【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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誤解が解けた後の、ほんの少しの幸せと不幸

公開日時: 2021年9月27日(月) 00:20
文字数:2,334

●前回のおさらい●


繭ちゃんの仕事を手伝っていた理由や。

トイレで繭ちゃんにオナニーをさせてた理由を、歩美ちゃんにキッチリと順を追って説明していく龍斗。


龍とは、歩美ちゃんの了承を得れるのか?

「はぁ~、なんか納得した。でも『オナニー』は、やり過ぎ」

「荒治療だったんだよ」

「良いんじゃない。やり方は様々。良心の呵責の話は、本人次第だしね」


あぁ、あれ程、自分からは納得しないって思ってたのに……結局、納得しちゃったよ私。


女って、ほんと、そう言うのに弱いよね。



「まぁな、そう言ってくれるのは有り難いけどな。俺だって最低なやり方だとは思ってるよ」

「そぅ……なんだ?アンタでも反省するんだ」


ほんと!!


良かったぁ~。


以前から龍斗の仕事に対してのスタイルには、少し怖いものが有ったんだよね。

妥協しないと言うか、出来無いというか、傍から見たら、もう仕事の鬼なのよ。


でも、今回の件を見たら、反省はするみたい。

これをなんとも思ってなかったら、流石に、ちょっと幻滅したかも。


そっか、そっか。


仕事の鬼じゃないんだ……良かった。



「まぁ反省って言うのとは、ちょっと違うんだけどな……時間が無かったんだよ」


ブッ!!違うの!!



「時間?何の時間が無かったの?」

「あんま、他人の家庭の事情だからベラベラ言う話じゃないんだけどな。お前だから言うけど、繭ちゃんの実家が作った借金の返済期限があってな。それが今月なんだわ。……って言っても、これが、どの程度の役に立ったかは解んねぇけど。その借金の何%か位は貢献出来たと思うぞ」


あぁ、あの話か。


なるほど、そう言う事だったのね。

あの時の龍斗のきついセリフも、突き放した態度も、全て、この経緯に至る為の布石だったんだ。


ほんと凄い、コイツ。


この言葉しか出ないよ。



「ふ~ん、そうだったんだ。なんか、みんな色々大変だね」

「ほんと、大変だったよ。巻き込まれてから、先月、全然休み無かったし、俺も休みたいよ」

「勝手に自分が引き受けて、勝手に自分でやったんだから仕方ないでしょ」

「まぁ……な」

「……でもさぁ、龍斗」

「んっ?なんだよ」

「……頼りないかもしんないけどさぁ。少し位なら、私を頼ってくれても良いんだよ……なんてね。アンタだったら、私なんか居なくても1人で大丈夫か」

「あのなぁ。何言ってんだよ、お前は?俺が、こうやって頑張れるのは、全部お前のお陰だよ。好きな女の前では、どんなに疲れてても格好つけたいの……男って奴はな。馬鹿な話だろ」

「そうだね。ほんと馬鹿。無理しちゃってさ」

「ハハッ、だな」


いつもの屈託のない笑いをする。


男前とか、そんなチープな話じゃなくて、良い顔してるよね、龍斗って。



「さぁ~てと、話しもついた事だし。もう一頑張りすっかな!!」


もぅ行っちゃうの?



「ねぇ……もぅちょっとだけ、お願い、もうちょっとで良いから、一緒に居たいよ」

「ハァ~、ごめんな。俺も居たいと想ってるのは一緒なんけど。先方さんが待ってる。交渉に遅刻は厳禁だ」

「ごめん」

「謝んないでくれよ。余計に行き辛くなるだろ」


ごめんね。


私、我儘だから……


でも、確かにそうだよね。

仕事は仕事、プライベートとは分けないとね。


でも、このままバイバイってのも、あまりにも素っ気ないからさぁ。


せめて、これ位は良いよね……



私は、又、龍斗の唇を奪った。



「……いってらしゃい。頑張ってね」

「おっ、おう!!じゃあ、これは俺からのプレゼントだ。しっかり読んどけよ」


そう言って、一冊の本を私に渡して出て行った。


余韻に浸ってたんだけど、無意識に本がパサッっと落ちて、漸く我に返った。


それにアイツが渡して行った、この本って、なんなんだろう?


な~にかなぁ~?とか思って見てみると、来年1月からスタートするらしき大河ドラマの台本。


頭の中に『?』が沢山浮かんで意味が解らなかったので。

中を開いてみると、ヒロイン役のところに、私の名前が書き込まれていた。


えっ?どういう事?

まだ来年の大河ドラマって、何をするかも決まってないんじゃないの?


それに、例えそうだとしても、なんで私の名前が?



―――あぁそう言う事か!!


ほんとお節介。


そして業界恐るべし!!


意味を理解した私は、機嫌良く、台本をぺらぺら捲っていく。

と、あるページを開いた時にヒラヒラと何かが落ちた。


拾い上げてみると、ベタに映画のチケットが二枚。

それとメモに書かれた手紙。


読んで見ると……


『今度の休み映画に行こうぜ』だって……



プッ……アイツでも、こんな子供みたいな事するんだ。


でも、ほんと楽しみ!!


早く休みになんないかなぁ~。





……でも、喜んだのは此処まで。


……結局、世の中は、そんなに甘い物じゃない。


予定の書かれた手帳を見て、愕然と絶望する羽目になった。



今度の休みは……えっと。


ペラッ!!


いつかなぁ?


楽しみだなぁ♪



え~~っと。

す~っと、今週の予定を指でなぞってみた。


え~~~、今週は休み無しだよ。


残念だなぁ~。



でもしょうがない、しょうがない。


え~~~~っと。

また、す~っと、今度は、来週の予定を指でなぞってみた。


どこだろうなぁ~お休み♪。



あぁそっか、そっか。


来週も忙しいんだ。


ガンバろ!!



えぇ~~~~~~っと。

再び、す~っと、少し焦りながらも、再来週の予定を指でなぞってみた。


あれれ?


お休みが見つからないなぁ~。


うん、どこかに隠れてるのかなぁ?


もうそろそろ、お休みの予定が出て来ても良いのになぁ。



えぇ~~~~~~~~っと。


す~っと、もぉ殆ど涙目に成りながら、再々来週の予定を指でなぞってみた。


なんでかなぁ~?


黒いよぉ、黒いよぉ~。



えぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと(怒りマーク)!!


ペラッ!!


なんで無いのかなぁ~!!


不思議だなぁ~!!

私、まだ、義務教育なんだけどなぁ~!!


なんで、こんなに手帳が真っ黒なのかなぁ~!!



うわ~~~ん!!


ペラッ!!


見つけたよ、見つけた!!


もう無いのかと思った。


有ったよ、有ったよぉ!!



―――何時かって?




もぉなにも聞かないで……


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