【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
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苛めの対処方法【PART1】

公開日時: 2021年9月4日(土) 00:20
文字数:3,844

●前回のおさらい●


龍斗に告白された歩美だったが。

その幸せの分、キッチリと他の女子からは恨まれて苛めが開始される。

 3月14日 PM5:40 学校エントランス


 部活のキツイ練習が終わった私と奈々は、2人で帰路に付く為に、靴箱のある出入り口を目指していた。


普段なら部活帰りに買い食いしたり、意味の無いお喋りをして一番程楽しい時間の筈なんだけど。

今日に限っては、余り気が乗らないと言うか、どちらかと言えば、気分が、少し俯いている。


―――何故かって?


そりゃあ、あんな文面が回った以上。

早ければ、今日から陰湿な『虐め』は、始まる訳でしょ。

なら、こんな状態の中で、気分が乗る方がどうかしてるって話。


もし、私のこの予想に反する事なく。

本日から行われた場合、私の靴は、多かれ、少なかれ、間違いなく被害にあっている筈。


その靴が被害に遭ってる可能性がある理由は、至って簡単。

『虐め』の始まりって言うのは、基本が『無視』で、2番目が『靴』ってのが定番なんだよね。


これだと誰が主犯なのかわからないし、相手が『靴』だと、あんまり心も痛まない。


要するに、心置きなく『虐め』が出来るって事。


まぁ最初の内は、こうやってコソコソやってるんだけどねぇ。

大体こう言う事って、日進月歩の如く、段々悪乗りしてエキサイトして来るんだよねぇ。


あぁ~もぅやだなぁ。


誰か変わってくれないかなぁ。


龍斗も居ない分、精神負担も大きいだろうし、耐えれるかなぁ。

アイツが居ないだけでも、今回ばかりは、イマイチ自信が無いなぁ。


そんな気持ちのまま、靴箱の有る出入り口に到着。



なので此処からは無駄な考えは持たずに、一気に意を決して即OPEN!!


『ガチャ』


『もあ~~~~ん』


……あぁ、やっぱりなぁ。

今回は、最初から、以前に比べても中々酷い。


これは想像以上に恨みを買ってるみたい。


ゴミが隙間無く靴箱の中に、ギッシリと詰め込まれてる。

しかも……何所から拾ってきたのか知らないけど、生ゴミも入ってらっしゃる、ご様子。


臭いって言うか。

生ゴミ特有の悪臭で、凄い事に成ってるよ。


一瞬にして、想像以上の悪臭が学校の出入り口に蔓延する。



「うわっ!!クサッ!!」

「ほんとクサッ!!……あぁ~、酷いね~、これは」


早くも奈々は、鼻を摘まんでギブアップ寸前の顔をする。


でも確かに、これはキツイなぁ。



「ほんと信じられない。ヤメテ欲しいよねぇ~。『生』はダメだよ。……臭いが洒落になんないよぉ」

「えっ?あっ、そこなの?」

「あぁ、うん。どうせこんなこったろうとは思ってたけどさぁ。……流石に『生』は不味いでしょ」


私は小学生の時から、アイツの『幼馴染』ってだけで、よくこんな目に逢っている。


だからって訳じゃないんだけど。

実際は、この程度の事では、屁とも思わない。


こんな事ぐらいでメゲテちゃ、アイツの彼女なんかやってられないしね。


それにさぁ。

実は、こんな事も有ろうかと、アイツに告白された次の日から『別の靴』持って来てるんだよねぇ~。


『転ばぬ先の杖』って奴な訳さ。


そんな訳で私は鞄から、その『別の靴』を取り出して、深い溜息を付きながら足を入れる。



「えっ?ちょ……あっ、あのさぁ、歩美?アンタ、それって……なに?」

「うん?なにって『備えあれば憂いなし』……こういう物は、早々に準備しとかなきゃね」

「うわっ、凄っ!!用意万端じゃん」

「そうかなぁ~?こんなの普通だよ。アイツと『幼馴染』ってだけで、多分、極々自然に、こう言う事にも慣れちゃうもんだよ。……奈々も、影山と『幼馴染』だから、こう言う経験が有ったでしょ」

「いや、有るには有ったけどさぁ……流石に、此処まで酷いのは無かった様に思うけど」


あれ?そうなの?

女の子同士の『虐め』にしちゃあ、こんなの、まだ序の口の方なんだけどな。


酷いのになると、靴箱に藁人形が打ち付けられたのも有ったよ。



「あれ?おかしいなぁ。私、昔から、普通に、こう言うのをやられたんだけどなぁ」

「普通にって……」

「そぅそぉ。普通にあったよ」


なにを驚いてるんだろう、奈々は?


以前にも言ったけど、奈々の彼氏である影山も、非常に女子の人気が高い。

んで、奈々は、その『幼馴染』だった訳でしょ。


だったら、これ位、普通じゃないの……


私は、勝手に、そうだと思い込んで自己完結。

奈々の意見は無視して、靴を履いて、外に出ようと考えていた。


だってさぁ……此処臭いじゃん。



「あっ、歩美?」

「うん、なに?」

「靴箱の中は片付けなくて良いの?」

「えぇ~~~、イヤだよぉ~。なんで私が片付けなきゃいけないのよ?……だって、この中って、滅茶苦茶生臭いんだよ」

「えぇ~~~!!でも、片付けないと臭いが凄いよぉ」

「良いの、良いの。……それにさぁ、変に片付けたら、相手が調子に乗るだけだよ」

「強っ!!」

「そぉ?」


奈々の言う事は尤もで。

間違いなく此処を放って置くと、多分、来週学校に来た時には、とんでもなく臭いを放つ靴箱になってるだろうね。


けどさ。

こんなの来週から、毎日の儀式の様にやられるんだから、どうせ片付けるだけ無~~~駄。


それにさぁ、これって完全に『虐め』の証拠だよ。

ワザワザ、犯人の証拠隠蔽の手伝いして、どうするのよ?


