●前回のおさらい●
告白を受けて4日。
歩美は龍斗からの告白を喜んでいる反面、クラスでは冷やかされっぱなしだ。
そんな毎日に、少し慣れて来た頃に、親友である奈々が昼休みにやって来て、なにやら不穏な紙切れを歩美に渡す。
その紙切れの正体とは!!
予想を超える事の無いメモの内容に愕然。
案の定、私に対する誹謗中傷が書き捲くられていた有難くもないメモ。
内容としては、こんな感じ。
『調子に乗ってる井上ブス美を、みんなで無視』
『ブスの女王ブス美、調子に乗って氷村君と付き合ってんじゃない!!死ね!!』
『牛みたいな不細工なエロ乳で誘惑した淫乱ブス美。氷村君、可哀想』
『氷村君は、みんなの者なのに勘違いしてんじゃないよブス。自分の顔見ろブス』
『あぁ、ブス美ん家は鏡が無いらしいよ。直ぐ割れるんだって……アイツの顔写したら』
『キモいんだよブス美。学校来んな!!ブスが感染る」
等など……その他多数の方々からの、心温まる嫌味な応援メッセージ。
しかもさぁ、その小さなメモが、真っ黒になるぐらい隅から隅まで書かれてる。
はぁ~、ヤダなぁもぉ。
これが俗に言う、女の子特有の『虐め回し』だ。
多分、女の子なら、必ず1度は経験する、回ってくる『虐め』
対象に関しては、今の状況みたいに、誰かが、誰かにムカつけば始めるんだけど。
今回はまぁ『男絡み』だから、かなり陰湿かつ、長いんだろうなぁ。
女の執念は怖いからね。
因みにだけど私も、龍斗が他の女と付き合ってたら、率先して同じ事したと思うし。
誰かから回ってきたら……まぁ、間違いなく大賛成しただろうしね。
だからこれは、しょうがない、しょうがない。
「はぁ……やっぱり、これが来たかぁ」
「あれ?思っえた以上に神妙じゃないね」
「まぁ~ねぇ~。今回ばかりは仕方ないんじゃない。それに思ってたより来るの遅かったし」
「なぁ~んだ。一応は覚悟してたんだ」
「そりゃあさぁ、幾ら鈍感な私でも、こうなる事ぐらいは予想してるよ。ウチの旦那モテますから……」
「……あぁそうなんだぁ。じゃあ、私も参戦しよ」
「まぁそうだね。取り敢えずは、そうした方が良いよ。下手に私を庇ったら、奈々までマキゾイ喰うからね」
「あれ?泣きつかないの?」
「そりゃあ。奈々に無視されんのキツイけどさぁ……」
「じゃあ、や~~~めた。……そんな虐められても、なにも感じない様な相手を虐めてもツマンナイじゃん。それにさぁ、確かに、私も氷村にはフラれたけど。なんかそう言うネチネチしたのって嫌いなんだよね」
あぁ、なんか嬉しいな。
奈々って男らしいと言うか、アッサリしてると言うか……女特有のネチっこさが無いんだよね。
ほんと友人に恵まれてるなぁ私って。
でも、だからこそ、そんな友人を巻き込むのはゴメンだ。
って言うか、流石に、此処は甘えちゃダメでしょ。
「あぁ良いよ、良いよ。私なら大丈夫だから」
「うん?アンタ、なんか勘違いしてない?」
「うん?私なんか勘違いした?」
「うん、してる」
奈々は2度ほど頭を上下させて頷く。
あれ?これって、女の友情の話じゃないのかなぁ?
「なに?」
「うん?私がアンタの虐めに参加しないのは、影山ってモテる彼氏が居るからだけど」
「がっ!!」
呆れた。
奈々が虐めに参加しない理由は。
今まで自分が、その被害者だったからだったとは……
まぁ、影山もモテるもんなぁ。
にしても、女の友情って、ほんと薄っぺらい。
ひょっとして、紙の厚さも無いんじゃないかな。
「じゃなきゃ、私だって『復讐の鬼』だよ」
「そっかぁ。いやはや、だったら私は影山に感謝するよ。友達が『鬼』にならなかったんだからさぁ」
「うんうん。たっぷり感謝しなよ。……んじゃあ、あんまり気にして無いみたいだから教室に帰るね」
「うん」
奈々は、何度か手を振って教室に帰還。
ほんと良い奴だよね。
まぁそれにしても。
虐めなんて、こんなクダラナイ事を、毎度毎度よくやるよ。
私は、もぅこんなこと日常茶飯事なのにね。
だって私、アイツの『幼馴染』なんだよ。
今まで、こんな経験が無いとでも思ってるのかなぁ?
さてさて、まぁ多分、明日あたりから本格的な『陰湿な虐め』が始まるんだろうから、早めに主犯探そ。
こんなのをいつもでもされてたんじゃ、堪ったもんじゃないしね。
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