「どうした? ひゅうちゃん……貯金箱?」
「あぁ、平八の病気を治すために今まで貯めたお小遣い、出すのかい? エライなぁひゅうちゃん。さすが自慢の孫だな」
「よし、責任もっておじいちゃんが平八に渡しとくよ、ちょうどお見舞いに行こうと思っていたんだ」
「じゃあ行ってくるな」
「………………まぁ、渡してやるか」
数十分後……―――――――。
「平八、うちのひゅうちゃんが頑張って貯めたお小遣いやるってよ。治療費にと」
「よぉ、相変わらず良い子だなぁ。心遣いだけで十分だ、受け取れない」
「いいから持っとけ、ひゅうちゃんを泣かしやがったらお前だろうと許さん」
「……そうか、お前が言うなら…………受け取るよ」
「おう、持っとけ。あとで退院したらひゅうちゃんにお礼言っとけ」
「あぁ、ありがとう。いつも見舞いに来てくれてありがとうな」
「何を今更、気にすんな。先に死なれちゃ困るだけだ」
「死ぬつもりないさ。しっかり治してまた孫とひゅうちゃんと畑いじりしたいしな」
「じゃあまた明日」
「あぁ」
「…………重い、コツコツ貯めたんだな……ひゅうちゃん」
1ヶ月後……。
ガラクタ置き場にて、平八はブタ貯金箱とスコップを手に歩く。
固い土を掘り、印をつけてブタ貯金箱を埋めた。
「また戻るから」
平八は家に戻って行く。
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