こんなもん、放っときゃ良いのよ、放っときゃ。



「でもさぁ。この臭いって、先生に怒られないの?」

「怒られないよ。だってさぁ、これって、どう見ても『虐め』だよねぇ」

「まぁ、見るからにそうだね」

「それなら、コレを見たら、先生も黙認出来無くなるでしょ。だから、そのまま放置するのが一番良いの。第一『生ゴミ』を靴箱に入れるオカシナ女子生徒なんか聞いた事も無いしね」

「まぁそうだろうけど」

「なぁ~に?奈々は、影山と付き合った時、ゴミ入れられて片付けたの?」

「……うん。だってさぁ、それって『虐められてますよ』って言ってるみたいじゃん」

「ダメだよ~。解ってないなぁ奈々は。『虐め』をする奴ってさぁ。それを見るのが楽しいからやるんじゃん。だから、その『裏』をかいて無視してやると、比較的嫌がるよ」

「けど……そんな事したら、もっと『陰湿な虐め』されるんじゃないの?」

「すれば良いじゃん」

「えぇ~~~!!」


オカシイなぁ?

奈々だったら、この感覚解ると思ったんだけどなぁ。


モテる男子の幼馴染って、そんなもんじゃないの?



「『えぇ~~~!!』って言われてもなぁ」

「いや、普通イヤでしょ」

「まぁそりゃあ、誰だってイヤだろうけどさぁ。何でも物事には『限界』って有るしさぁ。要は、考え方を変えれば良いんだよ」

「どう言う事よ?」

「いやね。単純な話なんだけどさぁ。自分が相手を虐めてると思えば良いんだよ。そうすりゃ『無視』されても、なんとも思わないし。逆に相手の『虐め』を無視する事も、簡単に出来るよ」

「歩美って、どういう神経してるのよ?」

「うん?こういうのって『慣れ』じゃないかな」


そうなんだよね~。


こう言う事って『慣れ』ないとやってられないのさ。


よく有る話、よく有る話。

そう何回も心に言い聞かすのが、一番手っ取り早いのさ。



「でも、それじゃあ何時まで経っても、相手は止めないんじゃないの?」

「その辺も心配無いよ。先生だって馬鹿じゃないんだからさぁ。その内、家の人が『文句』を言いに来ると思って、対応せざる終えなく成る訳さ。それにさぁ……」

「それに?」

「やってて、相手が何とも思わないのって、虐める相手にしちゃツマラナイでしょ……だから、放っときゃ、そのうち飽きるって」

「アンタ、どんだけ慣れてんのよ?」

「まぁ、あの馬鹿と出会った頃からだからねぇ。自慢じゃないけど『虐められ歴』は長いよぉ」


ほんと、こんな事なんの自慢になんないよね。


アイツのお陰と言うか、何と言うか……私は、こう言った事に対しては、異様に撃たれ強い。


まぁ奈々には、あぁは言ってるけど。

実際は『慣れ』も有るんだけど、それだけって訳じゃないんだよね。


なんだかんだ言っても、結局、いつもアイツが傍に居るから『なんとも思わない』ってのが一番の理由。


この辺は私も、すごく『女なんだなぁ』とも思える。


所詮は、他人のツマラナイ嫉妬や妬みなんかより、好きな人が傍にいて『愛されたい』のさ。


今の私は、アイツさえ居れば、他の事なんか知ったこちゃない。

それ位の気概が無きゃ、凹み捲くりですよ。


でも、そうは言ってもね。

奈々と、那美だけは『無視』されたら、かなり辛いし、そのダメージも尋常じゃ無かっただろうけどね。



「『虐められ歴』ってアンタ」

「まぁまぁ、ウチの旦那モテますからねぇ」

「ホント、アンタだけは心配するだけ損みたいね」

「いや……でもさぁ。『慣れ』だとか、なんだかんだ言っても、こうやって奈々が『無視』しないのって大きいよ」

「あれ?またどうして?」

「だってさぁ。そんなんじゃ、学校に来ても、全然ツマンナイじゃん」

「その程度……やっぱ私も『虐め』る側に行こうかな」

「ちょ……全然、その程度じゃないよ。自分に味方がいたらさぁ。精神的に楽になるもんだよ」

「また上手く言ったもんだね~」

「あれ?そんなつもりじゃないんだけどなぁ」

「まぁ良いけどね。……仕方ないから『味方』になってあげるよ」

「へへぇ~~~、ありがと」


奈々は笑いながら、そんな風に言ってくれた。


そんな彼女の言葉が有ればこそ、私の気持ちは間違いなく楽になれる。

龍斗以外に親身になってくれる『親友』を持つのって、本当に有り難いもんだね。


だから、奈々に被害が行く前に、こんなクダラナイ事は早めに終わらせないとね。


私は、階段の陰になっている所に向かって声を出した。



奈々は少々こう言う苛め系には撃たれ弱いみたいだから、私なりの解決法ってのを見せてあげるよ。

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