【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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悲し過ぎる悲劇

公開日時: 2021年8月16日(月) 00:20
文字数:4,335

●前回のおさらい●

繭の凶行を逆手にとって脱出をした龍斗。


その場に狂った繭を放置して、すぐさま、歩美の供出に向かう。

 頭の狂った馬鹿な餓鬼は無視して、扉を出て702号室に行く。


隣の部屋を『コンコン』とノックしたら、中から『なんだ、新しい仲間か?開いてっから~~勝手に入れ。今、手が離せねぇんだよ』と、言われたので、勝手に部屋の中に入って行く。



「なんだぁ?テメェ見かけねぇ顔だな?だれだ、てめえは!!」


待ち合い室で待っていた柄の悪そうな男が、俺に罵声を浴びせて来た。


一瞬、ぶん殴ってやろうかと思ったが。

いよきなり殴り掛かるのもどうかと思い、取り敢えずは一旦、その気持ちを抑えて……



「あぁ悪いな。俺は、そいつの彼氏だ。……だから、お前らには用事は無い。さっさとこの部屋から出て行って貰えるか?」

「はぁ~~?何、言ってンだコイツ?こんなSEXしか頭に無い女の彼氏だと?テメェも変態なのか?」


殺したい。



「あぁわかった、わかった。俺は、変態でも、なんでもイイから……兎に角、出て行ってくれ」

「おぉ~~おっ、変態カップルの相方がなんか言ってるぜぇ。『……出て行ってくれ』だとよぉ~。馬鹿じゃねぇのコイツ?カッコ付けてんじゃねぇっての」

「なぁ、もぉいい加減、四の五の言わず出てけよ」

「オイオイなにを睨んでんだかね。まぁそこまで言うだったらよぉ、俺も鬼じゃない。そうだなぁ、俺が、この変態女に満足したら帰ってやんよ。だからクソガキ。テメェは、その間、そこでテメェの女が犯られる様でも見てマスでも掻いてな!!ヒャハハハ……」

