【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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交差する想い

公開日時: 2021年10月3日(日) 00:20
文字数:2,145

●前回のおさらい●


一悶着あった後、仲直りしながら、なにやら少し龍斗から話があるみたいですね。

「いやな。お前のオバサンって歳取んねぇだろ」

「いや、歳取るから!!」


こらこら、人の親をなんだと思ってるんですか?


お母さんは化物じゃないんだからね。

ちょっと人より、年をとる機能が劣化してるだけなんだからね。



「あぁ悪い。年を取り難いだろ」

「うん。まぁそうだね」

「だったら、前に言ったけど、お前にも、その可能性が有る訳だよな」

「まぁそりゃあ、確率的には有るだろうけど……そんなの年取んなきゃ解んないよ」


解んないよ、そんな事。


それに、なにその化物的な扱い。


まぁ化物だけどね。



「そこでだな。お前に、少し確認したいんだけど」

「うん、なに?」

「例えばだな。お前の中の、その遺伝子が発動したとしよう」

「うん」

「それで俺達は同い年にも拘らず、お前は若いまま、んで、俺は糞ジジイになる訳だ」

「まぁそうかな」

「そこで、お前に質問」

「なっ、なに?」

「自分が若いままでも、ジジイ愛せるか?」


プッ!!


なにそれ?


馬鹿じゃないの?



「なにを心配してるのかと思えば」

「いや、流石に、寂しい老後はキツイ」

「そんなの離婚よ離婚。私の綺麗な若い体を、ジジイになったアンタになんか触らせないわよ」


うそ、うそ。

ジジイとか関係ないから。


今、こんなに愛して貰ってるのに、馬鹿な事を聞かないで。


私は、ズッと龍斗が好きだよ。



但し!!浮気したら、即、別れるけどね。



「そっか……だよな」


思いの他、凹んじゃった。


だから嘘だって……



「冗談に……」

「ジジイになって触らせて貰えないんだったら、今の内に触り倒したる!!」

「えっ?ちょ、うっ、嘘!!」


龍斗は言うや否や、本当に襲い掛かってきた。


しかも、手つきがエロイ事、エロイ事。

私の折角、乾いた下着も、あっと言う間にビチャビチャ。



「イヤだぁ~~~!!もぅ!!」





そして私達は、朝までお互いを求め続けた。


その間、龍斗の真剣な話を聞いた私は、強くコンドームをする事を拒否。


心配してくれて自ら着けようとしても、首を横に振って見せた。


私は、真剣に龍斗の子供が欲しくなっていた。


でも、本当に、それで良かったのだろうか?

好き同士だからOKなんて、そんな馬鹿の話じゃなくて、世間体の話。


仮にも2人は、多少なりとも世間には名前の売れている人間。

そんな2人が、もし……子供が出来てしまったら、世間はなんて思うんだろ。


だらしない。

淫ら。

不潔。

ミットモナイ。

私は、そんな誹謗中傷を受けた所で、なんとも思わない。

言いたい奴には、言わせて置けば良い。


が……龍斗や、両親は違う。

龍斗は、私なんかとは格の違う世界で生きてる人間だ。

そんな彼の経歴に、私なんかが簡単に傷をつけて良い筈がない。


それに両親。

2人が言われのない誹謗中傷を浴びるのは間違っている。

こんなに大事に育てて貰ったのに、恩を仇で返す結果になってしまう。


やっぱり、好きだけでは、こんな事をしてはいけなかったのかも知れない。


私は反省を、何度も、何度も繰り返すばかりだった。



でも……それは、所詮、終わってしまった事。


もぅ取り返しようもない。


実際、龍斗も私の中に何度も、射精してくれた。

言い訳じゃなく、この行為を、本気だと信用するしかない。


彼も同じ想いだったって事を……



私は、少し気になって、龍斗に、こんな事を聞いてみた。



「私と、龍斗の子供……出来てると良いね」


そう言った私を、驚く様子もなく。


彼は、そっと抱き寄せてこう言ってくれた。



「今更、何言ってんだよ。もぅ、とっくの昔に婚約指輪渡しただろ……忘れたのか?」


あの時の指輪の話を、彼は本気だったようだ。


これを聞いて安心したのか。

こみ上げてくる涙をポロポロ流しながら、私も言い返した。



「憶えてるよ。……だからね。嫌じゃなかったら私を貰って……私は、アナタと一生一緒に付いて行きたいの」

「何を今更、アホか。嫌な奴にイチイチ指輪なんか渡すかつぅ~の。それにな、お前を貰う事なんか、俺が、この世に生まれた時から決まってる事だろ。……俺は、お前を幸せにする為だけに、存在してんだよ」

「龍斗……ありがと。もぅ死んでも良いよ。大好き」

「バカチン。死なれちゃ困るだろ。俺が生きて行く意味がなくなっちまう」

「クスッ、ば~かっ」


まだ、この後ほんの少しだけ、私の幸せは続いた。



***



 これは、本当に、私の思い出なの?


いや、それ以前に、これはなに?


全てが、不思議な感覚だった。

見ているもの全てが、まるで今体感した様な感覚で、私の体の中を随時通過する。


今の思い出にしてもそう。

龍斗とHした時は、思い出と同じ様に体が感じ。

感動に涙した時は、同じ様に泣いた。


それでも矢張り、この記憶も私には無い。


私が、龍斗とHをしたのは、後にも先にも、彼の家でした、あの一回きりだ。


だから、本来の私と言う存在は、此処には存在しない。


それにもし、これが走馬灯だと言うのなら、もっと切れ切れに、それでいて瞬間的にして思い出す筈だ。


1つの記憶が、事細かに長過ぎる。



なら、此処はなに?


考え方次第では、心臓にナイフが突き刺さった私にも、まだ生きるチャンスが有るって言うの?


そんな都合の良い話があるの?




―――こっちの私は、なにも解らない。


ただこの世界も、私の世界と同じ様な結末を迎えるならば、少しは抵抗出来るかも。


せめて、こちらの龍斗と、私には幸せになって欲しい。



今は、それだけは望んでいる。


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