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第14話 重い口

公開日時: 2022年10月20日(木) 12:55
文字数:531

 セミが鳴る田舎町。

 ガラクタ置き場の中をゆっくり歩き、家に帰る道を2人が歩く。

 土で汚れた服と切れた唇、ひゅうちゃんは腫らした目を地面に向けた。


「ひゅうちゃん」


 ハジメは優しく声をかける。

 片手に500円玉がたくさん入ったポリエチレン袋を持っている。


「……怪我、平気?」


 ひゅうちゃんは頷く。


「あの先輩、やたら絡んできて最悪だったな、でももうすぐ向こうが引っ越すから少しの辛抱だよ」

「……」


 何も言わないひゅうちゃんに切り出す。


「平八さんが事故で亡くなってから、2人ともがらりと変わったね」


 微かに遠く畑に水やりをしているポニーテールの少女かなたが見えた。


「かなたちゃんは無理して明るく振る舞ってるし、ひゅうちゃんはあの日から凄く大人しくなった。なんか、性格を交換したいみたい」

「…………っ」

「何か、あった?」

「わ、私……あの……」


 汗が額から流れる。

 喉を震わす。


「おーい、ひゅうちゃーん、ハジメくーん!」


 水やり途中のかなたが大きく手を振っている。


「ごめん、言いたくないならいいよ。ただ、心配で……もし言えるようになったら教えて」


 ハジメは先に駆け出していく。

 ひゅうちゃんは立ち止まる。

 指先で額に触れて横に拭う。


「ごめんね、ハジメ君……かなたちゃん…………平八さん、ごめんなさい」

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