【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
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苛めの対処方法【PART2】

公開日時: 2021年9月11日(土) 00:20
文字数:2,370

●前回のおさらい●

奈々と、影山が歩美に対する苛めを心配して様子を見に来たのだが。

当の本人は、どこ吹く風で、あまり気にしていない様子。


だが、そうやって心配してくれているので、犯人探しに乗り出した歩美だった。

実は、私、今日、学校に来て教室に入った時点で、この教室での率先している主犯の正体が誰だか解っていた。


その主犯格……それは。

『ブス』で『オタク』で『男子に相手にされない』掛川君江。

同上・辻美沙。

同上・橋野絵奈美。


間違いなく、この3人だと言う事に。


いつも影山が『へたれ攻め』だの、龍斗が『強気受け』だの。

3人で集まっては、訳の解らない事ばっかり言ってる、クラスで1番気持ち悪い女子集団。


しかも、止せば良いのに、お互いの呼び方が薄気味悪いの。


掛川の呼び方が『キミっち』

辻の呼び方が『ミサミサ』

橋野が『姫』


……馬鹿じゃないの?

アンタ等、鏡で自分達の顔を見た事が有るの?


渾名負けし過ぎにも限界があるよ。


……っといけない。

腹立たしくなって、ついつい罵詈雑言を吐いて、話が逸れちゃった。


じゃあ、気を取り直して……犯人の目星の付け方なんだけど、これは実に簡単。


だってさぁ『淫乱牛チチ』って、机に書かれていた悪口の横に描いてあったイラスト。

正直言って、かなり上手いイラストだったのよ。


このクラスで、そんなに上手く絵が描けるのって『キミっち』位しか居ない訳さ。


んで、タッチも、そのまま。

そんなの『私です』って言ってる様なもの。


いくら書き慣れてるって言っても『虐めをしてる』のがバレたく無いんだったら、せめて自分のタッチは崩すべきでしょ。


付け加えて、罵詈雑言を書いてた筆跡。

アレは完全に『ミサミサ』と『姫』で間違いない。


何故なら、2人とも解りやすい位『癖字』で字を書くのよ。

だったら、これも結局、同じ理由で、誰が書いたか一目瞭然。


虐めをするにしても、こんなにモロ自分を出しちゃったらバレバレなんだよね。


でも、誤解が無い様に言っとくけどさぁ。

ほんとは、奈々達が『犯人探し』なんて言い出さなきゃ。

そこまで、私は犯人の名前を言うつもりはなかったんだけどね。


けどまぁ、折角、心配して貰ってるんだから『犯人逮捕』は、ちょっとした、私からのお礼って奴かな。


―――面白かったぁ?


んじゃあ、クライマックスに向かってみようかな。


予想じゃあ、此処で反抗する筈だから。



「なっ、なによ、井上さん!!私がやったって言う証拠でも有るの!!」

「そうよ、そうよ。掛川さんを犯人みたいに言って可哀想でしょ!!」

「謝りなさいよ」


はぁ~~~、だよね。


此処は、ヤッパリ反抗するよね。

苛めの主犯が自分達だなんて、誰もバレたくはないもんね。


でも……無駄だから、出来ればそう言う抵抗は無い方が良いんだけどなぁ。



「歩美……」


奈々は、私の方を見ながら心配そうにしている。


ほんと、いつも心配かけて、ごめんね。


……にしても、奈々のそんな姿を見たら、段々腹が立ってきた。


ブス共、あんま調子に乗らないでね。



「謝る?謝るってなに?アンタさぁ。ホンット最低よね。折角、私が苛めの証拠を消してあげたのに、惚けるんだぁ。へぇ~、そうなんだ」


あれ?これをキレてるって言うのかなぁ?



「なに言ってんのよ。謝れブス!!」

「悪いけど『ミサミサ』ちゃんは黙っててくれない。アンタになんかには、なに1つとして話し掛けてないから。それにさぁ、アンタさぁ、ほんと気持ち悪いのよ。勝手に話し掛けないで欲しいんだけど」

「えっ……」

「『えっ』とか、まるで自分が被害者みたいな言い方も辞めてくれる?『ブス感染源』のくせにさぁ」

「ひっ、ひどい」

「なっ、なに言ってるのよ。『ミサミサ』は気持ち悪くないわよ、アンタなんかねぇ……」

「うるさいなぁ『ブス美』も黙っててね。『ブス』ってさぁ、空気感染するから」

「なに言ってるのよ!!『ブス美』は、アンタでしょ」


まだ反抗するんだぁ。


ふ~ん、まだ反抗するんだね。


知らないよ。

キレた私は、自殺したくなる程、凄く口悪いよ。


当然、この時点で周囲は、かなり『ザワザワ』しだしている。


でも、キレた私の怒りの矛先がソッチに向かない様に、誰も何も言わない。


あぁもぅ、こんな事するから『怖い』ってイメージで思われるんだろうな。



「ふ~ん、じゃあ、龍斗は『ブス』と付き合ってるんだ。へぇ~」

「そっ、そうよ。だから、氷村君が可哀想なんじゃない!!」

「ふ~ん、そう。じゃあフラレタ人って、私より相当ブスなのかなぁな。あの優しい龍斗がさぁ、目を背ける程だもんね。そりゃ相当だね」


そう言いながらも、奈々には、後ろ向きでは有るけど手で謝った。

一応、奈々も、龍斗に告白してフラれた経緯があるからね。


まぁ、奈々は、みんなが認める美人だから、そんな事を誤解しないだろうけどね。


保険的に一応ね、一応。


あぁそれと、この『姫』なんだけど。

実は、自分の顔も弁えず、去年、龍斗のコクッた事が有るんだよね。


身の程知らずにも程が有るつぅ~の。



「うるさい、このブス」

「そぉ。ごめんね~。『姫』ちゃんは、心も、顔も汚いブスだもんねぇ。私なんかじゃあ到底及ばない様なブスだもんねぇ。私、自分の為に平気で虐めする程、人間腐ってないから」

「なによ!!私、なにもしてないもん!!」


『ダンッ!!』


机を思い切り叩いたら、教室に響いちゃった。



「あんたさぁ。自分が今朝、必死にやった事も覚えたないの?私がなにも知らないと思ったら大間違いだよ。アンタ等より、早く部活の人間は出て来てるんだよね。それをアンタ達って、見られてるのも知らずにさぁ。……ふふっ、ほんと面白い。馬鹿じゃないの?一回死ねば」

「……」


沈黙は、何よりの証拠。


この時点で黙るなんて……ホントなに考えてんだろ。

『自分が犯人です』って、自白している様なものじゃん。


単なるカマ掛けなのにさぁ……馬鹿過ぎ。


まぁ、実際の女子中学生って、こんなもんなのかなぁ。


ひょっとして私って、虐められ慣れ過ぎ?


まぁ良いや。

さぁてと、掛川の取り巻きも片付いた事だし、そろそろ最後の締めに行きますか。



私は、もう一度『ダンッ』っと机を叩いて掛川に詰め寄る。


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