【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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なるほど、そう言う事だったのね

公開日時: 2021年9月18日(土) 00:20
文字数:2,558

●前回のおさらい●


龍斗が家の前まで迎えに来てくれたまでは良かったが。

その後、歩美ちゃんが忘れたお弁当を、お母さんが届けてくれた際。

龍斗の視線が、歩美のお母さんばかり見ていた事に不機嫌になる歩美ちゃん。


お年頃ですな(笑)

 歩き始めて10分。


2人の状況は、決して好転する事は無く。


今の状況は、ただ並列して一緒に歩いてるだけ。



龍斗の頭の上には、未だに『?』マークが数個飛んだままで。


そんで、私の方はと言うと、大人気なくも、完全にソッポを向いて、アイツの方を見向きもしない。



「なぁ……お前がなに怒ってんのか知んねぇけど。取り敢えず、悪かったよ。ごめん」


沈黙に耐え切れないのか。


それとも気遣ってかは知らないけど、妥協した馬鹿エロが語り掛けてきた。



「知らない!!」

「だからさぁ、ちょっと待てって。お前さぁ、さっきから、なにに対して怒ってんだよ。全然意味解んねぇし、身に覚えも無いぞ」

「うるさいなぁ。話しかけないでくれない」

「だ~か~ら~。折角、久しぶりに、一緒に登校出来んのに、それじゃあ、ツマンナイだろ」


そのツマンナイにしたのは、誰よ?


アンタでしょ!!


馬鹿じゃないの?



「うるさいって言ってるでしょ。ってか、少しは黙ったら、どうなの?なんか喋らないと死ぬのアンタは?」

「あのなぁ、別に、そのデカイ弁当の事なんか、誰にも言わないって……気にすんなよ」

「アンタさぁ、さっき、なに聞いてたの?これ、お父さんのだって言ったでしょ」

「あっ、そうなのか?俺はテッキリおばさんが、お前に恥を欠かせない為に言ったんだと思ってた」

「馬ッ鹿ッじゃないの!!」

「じゃあよぉ、なんで怒ってんだよ?言わなきゃ解んないだろ」


言えますかっつぅ~の!!


何所の世界に、自分の母親に見蕩れたから、怒ってるなんて言う奴が居るのよ。



「自分で考えれば?アンタ、前に自分で『私の事なら何でも解る』って言ってたじゃん」

「あっ、うん、確かにそうは言ったけどよぉ……『!!』って、おいおい、まさかとは思うけど、さっきオバサン見てた事か?」

「!!」


え~~~、なんで解ったのよ?


私、なんにも言って無いよ。



「ははぁ~~~ん、なるほどな、そう言う事か。漸く解ったぞ」

「なっ、なっ、なに勝手に決め付けてるのよ」

「ごめん、ごめん、それは流石に気付かなかった。なんか嫌な思いさせたな」

「あっ……うん」


意味が解った上で、謝られたら仕方ないよね。


それに、この状態のままって言うのもなんだし、楽しく登校したいしね……


だからもぉ、ゆ~る~そっ。



「謝ったけど、ただ勘違いするなよ」

「何がよ?」

「俺は、別に、お前んトコのオバサンを、変な目で見てた訳じゃないんだぜ」

「じゃあ何よ?それ以外、何が有るって言うのよ」

「いやっ、実に、しょうもない話なんだけどな。オバサンって、幾つなのかなぁ~?って思ってただけ……幾ら見ても、オバサンの年齢が、全然解んなかったから、注意深くずっと見てたんだよ」

「お母さんの年齢?……えぇ~っと、確か、今年39歳だったと思うけど、変?」

「はぁぁあぁぁぁ~~ッ!!39だと!!」


ハハッ……だよね。


普通、お母さんの年齢聞いたら、そうなるよね。


娘の私から見ても、あの人の若さはオカシイもん。


ってか、大体アンタさぁ。

ウチにしょっちゅう遊びに来て、お母さんと何やらグチャグチャ喋ってる癖に、なんでそんな事も知らないのよ?


いつも、ヘラヘラなに話てんのよ?


それぐらい自分で聞け!!



「龍斗って、その手のプロの癖に解らなかったんだ?ププッ……ダサッ」

「解らん、解らん。あの若さはもぉ反則の域だぞ。多分、うちの親父が見ても、あの人の歳は解んねぇよ」

「そうかなぁ?」


なんて言ってるけど、私が一番謎に思ってるんだよね。



「……そりゃあさ、お前の歳を考えたら30歳越えてるの位は解ってたけど……しかし、まさか39とはな。流石にビックリした」

「でも、なんでまた、お母さんの歳なんか気になったのよ?」

「いやっ、前々から親子アイドルってのも面白いかなっとか、とか……思ってたんだよな」

「あぁ、それはダメ。絶対ダメ。お母さんは良いけど、お父さんが神経性胃炎で他界しちゃうからヤメテ」


そうなんだよね。


ウチのお父さんって。

普段、毅然とした態度でいるけど、実は、人一倍ヤキモチ焼きなのよ。


だから、アンタの言う、そんな事したら、多分、顔面蒼白になって死ぬ。


しかも、お母さんはお母さんで、関西人だから。

結構ノリノリで、変にそんな話したら、悪乗りして、平気でやっちゃうかも知れないのよ。


確実に、家庭崩壊するからヤメテ。



「そうなのか?でもよぉ、だとしたら、その割には親父さん、お前の事は、直ぐにOKし過ぎて無いか?」

「あの人は、基本、お母さん一途なのよ。それに昔から自分の娘を、矢鱈と人に見せたがる人だったから、簡単にOKしたんじゃない」

「あの毅然としたおじさんがねぇ。人は見掛けによらないもんだな」

「そうなのよ」

「にしてもよぉ。お前、おばさんの子供で、ほんと良かったな」

「んっ?また急に、なんでそんな事言うの?」

「だってよぉ。オバサンが39で、あんなに若いんだったら、お前もそうなるんじゃないかと思ってさぁ……なんか得した気分な訳」

「あぁそう言う事。まぁ可能性が無いとは言えないけど……なんでアンタが得するのよ?」

「アホか?自分の彼女が、いつまでも若かった嬉しいだろ」

「……なっ、何言ってんのよ!!」


いつの間にか、ウチのお父さんと、お母さんの話で盛り上がったのと。

龍斗が、ずうっと一緒に居てくれる様な事言ってくれたのが嬉しくて。

さっきまでの不機嫌さは、あっと言う間に、どこかに吹き飛んでしまった私。


根が単純と言うか、何と言うか。


でも、良いじゃん。


楽しく一緒に登校出来てるんだし……


なにより……ねぇ。



いやいや、私は言うまでも無く完璧に幸せ者ですよ。


***


 そんな他愛も無い話をしながら、気分良く学校に到着。


クラスの違う龍斗とは、此処でしばしのお別れ。


名残惜しいよぉ~。


もっと一緒に居たいよぉ~


さみしぃよぉ~。



でも、その気持ちを、次の休み時間まで一杯に貯めて、次の休み時間になったら、速攻で遊びに行~こっ!!


逢えない時間が愛を育てるのさ!!


うんうん、ヤッパリ学生は、こうでなくちゃね。



『!!ってあれ?』


ひょっとして私、一番重要な事言い忘れてない?


明日の誕生日の話するの、スッカリ忘れてた!!

楽しさに任せて、当初の目的を忘れるなんて、なにやってんだろ。



よ~し、じゃあ、再度気合入れ直して、絶対次の休み時間こそは『私の誕生日』を龍斗に伝えに行くぞぉ~~~!!


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