「あぁ?歩美が変態女だと……」


我慢するつもりだった。


俺が変態と言われ様が、何を言われ様が構わない。

……が、歩美の事を、そんな風に言う事だけは許せない。


此処が俺の我慢の境界線だった。


初めはコイツらも。

訳も解らずに犯した罪だから、許してやろうとも思っていた。


けど……相手が、言葉の通じない獣では話にならない。



―――ならば、仕方が無い……全員コロシテやる。


身も心も、全て破壊し尽くしてやる。



「はぁ?なんか言ったか坊主?変態のスキモノを、変態女って言って何が悪ぃんだよ」

「あぁそうかよ……なら、吐いた唾を飲むなよ。マジ殺すかんな……テメェ、ぶっ殺してやんよ」

「殺す~?プハハハ……誰が~誰を~~?オマエがか~?ふざけんなよ、クソばびびゅべ」

「……俺、今、ちゃんと殺すつったよね?」


男は鳩尾に入った一発で、ゲロを吐き出すが。

俺は、ソイツの髪を掴み持ったまま、何発も何発も顔面に拳を入れた。


見る見る男の顔は赤黒くなっていき、俺の指には髪の毛が大量に抜けていた。


だが、その程度では俺は止めない。

力なく倒れそうになる奴の髪を、再び両手で掴み。

今度は、膝を何発も顔面に入れる。


その後も、髪が抜けるたびに、まだ抜けていない髪を掴みながら殴り、蹴りを入れ続ける。


瞬時に待合室は血の海になる。



俺は数年ぶりに歯止めの利かない暴走を始めた。


そんな中、不幸にも、漸くこの事態に気付いた、部屋に居た奴が飛び出してくる。



「なんだ?どうしたんだ?なっぐへほら……」

「誰だか知れねぇけど。もぉテメェもコイツと同罪だよ。さっさと死んじまえよ」


扉が開いたのに気付いた俺は、今度は問答無用に殴りつけた。

一瞬にして扉は砕け散り、扉の真ん中に穴が開く。


男は不運にも、その壊れた扉の上に転がる羽目になる。


俺は、そこに容赦の無い踏み付けを行い。

男には砕けた扉の破片が背中に刺さり、余りの痛さに口から泡を吹きながら気絶する。


そんな状態に成っても、男に何度も踏み付けを敢行する。

既に部屋の中は、血の海どころか、血の臭いで充満し始めている。



一時したら動かなくなったので、部屋の中に入って行く。



中には2人の男が居て。

歩美に抱きついたまま、放心状態で、こちらを見ている。



「何してんだテメェ等?」

「いや、これは、その、違う。違うんだ。なぁ」


男は、訳もわからず犯されていた歩美に向かって助けを求めた。



「なに~?もうしないの~?もっと、歩美としようよぉ~~~。えへっ、これをすると歩美は凄く気持ち良いんだよ~。ねぇねぇ、体中に一杯かけても良いからさぁ~~~。やろやろ。ねぇ、ねぇってば~」

「あっ、歩美……」


無茶苦茶にされて歩美は、精神に傷が付いてしまった。



―――歩美は、そんな事を言う女じゃない。


なんで、こんな事になっちまったんだよ?


