【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
殴り書き書店

2人だけの家に

公開日時: 2021年8月10日(火) 00:20
文字数:2,621

●前回のおさらい●

歩美の誤解が解け。

プレゼントも渡せた龍斗だったが、気付いた時には、天候が怪しくなってくる。


そこで自宅に来る事を勧める龍斗だが……実家には、龍斗と歩美以外には誰も居ない事に気付き、焦る。

 俺が家の扉を開けると、歩美が横を通り過ぎて先に中に入った。



「おっじゃましま~す」

「はいはい、ど~ぞ。けど、男2人の家だから散らかってるだけだぞ」


因に、家の中は、全然散らかってはいないと思う。


何故なら、俺も、親父も、典型的なA型人間で、細かい所まで掃除をしないと気が済まないタイプ。

だから絶対に、掃除は行き届いてる筈だ。


これだけは、必要以上に自信は在る。


勝負!!

……と、ばかりに家中の電気をつけて、一気に部屋を明るくする。



「うぅ~わ~っ、凄く綺麗。龍斗ん家って、こんなに綺麗だったっけ?」

「綺麗ねぇ……これぐらい、別に、普通じゃないか。大体、普通は、これぐらいするだろ」

「はは~ん」

「なんだよ、その微妙な笑顔は?」

「でも、龍斗の部屋は汚いんじゃないの?」


意地悪そうな表情を浮かべて、下からの斜め目線で俺の方をジィ~~と見ている。


―――何を期待してんだか。



「まぁな。最近仕事にカマけて、殆ど、掃除なんかしてないからな。……汚いと言えば汚いかな」

「ねっ!!見せてよ……龍斗の部屋が見たい」

「はぁ?いいけど、俺の部屋なんか見ても、なんにも無いから、つまんねぇぞ」

「良いの、良いの、早く見たいな~~~龍斗の部屋♪」

「ふ~ん、そんなもんかねぇ。なにを期待してるのかは知らないけど……じゃあ、ちょっと、待っててくれ。お茶でも煎れて来るから」

「うん。待ってる」


歩美は、大人しくリビングの長イスに腰を下ろす。


俺はと言うと。

台所に行って、茶瓶に『お客様用の玉露』の茶っ葉を、丁寧に入れて、ポットから、ゆっくりとお湯を注ぐ。


後は急須を2個と、適当な茶菓子を用意して出来上がりっと……


鼻歌交じりに、直ぐにリビングに戻る。



「歩美。準備出来たから、俺の部屋行こうか?……あっ、因に部屋は2階だぞ」

「えっ、うん」


2階には、先に歩美を上がらせる。

なんせ俺は、お茶の用意で両手が塞がってるし、歩美に、もし、何かあった時に危ないからだ。


……なんて全くの嘘です。

こんなのは、自分を正当化する詭弁です。


実は、俺が、あいつの家に行った時から気にはなっていたんだが。

こいつの履いてるスカートの丈が異様に短いのが、ず~っと気になっていたんだよな。


多分、そこから推測するに、この状態で、階段を上れば自然と下着(パンツ)が見える様な気がしていたッて事だ。


実際、下から見ると、俺の期待を裏切る事無く、完璧なまでの推理に自分自身感心した。


ほんの少しではあるが……見えている。



ヒャッホ~!!チラリズム万歳!!


―――信仰していないが『ありがとう、神様!!』



「ねぇ龍斗……堪能した?」


喜んでいたのも束の間。

冷淡な声と、ゴミでも見る様な鋭い視線が俺の胸に突き刺さる。



「なっ、なにがだよ?」


必死に冷静を装ってみるが、心では嘘はつけない。


―――明らかにドモッてる。

此処でも経験値の浅さが露呈してしまう。


それにしても、まさか俺の完璧な計画がバレている訳じゃああるまいな。


―――いや、まさかアイツは、最初から気付いていたのか?



「…………変態」

「すいません」


この後は、重苦しい空気と沈黙のまま俺の部屋まで着いた。


***


「どっ、ど~ぞ、歩美さん。汚れてますが、中に入って下さい」

「お邪魔しますって、今日、何回も言ってるね」

「そうですね」

「その喋り方、気持ち悪いから止めてくれない。別に、自分の彼氏にパンツ見られたぐらい、どうとも思ってないからさぁ。でも、ホント、そう言うの好きよね、男子って」

「重ね重ね、すみません」


うながされるまま、歩美は部屋に入って行った。

どうやら、さっき程度の失態では、あまり怒られていない様だ。


―――よかった。


それにしても、コイツ、本当に寛大だよな。

俺も、少しは見習お。


因に俺の部屋は8畳程のフローリングで、仕事用の資料が整然と並べてある。

後、在るものと言えば、机とベット位のモノだ。


人が見たら、こんなにツマラナイ部屋は他にはないだろう。



「えっ?えぇ~~っと、なに、この綺麗な部屋?嘘でしょ」

「いや、そんな事ないだろ。つぅか、最近、殆ど家にいなかったから、埃とか溜ってたらゴメンな」

「龍斗って、ひょっとして几帳面?」

「いや、別に、そんな事はないけど……この部屋って、そんなに綺麗なのか?」

「そっ、そうだね」


なんか、歩美との距離を感じるのは、何故なんだろうか?

ひょっとして俺は、部屋を綺麗に掃除した事如きでドン引きされてるのか?


それにしても、綺麗にしてるだけでドン引きするって、どう言う事なんだよ?

それとも、それ以外で、なんかしたか俺?


……あぁそう言えば、さっきしたな。


あぁしたさ、覗き野郎さ!!


そんな俺を尻目に、歩美は部屋に入るなり、座りもせずに部屋の物色をしはじめる。

だが、歩美が思っている程、俺は、そんなに甘くはない。

見られて困るものなんか、箪笥の奥の方に仕舞い込んでいる。


この部屋の出ている物を物色した所で、恐らくは、彼女の期待している様な物は、何も見つからないだろう。


……多分。



「ねぇ。これって、なんのアルバム?」


アルバムねぇ。

まぁアルバム程度なら、何の問題も無いだろう。


……に、しても意外に目敏いなコイツ。


されど、たかがアルバム。

収録されている物なんか、幼馴染なんだから、お前も持ってる様な奴しかないぞ。



「あぁ、どれの事だ?」

「これ~~~」


『グハッ!!』


よりのもよって、それかよ!!

お前、本当に最悪だな。

世の中で一番見つかって欲しく無いもんを、何故か一発で見付けやがった。


超能力者かお前は!!


俺の心拍数は、ドキドキという鼓動が聞こえて来るほど、かなり上昇中している。

ある意味、歩美とキスしている時よりも緊張する。


頼むから……勝手に見るなよ。

それは、俺の所有物なんだからな。

今から俺が、何とか誤魔化して、見ない方向に持って行ってやるからな。


ちょっと待ってろ。



「いやぁ~、なんだったかな、それ?多分、歩美は見ない方が良かった様な気がするなぁ……僕的には」

「なによそれ?なんでなのよ~」

「ベっ、別に、他意は無いんだけどさぁ……出来れば、元の場所に戻して置いて欲しいなぁ……なんて」

「ふ~ん。どうせ、Hな写真でも入ってるんでしょ」


ある意味、まだその方がマッシだ。



「いや、そうじゃないんだけど……あっ、そうそう思い出した。それは確か、仕事のファ……」

「煮え切らないわねぇ。見ちゃお」


本当は、別に見られて困る訳じゃあないんだが、余りにも格好悪いと言えば、格好悪い品物だ。



実は、そのアルバムは……

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート