそんな所に出る事自体が無理に決まってんじゃん。


なに考えてんのよ?


それに何の為に出るのよ?


意味解んないし。



「…………むっ、無理、無理!!そんなの絶対に無理!!無理に決まってるでしょ!!馬鹿じゃないの!!」

「なにがだよ?」

「だって『国民性豊かな美少女コンテスト』だよ。全国から可愛い娘ばっかり集まって来るんだよ。……そんなの絶対に無理に決まってんじゃん。恥かいて終わりじゃない」


等と必死に言ってみれば、この馬鹿も無理な事に気付くでしょ。


ホント、なにを考えて、こんな無謀な提案をしてんだか。



「ってか、お前さぁ……オマエこそ、何考えてるのか知んねぇけど。まさかとは思うが、オマエ、厚かましくも優勝でもする気なのか?俺は、ただ『出てみないか?』って聞いただけだぞ」

「いやっ……そんなあつかましい事は考えてないけど……」

「だろ。だから『出場した』って言うスティタスの為に出るんだよ」

「でも、何で、私が?」


はぁ……さっきも言ったけど、何の為に、そんな事する必要が有るのよ?


大体、何のスティタスよ?



「おまえなぁ、忘れてるだろ」

「なにをよ?」

「約束しただろ、俺と……」

「だから、なにをよ?」


突然、龍斗は、自転車の急ブレーキを掛け。

学校を目前にして、道路に自転車を停止させた。


何の事やらサッパリな私は、コイツが何を言い出すのか興味が有った。


にしても、なんか『約束』したっけ?


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