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最終話 壊したくないもの

公開日時: 2022年10月20日(木) 13:30
文字数:553

「ぐ、ぅ」


 ひゅうちゃんは呻いた。

 神社から少し離れた畑、そこに放置された軽トラックの荷台に押し込まれる。

 鼻血を垂らしたタケルは、呼吸を乱して馬乗りになって細い首にしがみつく。


「逃げんなよ、なぁ、死ぬ前に教えろよ……本当のことを」

「ど、どうして……」

「あぁッ?!」

「なんで、私に」

 

 苦しそうな声。

 タケルは鼻で笑う。


「父さんが殺人者じゃないってことがわかればいい、教えろ、お前が知ってることを言え!」

「…………わ、私」


 ゆっくりと、口を開いた。

 その数秒後鈍い音が聞こえた。

 目を大きくさせたタケルは、何も言わずに覆いかぶさる。


「え……」


 ぐったりと重い。

 次に見えたのは鍬を振り下ろした祖父のニコニコとした表情。


「こんなところにいたんだね、ひゅうちゃん」

「お、おじいちゃ……」

「大丈夫、気絶してるだけだから。こいつは隣町に返してやる、二度と来られないよう保護者に言っとく」

「…………」

「ひゅうちゃんはエライね、さすが俺の大事な大事な大事な大事なかわいい孫だよ。息子もひゅうちゃんがいるから頑張って働いて、俺のボケに世話焼いてくれてんだ。かなたちゃんも良い子、タケルくんも良い子だよ……なぁひゅうちゃん?」

「あ…………あ」


 ニコニコとした表情のままタケルを乱暴に引き剥す。





「これは全部悪い夢だからさ、明日からいつも通り、な?」




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