プロローグが、少々長いので、2話に分けて置きましたです(*'ω'*)
2007年7月17日 AM4:28 氷村邸
ベットから、ゆっくりと身体を起こし。
時計を確認すると、まだ日も登らない深夜の時間帯。
静かで、電気の消えた真っ暗闇な部屋には、空しく、外の雨脚が強くなった事を表す雨音だけが聞こえている。
そんな中、今の俺はと言うと。
夢での出来事を象徴する様に、寝汗をタップリと掻いて、既に、全身が汗まみれだ。
―――兎に角、不快だ。
付け加えて、雨が湿気を含ませて部屋に充満しており。
精神的には、不快指数が100を優に超えてしまいそうな勢いだ。
目覚めてしまった事を、少々後悔しながら。
俺は、寝起きの頭を2~3回くしゃくしゃとし思考を巡らせる。
『夢か………』
答えは明確にかつ、当然の如く簡単に出て来る。
それ以外は、全く何も考えられない。
勿論、何処かで『井上歩美が生き返っている』事を知らしているなんて、都合の良い馬鹿な事すら思い付かない。
そんなメルヘン・チックな思考は、全く必要無い。
在り得ない事は、無駄でしかない。
『ガンッ!!』
それでも鬱積した精神的苦痛で、おもむろに力一杯壁を殴る。
勿論、手には痛みが伴ったが。
そんな事はどうでも良かったし、これで今が夢の中にいない事も確認出来た。
だからと言って、どうと言う訳でもない。
「くそっ!!」
結局、夢じゃなかったからと言っても、結果は夢となんら相違は無い。
寧ろ、痛みで活性した頭からは、歩美の在りし日の思い出が吹き出して来るだけで、更に精神衛生上には、ちっとも良くはない。
―――ソレが脳を循環するだけで、今にも気が狂いそうになる。
そうやって自分を責めた所で、彼女が戻って来ない事も解っている。
どうしようもない事も、同じく解っているつもりだ。
だとしても、現状で、この思考が車のブレーキみたいに止まってくれる程、人間の脳が上手く出来ているとも思えない。
最終的には、思考が同じ所を、馬鹿な犬が自分の尻尾を追い廻すが如くグルグル廻るだけ。
無意味な罪悪感に蝕まれながら1人イライラしているしかない現状でしかないようだ。
勿論、イライラしてるからと言って、何かが変るなんて事等は一切ない。
普段なら、この様な無音の部屋は、仕事をする為にも、神経が研ぎすますにはもってこいの部屋なんだが……
思考がそっちに向いてる分。
静寂は、今、見たばかりの夢の中での出来事を鮮明に思い出させてしまう。
だから音が無い分だけ、俺の耳には夢の中の台詞が繰り返されるている。
『そんなに、私の事を見ていてくれたのに『なんで、私は死んだの龍斗?』……なんであの時、助けてくれなかったの?……ねぇ……なんで?』
その言葉が、何度も何度も繰り返され、俺を責めている様に感じられる。
止めどなく。
止めどなく。
止めどなく。
それら責め苦は終わる事は無い。
そんな状況でも、矢張り、俺には何も出来ない。
どうやった所で、相手が死んでしまっているのだから当然だろう。
罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感・ 罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪感 ・罪悪……
マイナス因子や、ネガティブな精神が、この部屋の支配権を請求する。
断っても、断っても、請求して来る。
それこそ、まだ学校や友人の前なら、平静を装って心の切り替えも出来たかも知れない。
ただ此処は、どう考えても俺の部屋で、ソレを装う必要性が無い。
だからこそ、この現状では、本当に救いがない。
勿論『誰かに、この状況から救って欲しい』とも考えてはみたが。
歩美を助けられなかった、こんな俺が、誰かに助けを求める事自体、厚かましいってモノだと思える。
だから、例え、俺がこの場で正気を失おうとも、誰にも助けて貰えるなんて事は思わないし、思えもしない。
きっと、俺なんか、このまま朽ち果てるべきなのだろう。
……あの時、歩美と一緒に死んでしまええれば救いも有っただろうに。
そう思えた。
只、此処で1つだけ言い訳をしておきたいが、俺は、決して『井上歩美』を忘れていた訳ではない。
寧ろ、忘れられる訳もない。
これ自身も、既に、誰に言い訳しているのかも解らない。
思考が腐ってる。
毛布に包まって。
自分の不甲斐無さを再確認する事ぐらいしか、俺にはする事がない。
***
そんな状態の時に、不意に下から誰かが階段を登って来る気配がした。
そして、気配は、俺の部屋の前に止まった。
『コンコン』
俺の部屋の扉を誰かがノックしている。
今、この家には、俺以外、誰もいない筈なんだが、何故、扉からノックが聞こえる?
誰が、俺なんかに用事が有るんだろうか?
そんな不安は、発せられた声によってかき消された。
「お~い。どうしたんだタツ?こんな時間に、まだ起きてるのか?」
聞き覚えのあり、親しみのある、唯一の肉親である父親の声だ。
「……親父か?帰ってたのか?」
声と態度で父親だと解っていたが、確認の為に声を出してしまう。
―――今は、誰かワカラナイノハ、コワイ!!
「おぅ、さっきエクアドルから帰った所だ……まぁ、帰って来た途端に、壁を殴る『ガンッ!!』って、音が鳴ってたんだがな。どうした、なにかあったのか?」
「あぁ悪いな、親父……今、夢で『井上歩美』に逢った。……それで『アノコト』を思い出しちまった」
蚊が飛んでる様な、細い声で切り出した。
「歩美ちゃんか。可愛い娘だったな……もう何年になるんだ?」
「今年の8月19日で3回忌……」
「そうか……もう3年にもなっちまうんだな。…………アノ忌わしい事件から……」
……………3年前、あいつは、俺の目の前で殺された。
助けてやる事も出来たかも知れない状況でだ。
―――だが、俺は助けられなかった。
そして俺だけが、生き意地汚く無様に生き続けている。
俺は……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これでプロローグはお仕舞で、話の概要はこんな感じです(*'ω'*)
まぁ、どうやっても救いはないですね(笑)
さてさて、此処から過去編に入って行くわkですがさてさて、此処から過去編に入って行く訳ですが。
こんなお話ですが、まだお付き合い頂けるなら嬉しく思います。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!