【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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日課をこなしてたら、突然訪れた幸せ

公開日時: 2021年9月30日(木) 00:20
文字数:2,372

●前回のおさらい●


休みが無くてヘロヘロの歩美ちゃん。

その仕事の帰り、マネージャーの池田さんとタクシーに乗ろうとしたら……突然現れた龍斗。


当然、歩美ちゃんはテンション爆上がりで、一緒に帰れると思っていたら。

龍斗は、自分の自転車に乗って立ち去ってしまった(笑)


この後、当然、超不機嫌な歩美ちゃんだったが……

 そんな風にして、家の近くの大通りに着くまで。


道が矢鱈、混雑してたのもあって、意外に時間が掛かった。


時間はAM01:40。


当然、中学生がウロウロする時間じゃない。

それに、この辺はベットタウンだから、夜は物音一つしない。


敢えて聞こえて来るのは、大通りを通る、深夜運行のトラックの音ぐらいのものだ。


だけど今は、それも殆どない。


そんな中、私は、いつの通り大通りでタクシーから降りて、家にトボトボと歩きだす。


でも、久しぶりに、こんな時間なったもんだから、夜道は少し心細い。


けど、そこは我慢してでもしなきゃいけない。


さっき言ってた、どうしておやって置きたい『毎日の日課』があるんだよね。



まぁ『日課』っと言っても。

別に特別な運動するとか、そう言った感じのものじゃない。


ただ、アイツの家の前を通って帰りたいだけの事。


なんて言うのか。

逢えない時間が多いから、電気の付いてるアイツの部屋を見て、ちょっと安心したいのが本音。


それを知ってるかのように。

私が帰る時間が、どんなに遅くても、アイツの部屋の電気が消えてた試しがない。


きっと帰ってからも、大量に仕事があるんだろうな。


―――良くやるよ。


そんなアイツの家の前を通って帰る時に、いつも一言だけ声を掛ける。



まぁ聞こえてないだろうけどね。



「頑張ってね、龍斗。おやすみ……大好きだよ」


これで私は満足。


少しストレスが解消される。


後は、余韻に浸って、家までゆっくり帰るだけ。



「歩美……お前って、意外と乙女チックな真似をするんだな」

「えっ?違っ……」


見ないで!!


うわ~~ん、なんで居るのよ。


私の密かな楽しみを見ないでよ。



「でも、ありがとな。……又、これで頑張れそうだ」


冷やかされると思ったけど、違った。


喜んでくれたみたい。



ははっ……これなら、毎日やってた甲斐が有った。


なんか私も、そう言って貰ったら嬉しいよ。



「龍斗こそ、こんな時間になにしてるの?それに帰るの早くない?」

「うん?あぁ、この時間帯は、あの辺の道は混むからな。タクシーで行くより、チャリの方が早いんだよ」

「そうなんだ……でもさ、さっきのは酷くない?一緒に帰りたかったんだけどなぁ」

「俺も一緒に帰りたかったよ。けどな、後で問題あると面倒臭いだろ」


そっか。


龍斗が乗車拒否した理由は、それだったんだ。


別に、私をからかったり。

もしくは、意地悪して乗らなかった訳じゃなかったんだ。


私って、ほんと浅墓だなぁ。


って言う事は。

あのスピードも、先に着いて待っててくれる為だけに……って事?


なんかさぁ、此処までいくと、もぅ嬉しいとか、そう言うんじゃないよね。


至れり尽くせりじゃん。



「そうだよね」


あぁ、そんな事が解ったら。

いつも以上に、もぅちょっと一緒に居たくなるよ。


ダメかなぁ?


早く帰らないと、お父さんとお母さん心配するかな?



「なんだったら、久しぶりに家まで送ってやろうか?」

「あっ、うん」


違うんだよね。


そう言うんじゃないんだよね。


出来ればさぁ。


その……『今日は、私を家まで送らなくって良い』んだよね。



「そっか、じゃあ乗れよ」

「ねぇ……『帰りたくない』って言ったら、どうする?」

「困るな」

「だよね」

「違う違う。自分で歯止めが利かなくなるから困る。そんなセリフ言われたら、自制する自信が無い」

「うん。多分、私もそう……ずっとね、繭ちゃんの話を聞いてから我慢出来無いんだ。龍斗が、繭ちゃんのオナニー見てると思うとね。どうにかなりそうなの」


正直な言葉がスラスラ出てくる。


どうも今日は、私自身、本当に家には帰りたく無いらしい。



「ごめんな、迷惑かけてたみたいだな。でも、ほんとは、それも知らなかった訳じゃないんだ」

「うん……知ってる」

「ごめん……俺、ほんと馬鹿だからさぁ。お前と、友達の繭ちゃんが、2人とも成功して欲しいなって思ってたんだけど……やっぱ、アレは違うよな。どう考えても間違ってた」

「うん、でも、そうじゃないと思うよ」

「そんな事はないだろ。アレは、自分の彼女に言う様な話じゃなかった。んな事を聞いて、気分が良い訳がないからなぁ……解ってた。解ってて、お前に甘えた。馬鹿だよな、1人で良い気になって」

「うぅん。良いんだよ。そんな事、どうでも。それに龍斗が馬鹿だろうとなんだろうと……問題じゃない。もっと私に甘えてくれて良いんだよ。だからね、私も、もぅツマラナイ嫉妬なんてヤメにする。龍斗の気持ちが、私だけを見ていてくれたのが解ったから」

「そっか……ありがとうな、歩美」


初めて龍斗が、私に甘えてくれた。


ただ本来の趣旨で考えるなら、これは決して、龍斗だけの責任な訳ではない。

これは繭ちゃんが起こした問題に、龍斗がお節介しただけの話。


ただ方向性が少しズレていて、お互いのやってる意味が解らなかった。


でも、理由はどうあれ。

いつも1人でなんでも決める龍斗が、私に甘えてくれた。


それだけで、この件に関わったメリットは有ったと思う。


多分こんな事が無かったら、コイツは一生、私に甘えるなんて事は無かっただろう。


私は嬉しいと言う感情から、この時点で、少し変なスイッチが入ってしまった。



「ねぇ、龍斗……これからどうしよっか?」

「どうするったって、もぅこんな時間だぞ。どこか行くにしても、この辺じゃあ、どこもないし。それにオジさんと、オバさん、大事な一人娘が帰って来なかったら、心配するだろ」

「解ってるよ……でもさっ、なんかねぇ。歩美はさぁ、今、すごく龍斗と離れたくないんだよね」

「歩美……どうしたんだよ?」

「ダァメ……かっなっ?私だってさっ、甘えたい時だって有るんだよっ」


私の体は、この言葉を発した途端、準備に入り始めた。


少しずつ体温も上がってきているのが、自分でもハッキリ解っている。


お腹の下ら辺がポカポカしてきた。



出来れば、直ぐにでも『チュー』して欲しいな。


多分、それだけで、腰が砕けて立てなくなるよ。


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