【完結】クライカコ(丁度、文庫本一冊位の文章量です♪)

お互いの意思が通じ合っていても、必ず上手く行くとは限らないのが【恋愛】
殴り書き書店
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プロローグ サイド歩美

現実と言う名の逃れられない悲劇

公開日時: 2021年8月19日(木) 00:20
文字数:864

『クライカコ・サイド歩美』


歩美ちゃん視点で、この悲劇は、どう見えていたのか?

……ドンッ!!


……ズキッ!!


突然……私の左胸に大きな衝撃と激痛が加えられた。


夢心地だった気分は一瞬にして消え去り。

耐え難い鈍痛だけが、絶えず胸の辺りから襲ってくる。


余りの痛みの大きさに、一瞬にして意識が遠のいて行くのが解る。


……なんだろうか、この痛みは?


急な出来事に私自身、私の身に何が起こったのかすら明白ではない。


でも、先程の衝撃からして、胸に何かが刺さっているのだけは解る。

……が、それ以外の現状把握が一切出来無い。


混濁する脳と、耐え難い激痛は、私の思考をドンドンと奪っていく。


……もぉよく解らない。


……もぅどうでも良いや。



そんな何かを諦めた様な私の意思とは別に。

何故か体だけは、他の誰かの意思によって機能させられている。


誰かが私の体を揺すっているのだろう。



―――でも一体、誰が?



「おい、歩美、歩美……」


必死に、切れそうな私を思考を揺さぶり起こそうとする意思は、どこかで聞き覚えのある声。


その声が、私の意識を呼び覚まし。

消えかけの蝋燭の様に、最後の命の灯火を揺らし始める。


こんなに私なんかの為に、必死になってくれるアナタは誰?


私は懸命に自分の意識を戻す為に、ゆっくりと重い瞼を明ける努力をしてみた。


まだ目が霞んで良く見えてはいないが。

体を揺すって必死成ってくれている彼は、恐らく、涙ぐんだままの必死な形相で、私の体を揺さぶっている。


―――誰?


何で私なんかの為に、そんな悲しい顔をしてるの?


未だに現状が理解出来無い私は、余力を絞って周りを見回してみようとしたが。

少しだけ意識がハッキリした分、胸の痛みは、今までの数倍以上の痛みとして襲ってくる。


だから自然に、自分の視線は、そこに行く。


『!!』


視線の先には思いも寄らない物が突き立っていた。

私の左胸には一本のナイフが突き刺さっており、そこから止めどなく血が噴出している。


―――あぁ、私、死んじゃうのかな?


なんでこんな事になってしまったのだろう?


私は何かを思い出す為に、意識をそちらに向け、過去に遡っていく



私の人生の最後の時間……脳裏に『走馬灯』が過ぎり、過去の映像が流れ始めた。

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