【最強の剣×盾 魔法士バディ誕生!】絶対領域と瞬撃の剣姫

夕姫
夕姫

39. お決まりの

公開日時: 2022年8月14日(日) 18:00
文字数:2,118

 39. お決まりの




 オレとアリスは夕食を食べ、寝る準備をすることにする。本当にキャンプに来たみたいだな……いや合宿か。


「ん?これは……」


「どうかしましたか?」


「いや……もしかして同じ部屋に寝泊まりするのか?」


「はい。何か問題でもありますか?」


 問題はあるだろ。年頃の男女が一緒の部屋で寝泊まりしていいわけがない。さすがにここまでは予想していないんだが……。


「問題しかないぞ!?」


「……ほう。私に欲情して何かしようとしてると言うことですか?」


「そ、そんなことはない!断じて!」


「なら問題ないと思いますが?ベッドもきちんと2つあります。それとも私に襲われると思っているんですか?それなら心外なのですが」


「襲うとか言うんじゃねぇよ!?……分かった。じゃあこのままでいこう」


 ここで変に反論しても仕方ないし、下手をすれば余計に状況が悪化する可能性もあるからな。ここは素直に従っておくべきだろう。


「では私は先にお風呂に入ってきますね」


「おう。ゆっくり入ってこい」


 アリスはそう言って部屋から出ていく。


「さてと……どうしたもんかなぁ」


 こんなことになるなんて……。いやまぁ何かあるわけないんだが。ここは壁が薄いのかシャワーの音が聞こえてくる。なんというかその……意識してしまうな。意識しないほうが無理な話だ。


 ……よし、気にしないようにしながら筋トレでもするか。


 結局オレはそのまま30分ほど筋トレをして時間を潰し、それからアリスが上がるのを待つことにした。


 しばらくするとアリスが上がってくる。髪はまだ濡れていて頬も少し赤い。服は当然だが寝間着姿である。正直めっちゃ可愛いのだが、それを言ったら絶対バカにされると思うので言う気はない。


「上がりました。次どうぞ」


「ああ。入ってくるわ」


 そしてそのまま着替えを持って脱衣所に入る。さっさと体を洗って湯船に浸かりたいところだな。まぁ別にそこまで汚れてるわけではないんだけど。さっと体だけ洗い、すぐに湯船に浸かる。ふぅ……気持ち良いな。やっぱり疲れたあとのお風呂は最高だよなぁ。


 それにしてもまさか一緒の部屋に泊まることになるとは思わなかった。これからもこういうことがあるかもしれないんだよなぁ。それはそれで色々と困りそうな気がするけど。


「とりあえず今は考えるのをやめよう……」


 これ以上考えてるとなんかダメになりそうだし。うん。今日はもう何も考えずにただひたすらに休んで明日に備えることにしよう。それが1番正しいはずだ。


 お風呂から出た後は特に何事もなく、就寝時間を迎えることになった。ちなみにベッドの位置はアリスが窓側でオレが廊下側になっている。ベッドは離れているのでまぁこれくらいの距離感なら問題ないだろ。


「あっ刀を近くに……」


 何もしないってオレは。本当に警戒されてるんだなぁ……。


「あの……何もしないからな?」


「信用はできません。何かあれば叩き斬るだけです」


「……はい」


 アリスはそれだけ言うと電気を消す。


「おやすみなさい」


「おやすみ……」


 こうして夜が更けていく。こういう時、物語ならラッキー展開とかになりそうだけど、オレは微塵切りにされるだけだから何も考えないことにする。





 そして深夜。オレの身体は衝撃を受ける。その痛みで起きてしまう。


「ぐぇっ!?」


 腹部に凄まじい痛みを感じながら目を開けるとそこにはアリスがいた。どういうことだ?なんでここにアリスがいるんだ?まさか夢かこれは。


「んー。すぅー。」


 は?こいつトイレに起きてオレのベッドと自分のベッドを間違えてる!?しかも、はだけて下着が見えてるし!柔らかいし!いい匂いだし!どうなってるんだこの状況は!


 まずい……。このままではオレの人生は終わる。この場で殺される。どうにかしてここから逃げなければ……。幸いにもアリスは眠っているようだし、今のうちに逃げるしかない! ゆっくりと慎重に動き出す。起こさないように細心の注意を払う。よし!このまま行けばなんとか……。


「んっ……」


 ヤバい声を出すなよ……。くそっ……起きる気配がないな。まだいけるはず……。よし!このまま一気に……。


 しかしオレの願いもむなしく、アリスは目を覚ましてしまう。


「んあ?……は?」


「おいアリス!オレは微塵切りにされたくないからな!よく見ろ!見れば分かるから!」


「……うるさいです。静かにしてください」


「静かにできるわけないだろ!」


「……あれ?」


 アリスは目を擦りながら周りを見渡す。そして状況を理解すると一気に顔が赤くなる。


「ち、違います!」


「え?」


「私はあなたのことを異性として見ていませんから!そんなこと絶対にあり得ませんから!」


「あ、ああ……。そうか……」


 めちゃくちゃ焦ってるじゃないか……。そんな反応されるとちょっと傷つくぞ……。まぁそういう対象には見られてないってことだろうな。残念なことに。


「では失礼します!」


「あ、ああ……」


 そうしてアリスは自分のベッドに戻っていく。というかあいつまだ寝ぼけてたな。危なかったぜ……。もう少し起きるのが遅かったら大変なことになっていただろうな……。


 その後、再び眠りにつくことができた。今度はアリスが間違ってベッドにくることはなく、無事に朝を迎えることが出来たのだった。

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