【最強の剣×盾 魔法士バディ誕生!】絶対領域と瞬撃の剣姫

夕姫
夕姫

23. 違法と合法

公開日時: 2022年7月29日(金) 18:00
文字数:2,021

 23. 違法と合法




 オレとアリスは大きな爆発音が聞こえた王立魔法学院を捜索することになった。オレは学院内を捜索していると、突然、弾丸に襲われる。そこには『遺言請け負い人』と呼ばれる女。そして今は戦闘中だ。とにかくまずはこいつの誤解を解かないと話にならない。


 それにしても……あいつどんだけ弾丸を撃ってくるんだよ。というか、なぜ弾が切れないんだ?オレはふと地面を見ると弾いた弾丸がないことに気づく。


 そうかあいつの弾丸は『魔法』。つまり魔力によって形成されているからいくらでも生成出来るのか。オレの絶対領域とあいつの弾丸の我慢比べ。先に魔力がなくなったほうの負けか。くそっ!キリがねぇな!


「さぁ大人しくしてください!悪魔憑きさん!」


「だから違うって言ってんだろ!」


 柱に隠れながらそんな堂々巡りのようなやり取りをしていると、突然1人の男が吹き飛んでくる。


「ぐあっ!?」


 男は壁に激突し気絶する。そして入り口からあのツンツン公爵令嬢がやってくる。


「私が悪魔憑きと戦っていると言うのにあなたはそこでイチャイチャですか。先に死にたいのならお望み通りに殺してあげましょうか?」


「待て待て!どこがイチャイチャに見えるんだよ!」


 だとしたら相当ひねくれてるぞこいつ。あっひねくれてるかこの公爵令嬢は。


「悪魔憑きじゃない?ならあなたたちは一体……」


「何ですかその仮面?センス無さすぎですね。悪魔憑きを倒して、正義の味方気取りですか?笑わせないでください」


 アリスがそう言うと、女の方はカチンときてしまったようで、顔を真っ赤にする。


「な……何よあんた!!あたしの仮面に文句があるの!?」


「えぇあります。あなたのその顔を隠す仮面。見るに耐えませんが」


 煽るなよ……。これじゃあ完全に喧嘩になるぞ。そんな中、アリスは深くため息をついてその仮面の女に話す。


「はぁ。いい加減あなたの正体はバレていますよコレット=フルール。」


「へ?」


 オレも思わずマヌケな声が出てしまう。マジでアリスのやつ分かってたの?


「……何のことですか?」


「とぼけても無駄です。あのリストを見てすぐに分かりました。『遺言請け負い人』は報告書によると、悪魔憑きを銃弾で討伐していると。そして長い髪の人物。その時点で運動神経が良くて髪が短いオリビア、剣術の得意なリオナではないことが分かります。」


「……」


 アリスは淡々と話していく。それを聞いて観念したのか仮面を外してその素顔を晒す。


「うぅ……まさか悪魔憑きじゃなくて普通の人だったなんて……。恥ずかしい!」


「とりあえず私たちと来てもらいますよ。話は聞かせてもらいます」


「はい……分かりました」


 そしてそのまま『レイブン』の本部に向かうことにする。後処理は連絡して、いつものように任せる。


「ご苦労だったなアデル、アリス。さて話を聞かせてもらおうか」


 コレットは今までのことを話し始める。まず自分が悪魔祓いの弾丸を使えるようになったこと。何をやってもダメだった自分がふと魔法弾丸を使ってみたら才能があることに気づいたらしい。


 そして1度だけ悪魔憑きに襲われたが、その弾丸で撃退したことそれからというもの自分に自信がついて、悪魔憑きを見つけては討伐していたようだ。


 最初は正義感で動いていたが、いつからかその人物の遺言書とともに手紙が届くようになったとのこと。そこには悪魔憑きの情報が書いてあり、実際に手紙の指定場所に行くと悪魔憑きがいたそうだ。それで悪魔憑きを倒せば報酬としてお金が送金されて、それが楽しくなっていってしまったらしい。


「なるほど。アデル、アリス。お前たちはどうしたい?コレットがやっていることは違法だ。このまま騎士団につき出すこともできる」


「え……」


「違法ならば仕方ないかと、罪は償うべきです」


 アリスがそう答えると、コレットは目に涙を浮かべる。


「そんな……せっかく悪魔の手先を退治したのに……」


「それは関係ありません。あなたの浅はかな責任感、正義の味方気取りは違法という事実なだけです。」


 コレットは涙を流しながら俯く。少し言い過ぎなような気もするが、アリスの言うことは間違いない。でもコレットも被害者だよな……。


「私たちは特殊悪魔討伐対策組織『レイブン』。分かりますかコレット=フルール。私たちは合法。あなたは違法なんです。そう思いませんか?アデル=バーライト」


 素直じゃねぇぞ?アリス。まぁこういうところも少しは可愛気があるんだけどな。でもコレットも可哀想だし助け舟を出してやるとするかね。


「コレット。もしよかったらうちで働くか?オレたちは悪魔憑きを倒すのに困ってる。お前の力が借りれるならとても助かる」


 するとコレットは顔を上げてこちらを見る。その様子を見ていたグラン団長は笑いながら話す。


「はっはっは!確かにアデルの言う通りだな。面倒はお前たちが見ろよ?」


 こうしてコレットを新たな仲間として『レイブン』に加えることになった。しばらくは執行猶予付きという条件だけどな。

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