●前回のおさらい●
結局、学校で『自分の誕生日の招待が出来なかった』歩美ちゃん。
そして、それを1人でうぅ~!!うぅ~!!言いながらベットで足をばたつかせてると、歩美のお母さんが来て。
歩美の代わりに、龍斗に誕生日を知らせてくれると言う。
だが、そんな母の姿に、歩美は、何故か不安に駆られていた(笑)
降りて行く母に不安を感じた私は、コソコソと後ろを付いて行く。
お母さんが、あの調子で、龍斗に、突然、変な事を言わないか確認する為だ。
―――ヤッパリ、自分で連絡するんだった。
後悔は先に立ってくれない。
私が階段から、盗み聞きする羽目になった。
そして、母とアイツの会話は始まってしまった。
『はいっ!!もしもし氷村ですけどぉ、どなたですか?』
『もしもし、あ~~~、龍斗くん?憶えてる?井上のおばちゃんやけど?元気やった?』
携帯電話から漏れる、明らかに機嫌の悪そうな声を出す龍斗。
誕生日呼ばなかったの怒ってるのかなぁ?
それにお母さん、普段は標準語なのに、今はなんで関西弁?
此処で少し間が空いた。
『あの~、失礼ですが、どちらの井上さんでしょうか?』
『なに言ってんのよ、龍斗君!!私よ私、ほら、近所の歩美のおかあさん』
『あっ!!なんだおばさんじゃないかぁ、久し振り!!元気してた~?ところで、今日はどうしたん?』
って言うかさぁ。
なんでアンタまで関西弁になってるのよ?
真似しなくても良いから!!
『休みの日にごめんねぇ。実はね、今日、うちの馬鹿娘が誕生日なのよ』
って、お母さん!!
誕生日の事を言ってくれるのは良いんだけど。
イキナリ『馬鹿娘』って言うのは、酷くない?
なんか聞き方に寄ったら、我儘な感じに聞こえるんだけど。
『それでね、お祝をするんだけど。歩美が、どうしても龍斗君に来て欲しいって、うるさくて困ってんのよ』
『ちょっと、おかぁさん!!誰も、そんなこと言ってないでしょ!!ベっ、別に龍斗なんか、来れなかったら来れないでいいんだからね』
うわ~ん!!なんで、そんなストレートに、私の気持ちを言うかなぁ。
そう言う素直な言葉って、妙に恥ずかしいんだよぉ~。
『あぁ~~~と、何時から始めるんですか?』
あっ、あっさり無視された。
おかしいよぉ~!!
私の誕生日会の招待なのに、私の意見が無視って言うのはどうなのよ?
『一応ね、お父さんが帰って来たら始めようと思ってるんだけど。大体8時位からになると思うわよ。どぉ龍斗君は時間ある?』
『あっ、あ~、じゃあ、多分、大丈夫だと思うんで、お邪魔させてもらいます』
『じゃあ、8時くらいに、家の方に来て貰えるかしら?』
『わかりました……じゃあまたあとで』
お母さんは電話を切るや否や。
こちらに向かってウィンクしながら、いつもの、あの悪戯な笑顔でOKサインを出す。
いや、あの、お母さん……嬉しいんだけどさぁ。
なんか複雑なんだけど。
単純に遣り切れないと言うか、疑問に思う事が有るんだよね。
だってさぁ、おかしくない?
なんで私も知らないアイツの休みを、お母さんが知ってるかって所が不思議じゃない?
でも、自分の母親を変に勘繰るのもなんだしなぁ。
此処は、取り敢えずではあるけど、一切合切不問にすべきなのかな?
なんて悩んでたら、お母さんは。
例によって、いつも通り、何か含んだ様にクスクス笑いながら台所に行ってしまう。
―――もぅお母さん、なんなのよぉ!!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!