●前回のおさらい●
他の世界(パラレル・ワールド)での繭ちゃんの凶行を阻止した歩美ちゃん。
意識が遠のいて行った後、彼女に救いはあるのか?
2004年08月20日 AM02:17 帝王ホテル
『ズキッ!!』
心臓に突き刺さる痛みで、再び、悪夢の様な現実に引き戻された。
この痛みからして、矢張り、先程まで私が居た世界と言うのは。
私がそうなって欲しいと思う、ただの『願望』が作り出した世界だったみたいだね。
だから、それが終わった私は、やっぱり、このまま死ぬんだ。
そっか……仕方ないよね。
でも、以前と比べて、少しは、今の現状にも納得出来る感じがする。
心に余裕が有るって訳じゃないけど、ちょっとした達成感があるからこそ、こう言う心境に成れているのかも知れない。
だからもぅ、以前の様な、死ぬ事に対する、恐れや、恐怖も薄れてる。
なら後は、龍斗に謝るだけだ。
これが、現世での私の最後の仕事。
「おい、歩美、歩美……」
身体を揺すって、安否を確認しようとする龍斗の手には、べっとりと私の血が見えた。
……はぁ、やっぱりダメか、これじゃあ、どう考えても致命傷だね。
一瞬それを見るまでは。
痛みはあるけど、ひょっとしてと思ったけど……現実は厳しいや。
世の中は、そんなに甘くないもんだね。
だったら、もぉ早く龍斗に謝まろ。
もぅトコトン時間がないみたいだし。
「……龍斗?……龍斗なの?……ゴメンね。私……私達の子供……流れちゃった……」
明らかに私の意識が切れ掛かってる。
目も掠れて、龍斗の顔も、もぉ良く見えないや。
残念だなぁ。
泣き顔でも良いから。
最後にもう一回、あの大好きな龍斗の顔が見たかったのに……
……ほんと残念。
「大丈夫だ……お前が、無事なら、子供は、また作ればいい……また一緒に作ろうな……お前がいれば……」
ふふっ、無茶言わないでよ……
今だって、息を吸うのも苦しいって言うのに……
……話すのだって、もぉ精一杯なんだよ。
目も、今では、もぅ殆ど何も見えていない。
こんな状況じゃ、どう考えても無理だよ。
助からないよ。
だから私は無理をして、息を吐くと同時に、声をそこに乗せた。
「……もう……もうね。無理かも……私、死んじゃうみたいだし……ははっ、ごめんね。なんで私って、いつもこうなんだろ……」
「そんな事ない……そんな事……ない。大丈夫だから……それに、オマエのドン臭いのは、今に始まった事じゃないだろ!!こんな程度のミスなら取り返せる。大丈夫、大丈夫だって」
「うるさ……いわよ……でもねぇ……龍斗…………愉しかったよ……私……貴方に逢えて……本当に幸せだった……」
良かった。
最後の最後に、私は、コイツに謝罪も、感謝も伝えられた。
それに、龍斗に出会ってから一番言いたかった『本音』すら言える事が出来た。
多分、これで、最低限度の私の意思は伝わった筈。
―――ならもぅ、本当に思い残す事は無いよ。
「なに言ってンだよ、オマエ?馬鹿じゃネェの?そんなもんなぁ。そんなもん。まだまだ、これからだろ!!思い出だって、一杯作るんだろ!!」
「ははっ……そう…だね……そうだといいな……」
力なく最後に笑顔を作ってみるけど、どうかな?
龍斗……私、変じゃないかな?
貴方に見せる最後の顔ぐらい、少しは可愛く見えてるかな?
私……ちゃんと笑えてる?
「なんだよ!!『そうだといいな』とか言うなよ……俺……お前が横に居ないと、ダメなの知ってるだろ!!だから、行っちゃダメだ。行かないでくれよ…………歩美~」
「泣かないで、龍斗……大丈夫だよ、龍斗なら……私……龍斗と出会えて……本当に良かったよ……ゴメンね……」
それだけ言うと、私の全身から力が抜けて、龍斗の腕からすり落ちていく。
バイバイ。
最後まで迷惑かけてごめんね。
でも、またアナタとは、何所かで必ず逢いたいな。
それまでは、少しだけお別れだね。
ゴメンね。
バイバイ……龍斗……
―――FIN
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて『クライカコの全編』は終了となります。
終始、救いのないお話でしたが……皆様はどう感じられたでしょうか?
正直言えば、この最終回で【歩美ちゃんを救う事も考えた】のですが。
例え、1つの事象が上手く行ったからと言って、全ての事象が上手く行く事は無い……っと言う意志を伝えたかったので、このお話では、敢えて『歩美ちゃんを殺してしまう』選択をさせて頂きました。
結論を言えば、私が言いたかった事は『なにがあっても過去は変えられない』
どれだけ別の世界で過去を変えようとしても、その時点で問題を解決出来なかった者には未来がない。
非常に厳しい意見なのかもしれませんが『現代では、そんな都合の良い事なんて有り得ない』んですよ。
ですから皆さんも【今】を大切に生きて下さいね。
じゃないと、本当に後悔する事に成りますよ。
―――殴り書き書店でした。
【余談】
あぁっと、これは本当に蛇足なのですが。
この文章量で『約一冊分の文庫本サイズ』に成ると思いますです。
良かったら、この辺も考慮して、小説を書いてみて下さいね♪
―――今度こそ、おちまい(*'ω'*)ノ
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