俺達、何もしてないのに。



「なっ、なに言ってんでしょうかね、この女わ。おっ、俺達、そんな事してないですよ」


そんな中、空気の読めない馬鹿が口を挟む。



「あぁ?この女だと?……テメェ……人の大事な女を捕まえて、この女だと!!」

「えっ?ちっ、違ぎゃばら……」


一気に駆け込み、顔面に蹴りを入れる。

一瞬の事で、男には何が起こったか解らない状態だろうが、知ったこっちゃない。


腕を折り。

足を折り。

心も折る。


何も抵抗できないまま男は、瞬時に重症患者に成り下がった。



「あぁ~あっ、もぉ死んじまったかなぁ。なぁ?どうなんだよぁ。答えろよ」

「ぐぷっ……」

「ケッ!!この野郎、まだ生きてやがるのかよ……もぉいい加減、さっさと死ねよ」

「ぐはっ、げふっ」


何度と無く繰り返した行為を、更に続け、男の意識を完全に刈り取る。



「ケッ!!……んでよぉ。テメェは、いつまで歩美に、くっ付いてるつもりなんだ?本気で殺されてぇのか?」

「いっ、いや、あっ、あの……」

「あぁ?つぅか、テメェ、どっかで見た事のある面だなぁ?俺と何処で逢った?即座に答えろよぉ」

「あっ、あの……」

「あぁ?」


男を、強引に歩美から引き剥がすと、Tシャツを捻り上げる。



「んだ?ハッキリ言えや」

「ビッ、ビーストの……」

「あぁん?ビーストだと?……あぁ、テメェ思い出したぞ。あん時のクソか」

「はっ、はい」

「んで?テメェは、此処で、何してやがる?誰に唆された?事と次第じゃあ、半殺し程度に勘弁してやっても良いぞ」

「まっ、繭……白石繭って女に、さっ、誘われました」

「あぁ?んで?」

「あっ、あの女、前に俺達が、ひっ、氷村さんにやられたのを、なんでか知ってて。復讐の為に、歩美さんを犯さないか?って言われて」

「犯すだと?テメェ、それを知っててやったつぅ~のか?」

「ちがっ、違います。あっ、歩美さんがスキモノで、男を捜してるって話だったんです」

「……チッ!!あぁそうかよ。事情は解った。ただ間違い無く、あの女がそう言ったんだな?」

「はっ、はい」

「そうか……悪かったな」


矢張り、事情は思った通り、この馬鹿共は繭に唆されたみたいだ。


かと言って。

こんな事が許せるほど、俺は人間出来てはいない。



「いえいえ、そんな」

「そう思うんだったら、此処での揉め事は、テメェ等が起こした事にしろ」

「はっ、はい」

「但し、オマエも半殺しな」

「なんで~ギャブッ」

「ボケが……テメェだけ無傷なのは、おかしいだろ」


そうやって部屋にいる人の形をした獣を、容赦なく殴り、蹴り、血みどろにした。


『助けてくれ』等と言っていた様だが……俺には、獣の言葉は解らない。


―――だから、動かなくなるまで、暴力を行使した。


こうやって、時間にして10分程でカタは付いた。


獣共はピクリとも動けない程、重傷になっていた。


腕が変な方向に曲がっている者。

顔が腫れ過ぎてロクに呼吸が出来ない者。

机やベットの様な調度品が刺さって動けない者。

もう生きているのか、死んでいるのか解らない位、虫の息の者。


ソイツ等は皆、同じ言葉を吐き続ける。


『助けてくれ』と……



だが、俺は、そんな事知った事じゃ無かった。


歩美の方を、早く、なんとかしないと……



そんな騒然とした部屋で、歩美は笑いながら、次の相手を待っていた。


体を男共に穢され。

口から涎を垂らしながら、そんな笑みを浮かべている。


その姿は自分の彼女だけに、とても見られたものではない。


だが、なんで、歩美が、こんな目に遭わなくちゃいけないんだ?

コイツは、色んな事を我慢して、ず~と頑張ってきたのに……


それでも、どんな事があろうと、俺は歩美だけが好きだ。

一生掛けてでも、コイツと添い遂げるつもりだ。



―――絶対に諦めない。



「ねぇ~~~、何処に行っちゃたの?誰も居ないのぉ~~~?ねぇ、ねぇ、誰か、続きをしよぉよぉ……ねぇ、何処にいるの?……もっとしようよぉ~~~」


見るからに、以前の歩美の姿は何処にもない。


―――だから、なんだってんだ?

そんな事なんか、もうどうだって良いじゃないか。


俺は、今の歩美を愛すれば、それで良い。



「……歩美……」

「あぁ~~~なになに?誰々?ひょっとして新しい人かなぁ~~。ねぇ、ねぇ、歩美としよぉ~よぉ~~。凄く、気持ち良いんだよぉ~~~。みんな楽しそうにね。歩美の体に触れるんだよぉ~~~。そんでね、そんでね。直ぐに、一杯、暖かい物を出すんだぁ~~~。すごいでしょ~おにぃさん。ねぇ、歩美、偉い?」


目隠しを外してみたものの。

それでも、俺と言う存在すら理解出来ない様だ。


そんな歩美を、俺は思い切り抱き締めてやる事しか出来ない。



―――無力過ぎる。


俺は、歩美にこれ以上の事は、なにもしてやれない……



「ほぇ~~~、なんだか知り合いの人みたいだねぇ~~。フフフ……アハハ……気持ち良いなぁ。ねぇ、おにぃさんと一杯したいなぁ。おにぃさん、歩美じゃダメかなぁ?」

「あぁそうだな。俺も、一杯、オマエとだけしたいよ。お前以外なんかイラナイ」

「えへへ~~~、ほんとぉ~。嬉しいなぁ~。歩美も、おにぃさん大好きだよぉ~~~。えへへ~~~、おにぃさん優しいもん」

「くっ……くそ~……なんで、なんでだよ。なんでこんな事に……」

「おにぃさん、なんで泣いてるの?どこか痛いの?痛いんだったら、歩美が治して上げる。痛いの痛いの飛んでけ~!!……どう?まだ痛い?」

「ハハッ、ありがとう。もぉ大丈夫だよ。歩美のお陰で、痛いのなんか、どこかに飛んでいっちゃったよ」

「へへぇ~~~良かったぁ♪」


そんな風に無邪気に笑う歩美が……痛々しい。


兎に角、2人で此処を出ようと考えた俺は、歩美に服を着せた。



「ねぇ、どこに行くのぉ~~~?歩美を、どこかに連れて行ってくれるのかなぁ?だったら、凄く嬉しいなぁ~~~」

「残念。何処にも行かないよ」

「ぶぅ」

「家に……家に帰るんだよ」

「ふ~~~ん、そうなんだ。じゃあ歩美は、また1人ぼっちだね」

「違うよ。歩美も一緒に行くんだよ」

「そうなの?でも、歩美が行っても怒られないかなぁ~~~?怖い人いない?」


「怒られるもんか。それに、怖い人が居ても、俺が全部退治してあげるよ」

「すごい、すごい!!おにぃさん強いんだねぇ~~~」


後は何も見ずに、部屋を立ち去る事にした。


だが、イケなかったのは、この時、俺は完全に気を抜いていた事。


『ガチャ!!』

『ブスッ!!』

扉を、開けた瞬間の出来事だった。


歩美が、俺を、ジィ~と見つめたまま無言で倒れて行く。

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