【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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犯人捜し

公開日時: 2021年9月10日(金) 00:20
文字数:2,151

●前回のおさらい●

週末、強制的に龍斗の仕事本場に連れて行かれた歩美。


そこで、佐伯庄司と言う老練なカメラマンと出会い。

歩美は『国民性豊かな美少女コンテストに準優勝したら、写真集を作って貰える』と言う約束をして貰う。

(↑龍斗が歩美を仕事の現場に連れて行った理由)


明けて月曜日。

疲れから、学校で呑気にうたた寝をしている歩美だが、例の苛めは継続中。

この日も、椅子に画鋲や、机に嫌がらせみたいな落書きをされていた。


だが、虐められ慣れている歩美は、これ等をさっさと処理し、再びうたた寝を開始する。

「おい、奈々。井上の奴、なんかぐっすり寝てるぞ。コイツ、ほんとに虐められてるのか?」

「うわっ……ほんとだ。どんな神経してるんだろ、この娘」


あれ、奈々だ。

それに影山も仲良く一緒みたいだ。


なんだろうな?


なんか用事かな?



「……ウトウトしてるけど寝てないよ」


取り敢えず、解り易く1人腕枕から視線だけをチラッと覗かせて、奈々を見る。



「なんだ、起きてたの?」

「まぁ~ねぇ~……んで、なんか用事?」

「一応、虐められてないか、心配だから、確認だけしに来たんだけど」

「うん、確認?あぁそれなら、朝から机にマジックで『ブス美別れろ』とか『ブス感染源』とか落書きされて、大忙しだったよぉ」


私は何も気にして無いので、呑気にそんな回答を返した。



「はぁ?んだよそれ?誰だよ、そんな馬鹿みたいな幼稚な事する奴は、このクラスの奴か?」


あれ?なんか影山が怒ってるよ。


やっぱ、熱いなぁ、影山は……馬鹿だけど。



「気にしない、気にしない。モテない奴がヒガンでやったんでしょ。どうせ、この程度の幼稚な事しか出来無いんだから、放っとけば良いの、放っとけば」

「んだよ、こんな事されて、井上は口惜しくねぇのかよ?」

「うん?全然口惜しくないよ。だってさぁ、こんなのバレでもしたら『停学』になるし、内申書に響いて高校受験厳しくなるんだよ。相当な馬鹿じゃない限り、その内、辞めるって。心配ない、心配ない」

「そっ、そうか。……ってか、さっきから気になってたんだけど、お前ってさぁ、そんなキャラだっけ?」

「そぉ~だよぉ~、知らなかった?」

「奈々……そうなのか?」

「本人が、そう言うんだから、多分、そうなんじゃない?知らないけど」

「そう……なんだ」


猫目だからって、見かけだけで、簡単に人を判断しちゃダメだよ、影山。


私は、あの馬鹿以外になら、基本『ちょっと意地悪な緩キャラ』なのさ。

アイツだけは、いっつも懲りもせずにイラナイ事バッカリするから、お仕置きにバシバシ叩くけどさ。


別に、私が怖いキャラな訳じゃないのさ。



「そ・れ・で、どうしたのよ?他には、何か用事はないの?今日は色々あって疲れてんだよね」

「そう!!それなんだけどさぁ。私も、影山も、退屈しのぎに犯人探しでもしようと思ってるんだけど……歩美はどぉ?」

「そう言うこった。奈々に頼まれたのも有るけどよぉ、俺が一肌脱いでやろうってんだ。なんか一方的に、こんな事する奴は許せねぇ。やり方がキタネェぜ」


あれあれ、思った以上に、影山も奈々も熱いんだねぇ。


まぁそりゃさ。

アンタ等の言う通り『虐め』は良くない。

これから毎日、落書き消す身にもなって欲しいって思ってるのは認めるけどさぁ。


別に、そんなに事を荒立てなくても良くない?

そんな事に時間を使うの勿体無いし、なにより面倒臭いよぉ。


それにね。

今の私は、さっきはナンダカンダ文句言ってたけど。

本心じゃあ、アイツと3日間一緒に過ごせて『幸せモード』の満開なのさ。


この程度じゃあ、ビクともしない訳なのさ。



「う~ん。探しても良いけど、どちらかと言うと、別によくない?」

「そうなのか?けどよぉ。相手に好き勝手やられっぱなしってのも癪に障るだろ。その辺は、どうなんだよ?」

「う~ん……別にかなぁ」

「アンタ、さっきから、何でそんな寛大なのよ?虐められてるって自覚有るの?」

「悪いけど、この程度じゃ、苛められてる自覚なんか、全然ないよ」


奈々は、明らかに大声で、それを言った。


ほんと熱いなぁ奈々は。



「……大体そんなさぁ、自分が上手くいかないからって、人を虐める様なツマンナイ奴等と、私は、ほんと関わりたくないんだよねぇ。人に『ブス』だのなんだの言う前に、お前の顔を鏡で見てみってぇの」

「うわぁ……」

「奈々……多分、そいつはさぁ。私なんかより、顔も、心も、醜いブスなんだろうね。……だから、そんなさぁ、心の薄汚い人間と、少しでも、私は関わりたくない訳さ」


クラスの全員に聞こえる様に言ってやった。

流石に、クラス全体が『ザワザワ』なんて音を立ててザワめいてる。


一瞬にして視線が集まったのが耐えられなかったのか、奈々は、やや動揺を隠せない。



「ちょ……歩美」

「なぁ~にぃ」

「何も、そんな大きな声で言わなくても」

「なんで?」

「そんなの敵ばっかり作っちゃうからに決まってるでしょ」

「良いよ。別に……そんなさぁ、隠れてコソコソしか出来無いヘナチョコとか、誰かが替わりにやってくれて、心の中でニヤニヤほくそ笑んでる卑怯者なんか、初めっから味方じゃないし……第一そんな奴なんて全然怖くもないも~ん。寧ろ、単なる馬鹿だよ馬鹿。相手にするだけ損する」


更に私は、声を高らめて言葉を吐く。


その言葉に反応して。

数人の女子が怖い顔して、こちらを睨んでる。


これで奈々と、影山以外、教室にいる人間が、ほぼ私の敵に成ったと考えて良い。


ほんと面白い反応。


みんな、これをやると、同じ反応するんだよね。


ん?何やってるかって?


ほら、さっき奈々と影山が『犯人捜そ』って言ったじゃん。

だ・か・ら、犯人を蜂の巣から蜂を出すみたいに、炙り出してるのさ。



「それとさぁ、もう1つ言いたい事が有るんだよね。……人が大人しくしてるからって、良い気になってると痛い目見るよ。ねぇ掛川さん。どう思う?」


さぁ、此処での主犯は貴方でしょ。



か・け・が・わ・さん。


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