【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
殴り書き書店

お母さんと、お父さんの馴れ初め

公開日時: 2021年9月22日(水) 00:20
文字数:2,014

●前回のおさらい●


何故か最悪な状態に成ってしまった、歩美ちゃんの誕生日会。

その状況を、必死に成って打開しようとする歩美ちゃんに、玄関口でチャイムが鳴る音が……


慌てて、そちらに向かおうとするが。

歩美ちゃんよりも先に、困ったオジサン方にうんざりしていた歩美の母が動いてしまう。

 なんて期待して玄関に行って見たら、来てたのは花屋さん。


なんだか凄く大きな花束を持って来てくれている。


しかも、その花束って言うのが、薔薇……なんてベタなものではなく、綺麗に、また可愛くコーディネートされた花束。


ラッピングしてる包装紙ですら拘りがあり、トータル的に上手くコーディネートされた見事な花束。


なんとも、アイツはセンスが良いなぁ。

薔薇一杯の花束なんて送ってきたら、ドン引きだったのに……


私の好みを、良く解ってらっしゃる。


早い話、嬉しい!!



お母さんも、それを見て妙に関心してるしね。


良いでしょ~、お母さん。

お父さんには、真似出来無いでしょ~。


なんて、お母さんに、妙なライバル心を剝き出しにする私。



「良かったわね、歩美」


そんな言葉を言ってるけど、お母さん目が笑ってない。


あっ、あれ?

そこは普通、娘の彼氏がセンス良いんだから喜ぶ所じゃないの?



「うっ、うん?……お母さん、どうかした?」

「ちょっとね。……花束を見て嫌な事を思い出したのよ」

「どっ、どうしたの?」

「お父さんたらね……」


あぁそう言う事かぁ。


お父さんって、そう言うセンスが、全くと言って良い程、無いもんね。



「初めてのデートの時、タキシードに『大きな薔薇の花束』持って来たのよ。……しかも、指定した待ち合わせ場所が『ハチ公前』よ。……信じられる?」

「うわっ!!自分の親ながら、信じられない!!」

「だから、こんな綺麗な花束贈ってくれる龍斗君って、ほんとセンスの良い子ね」

「良いでしょ~」


なんか、お母さんに初勝利な感じ!!


ヤッパリ、神様は公平だ!!


んっ?ちょっと待って……って事はなに?

私の考えからいけば、アイツにとって、私って、そう言う存在な訳だよね。


うぅ~!!なんか一気に悲しくなってきた。


しかも、私のそんな気持ちを追い討ちする様に、この後、意外な言葉が、母の口から齎された。



「お母さん、龍斗君貰ちゃおうかな」

「へっ?」

「だってお母さん。お父さん以外と付き合った事ないんだもん」


ジョ……ジョ……ジョ~ダンじゃない!!


あげない。


あげない。


絶対にあげない。


それに冗談でも、そう言う事を言わないでよ。

一瞬お母さんが、龍斗と付き合ってる所を想像しちゃったじゃない!!


それも、お似合いのパーフェクト・カップル。


冗談じゃないよ!!


龍斗は私の!!


でも、お母さんが、本気でそんな事を言ったら、アイツどうするんだろ?


私、簡単に捨てられるのかなぁ?


先程のお母さんへの初勝利の心境は消え、悲しくなってきた。



「お母さん……冗談でも、そんな事は言わないでよ。私から龍斗を盗らないで……お願いだから」

「えっ!!」


母にしたら、少し私をからかっただけのつもりなんだろうけど、私にとって、これだけは本当に死活問題。


なにがあっても、冗談ではすまない。


こう言う所が、まだまだ私は子供なんだろうな。


それでも言葉は切れる事無く、母に向かって投げかける。



「私には、龍斗しかいないから……あとの誰が、みんな、お母さんを好きになっても良いから」

「歩美……」

「だから、もぅ絶対そんな事だけは、冗談でも言わないで」

「ごめんね、歩美。……お母さん、少し悪ノリが過ぎたみたいね。でも、歩美は、本当に龍斗君が好きなのね」

「うん……大好き。お母さんは、お父さんの事が好き?」

「好きよ」

「でも、お母さんだったら、別にお父さんじゃなくても、選り取り見取りだったんじゃないの?」

「そうね」


そこの否定はしないんだ……


それにやっぱり、選り取り見取りだったんだね。



「でも、お母さんね。昔から、変に器用な人より、不器用で一途な人の方が好きだったのよ。だからこそ、お父さんの事が好きになったのかもね。……って、もぉこの子は、母親になに言わせるのよ、恥ずかしい」


人それぞれの好みかぁ……私には、まだ解らないや。


ヤッパリまだ、見た目とかで判断しちゃうもんな。


そう考えると、ほんと私は、まだまだ子供だなぁ。



「ところでお母さん。お母さんって、大学卒業1年で、お父さんと結婚したよね」

「したわよ」

「それって、早くない?」

「そぉ?でも、お母さん、お父さんにゾッコンだったもん」

「そうなんだ……でも、幾ら好きだからって、そんなに簡単に決めれるものなの?」

「決めれるわよ」

「なんで?」

「アナタが、お腹の中にいたからよ。それにお父さん、もうその時には、実家のパン屋さんを継いでたしね。経済力があって、好きな男性、最愛の娘がお腹に居る。結婚しない理由なんて、どこにもないでしょ」


あっ、そっかそっか!!

私、その時点で、もぅお母さんのお腹の中に居たんだ。


どうも、お母さんの見た目で年齢が狂ちゃうんだよね。


お母さん39,39。


んっ?

そう言えば、未だにお母さんの年齢を言い当てた人って居ないよね。


それに、あの馬鹿が言ってた『親父でも解らない』って本当かなぁ?


う~ん、なんか妙な事が気になってきたぞ。


なら此処は1つ、ノリの良いお母さんに頼んで、龍斗のオジサンを一回試してみよっと。


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート