【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
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向こうの龍斗について、こっちの龍斗の聞かれる

公開日時: 2021年10月11日(月) 00:20
文字数:1,620

●前回のおさらい●


繭を家に呼ぶと言う方向で決定した2人。


その時間までの、ほんの少しの2人だけの時間。

 あの後、2人で遅い朝食をとってリビングで寛いでいた。


本当の事を言えば、こんな風にゆっくりしてる暇なんてないんだけど。

実は私には既に、龍斗に話した以外にも、繭に対する対応策を考え付いている。


これは多分、女であれば、誰でも思い付く方法だ。

でも、残念ながら、龍斗に依存しきっているコッチの歩美では、恐らくは、この案は思いつかないかもしれない。


彼女は、私と同じで『龍斗に好かれたい&嫌われたくない』が行動原理。

それが故に、龍斗と繭との関係にも目を瞑った節があるしね。


でも、今の私には、そんな蟠りは微塵もない。


何故なら、私自身が死に直面して、そんな事を考えるのも烏滸がましい様な1度死んでしまっているも同然の状態だからだ。


それに、この龍斗は、私の好きな龍斗ではない。

これは正確な言い方ではないのかもしれないが、この表現で強ち間違っていない筈。


それに彼も、私が好きな訳ではなく。

この体の、本当の持ち主である歩美が好きな筈だ。


だから、お互いにそこまで深い関係には成り得ない。


それ故に、私は、ある種の開放感がある。

絶対に普段なら有った『龍斗と言う呪縛』が一切無いのだ。

変な言い方をすれば、好き勝手言える立場な訳で、相手もそれを認識している。


だからこそ、私はこうやって寛いでいられる訳だ。


それに、この私の思考も、この体の持つ主である彼女に伝わっている。

なので安心して、いつでも入れ替わってくれても構わない。


コッチの歩美も、その辺は、良く理解している筈だ。



「なぁ、所で歩美B」

「なによ、そのBって」

「いや、なんて言って良いのか解かんねぇからさぁ。取り敢えずBって感じで」

「Bねぇ。なんかセンスないね……んでなに?」

「いやな。ズッと気に成ってたんだが……そっちの俺って、どんな奴なんだ?」

「コッチの龍斗?」

「おぅ」


なにか気に成る節があったのか、こっちの龍斗は、徐にそんな質問をしてきた。



「パーフェクト超人」

「俺よりか?」

「うん。妥協しない。無駄な遊びはしない。真面目。成績優秀。運動神経バッチリ。計画にハズレ無し。不言実行。情けない顔はしない。ハッキリ言って化け物だよ、アイツは……まぁ顔と、私を好きでいてくれるのだけは、アンタと同じだけどね」

「なんかすげぇんだな、そっちの俺って」

「まぁね。だからアンタも、そうやって精進して、コッチの歩美を大事にしてあげてね」

「あぁ……しかし、なんで、そんな完璧な奴が、お前を死なせる様な真似をしたんだ?」

「誰だって、人間なんだから隙ぐらい出来るよ。偶々それが、その時だったってだけなんじゃない」

「なんか納得出来無い答えだな。俺なら歩美の事で、絶対そんな下手は撃たない」

「解んないよぉ~。だって、私が言うまで繭の事も気付いてなかったでしょ……その可能性は、私達サイドよりも高いと思うよ」

「あぁそっか、確かにな」


あらら……凹んじゃった。


それにしても、なんかコッチの龍斗って可愛いな。

完璧には近い状態ではあるんだけど、どこか抜けてる様な感じがしてならない。


コッチのお母さんの下着を見た時も、鼻血を噴き出す様な失態を演じてたしね……(笑)



「まぁ男だったら、普通、気付かないから。こう言うのって、女特有の性質だしね」

「それって、フォローしてくれてるのか?」

「半分はね。でも、半分は忠告。女の子は扱いを間違うと豪い目に会うよ、ってね。だから、これからは、そういうのにも気をつけてね」

「ご忠告痛み入ります」

「クスッ。なによそれ?おかしい」

「なんでだよ?」

「だって、向こうの龍斗……絶対に、そんな事は言わないもん」

「そっか……じゃあ俺も、ソイツを目標にして頑張るよ」

「良いと思うよ。そう言うの」


流石、龍斗。


どっちも悪い所は、直ぐに反省して。

逆に良い所は、直ぐに自分に取り入れようとする。


この辺だけは、無駄な位にそっくりなんだけどね。



そんな感じで、此処から更に歓談が続きつつも、やがて、コチラ側の2人の運命が左右される繭との会合の夜になった。



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