【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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判断し辛い話

公開日時: 2021年8月28日(土) 00:20
文字数:2,059

●前回のおさらい●

奈々との喧嘩を謝ろうと思い、奈々のクラスにやって来た歩美。

そこで謝って和解するが、龍斗と、奈々の彼氏である影山が出て来て……龍斗が思ってた以上にモテる事を知る歩美。

 3月7日 PM4:22 帰宅通路


昨日とは違い。

仲直りした私達は、喧嘩をする要因もなく、和やかなムードで奈々と2人で帰路についていた。


そんな訳なので、今日はなんだか奈々ともっと一緒に居たいのでバスで帰るのはパス。

自分の家を通り越して、奈々を送る為に近所の駅まで歩いて行く事にした。


それにしても……アイツって、そこまでモテるんだ。

阪城ユキ・植田秋穂・玖珂友里・橋田響子って言えば、かなりモテる女子だし。

そこに私の親友の高井田那美・沢木奈々……それに付け加えて松浪香織。


校内で、アイツにコクってない美少女が居ないって位、ハイレベルな話。


なのに、なんでアイツ付き合わないんだろ?


……ひょっとして、奈々の言う通り、本気で私なんかに惚れてるとか?


―――あぁないな、ない、どう考えてもないな、有り得ない。


そんなの考えるだけ虚しい。


そんな虚しいだけの思案をしていると、奈々が声を掛けてくる。



「しかし、驚いたね……あそこまで凄いとは思わなかった」


奈々も私と同意見らしく、アイツの生態に驚嘆したらしい。



「まぁ、多少の予想はしてたけどね」

「えっ?歩美なんの話してるの?ほんとに予想してたの?」

「へっ?いや……アイツがモテるって話」

「違う違う」


笑いながら、奈々は手を振る。


彼女の良くやる仕草だ。



「じゃあなによ?」

「あいつさぁ。私と歩美が揉めてるの知ってたから、あんな事したんじゃない?」

「へっ?ないない。そんなの絶対有り得ないでしょ」

「そうかなぁ~?」

「そうだよ」


奈々は、少し考えている様だ。


ただ何か確信めいた物を持っているらしく、即座に反論してくる。



「やっぱ、そうだよ」

「なっ、なにが?」

「アイツ、やっぱアンタの為に、アレをやったんだよ」

「なっ、なんでさぁ」

「じゃあ質問」

「なに?」

「なんでB組のアイツがC組から出て来たの?」

「たまたまC組に用事が有ったとか?」


有り触れた答えだけど、実際、その程度の事なんじゃないの?



「多分、違うね」

「じゃあ、なにさ」

「私の推理じゃ。アイツ、影山と話し合ってたんじゃないかと思うの……どう、それなら完全に辻褄が合うでしょ」

「まぁ、そりゃあ辻褄だけは合うかも知れないけどさぁ。そんな事して、アイツになんかメリットがあんの?」

「有るんじゃない」

「例えば?」

「身に憶えない?」

「??????……無いけど」

「はぁ……アンタって、とことん幸せ者だね」

「???」


なっ、なに?

私って『天然』の上に『ボケ』迄付くの?


奈々の言ってる意味が良く解らない。



「解んないみたいだから説明してあげる」

「うっ、うん」

「この推理にはね。幾つかの要素が有るの」

「どんな?」

「良い……まず1つ目は、私と歩美が揉めている事」

「うん」

「2つ目は、私と影山が彼氏彼女な事」

「うっ、うん。よく解んないけど。それも要素なんだ」

「3つ目は、私と歩美が仲良くした方が良いと、アイツ等2人ともがそう思っている事」

「ちょ、ちょっと待って……そりゃさぁ、誰だって仲が悪いより、仲が良い方が良いと思うけどさぁ。なんでそこまで、アイツ等がする必要あるの?」

「ハァ……アンタって、そんなに酷い天然ボケだったっけ?」


奈々は、自分の頭を押さえている。


あれ?私、そんなにおかしな事言ったっけ?



「あのねぇ、まずにして、影山は私の彼氏なんだから、自分の彼女が喧嘩してるのに仲裁しない訳にはいかない……だったら、自ずと氷村の話に乗るでしょ」

「あぁ、うん。多分そうだろうね」

「なら、その時点で氷村は、那美の件で、私とアンタが喧嘩してるのを、どこかで嗅ぎ付けたんじゃないの?」

「あぁ確かに、アイツって、そう言うの敏感だよね……でもさぁ、なんでアイツがそこまでするの?」

「うわっ。凄い天然だ」

「あっ、あれ?なんか変な事言った?」

「まぁ良いけどさぁ……ところで歩美、アイツってさぁ、責任感強くない?」

「あ~、そう言えばそうだね……あっ、そっか!!そう言う事」

「漸く解ったみたいね」


奈々は、なんか嬉しそうな顔をしている。


きっと、私が理解した事に満足したんだろうな。



「うんうん。自分の事で喧嘩されるのが嫌なんだ。なるほど、なるほど」

「……かっ、確認するけど、アッ、アンタって馬鹿?」

「えぇえぇ~~~」


今度は『馬鹿』って言われた。

って事は、まだなんか解って無いのかな?


もぅ奈々の話は難しいよぉ。



「もぉほんと馬鹿過ぎるよ。普通、此処まで言ったら理解出来ると思うんだけど」

「だってさぁ~。奈々の言い回しムズイよぉ」

「あぁもぅ……単に、アンタが好きだからに決まってんでしょ」

「誰がよぉ?」

「氷村が!!」


ははぁ~~~ん。


なるほどねぇ。

この感じからして、奈々は、どうしても、昨日の意見を通したいらしい。


それでこんな風に言って来てるんだ。


まぁさぁ、ほんとにそうなら良いけどさぁ。

今の現状では、どう考えても、そんな事は有り得ないって……


大体にして、アイツって、数々の可愛い女の子をフッて来た奴だよ。


それが私の為って言うのは。

ちょっとどころか、無理が有り過ぎるんじゃないかな。


やっぱ、どう転んでも有り得ないでしょ。


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