【最強の剣×盾 魔法士バディ誕生!】絶対領域と瞬撃の剣姫

夕姫
夕姫

22. カラクリ

公開日時: 2022年7月28日(木) 18:00
文字数:2,094

 22. カラクリ




 そして時間は過ぎていき放課後になった。オレとアリスは昨日と同じように空き教室にいた。オレはソファーに座っており、アリスは窓際の椅子に座ったまま外を眺めている。今はレオン先生を待っている。


「アデル=バーライト。今回の件はどう思いますか?」


「どうって言ってもなぁ……まずは誰なのか分からないことにはどうしようもないだろ」


「確かにそうですね。では誰が『遺言請け負い人』に依頼したのかを調べましょう。」


「そうだな。それが一番の近道だと思う。」


 そんな話をしているとドアがノックされた。どうやら待ち人のようだ。


「待たせたね二人とも。」


「いえ。それより何かわかりましたか?」


「この王立魔法学院の生徒の中にいる、『遺言請け負い人』ほどの実力があるのはこの3人だね。」


 そう言って渡された資料を見るとそこには3名の生徒が記載されていた。


 まず1人目名前はオリビア。黒髪の長身で、顔立ちは整っており、爽やかな印象を受ける。成績は優秀で、運動神経も良いらしい。性格も温厚で、友人も多いとのことだ。まさに絵に描いたような優等生だ。


 次に2人目の名前。名前はリオナ。青髪の長髪をポニーテールにしており、メガネをかけた細身の女性で、見た目通りの秀才タイプ。成績は学年トップクラス。さらに剣術の腕も相当なものらしい。


 そして最後は3人目。名前はコレット。黄緑髪の長い髪が特徴の少女だ。身長はやや小柄だが、スタイルは抜群で、成績の方はあまり良くないみたいだ。運動は苦手らしく、体力がないらしい。性格は明るく元気な子らしい。


「この3人だけで間違いないですかレオン先生?」


「ああ。間違いないよ。」「てか全員女かよ……」


「とりあえず『レイブン』の本部に連絡をいれておきます。彼女たちを調査対象としてリストアップするように伝えておきます。アデル=バーライト。私たちは予定通り夜の巡回に行きましょう」


「了解」


 こうしてオレたちは次の行動へと移すのであった。





 そして夜。王立魔法学院から少し離れたエリアを巡回することにする。


「なあ、なんか寒くないか?」


「そうですね。確かに肌寒い感じがしますね。」


 夜の巡回も慣れたもんだが、やはり夜は冷え込むな。しかも今夜は月明かりもなく暗いし、星々の輝きだけが唯一の光だ。


「アデル=バーライト。リストの3人の中の『遺言請け負い人』が誰だかわかりましたか?」


「は?わからんが?」


「アデル=バーライト……あなたの頭の中には綿菓子でも詰まっているのですか?本当に使えない男ですね。」


「うっせぇな。お前こそ分かるのかよ!」


「目星はついています。おそらく……」


 その時、大きな爆発音が聞こえてきた。


「なんだ!?」


「これは……学院からですね。行きましょう。」


 オレたちが急いで駆けつけると、中庭に大きな穴が空いていた。まるで魔法の威力によって出来たような穴だ。そして微かに感じる悪魔特有の気配。


「アデル=バーライト。ここは別れて捜索した方が良さそうです。あなたは学院内を、私は外を捜索します」


「分かった。気をつけろよ」


「あなたに言われるまでありません。それではまた後で……」


 そう言ってアリスは姿を消した。オレはすぐに行動を開始する。学院内の捜索といっても、どこに何がいるのか分からない以上、闇雲に探しても意味はない。


「さて……どうしたもんかな」


 その時、一発の弾丸がオレの頬をかすめる。そのまま何発か弾丸が飛んでくるが絶対領域を発動し、何とか回避し、柱の陰に隠れる。


「おいおい……穏やかじゃねぇぞ?」


「あたしの弾丸を防いだ?悪魔憑きの癖にやりますね!」


 悪魔憑き?誰がだ?すると暗闇の中から1人の女性が現れた。その女性は長い髪で、仮面をしていて顔は分からないが、女だとは分かった。そして腰には二丁拳銃をぶら下げている。


「お前……誰だ?」


「誰だっていいじゃないですか。それよりも大人しく捕まってください。悪いようにはしないですよ?苦しまないようにしますから」


「断る。つかマジでなんなんだよ!いきなり撃って来やがって。」


「そりゃあ、そうですよ。あなた悪魔憑きなんですから。学院に逃げ込むなんてあたしが許しません!」


 こいつ……オレを悪魔憑きと勘違いしてるのか?ならこいつは……


「お前……『遺言請け負い人』か?」


「何ですかそれ?あたしは正義の味方ですよ!」


「はぁ……めんどくさいな」


「問答無用!!喰らいなさい!!」


 そう言ってその仮面の女は二丁拳銃で弾幕を張る。


「うおっとっと……」


 オレはその弾幕を絶対領域で防ぎながら考える。この女は間違いなく、『遺言請け負い人』だ。だが、どうしてオレのことを悪魔憑きと言ったんだ?何かあるはずだ。


「考え事してる場合ですか!」


「待て!オレは人間だ!お前が討伐しようとしている悪魔憑きじゃない」


「そんなわけありません。『今日深夜に王立魔法学院で問題を起こす』そういつもの手紙に書いてありましたよ!手帳にメモしてあります」


 手紙?……なんとなく、この事件のことが分かってきたぞ。こいつは何も知らないで巻き込まれただけか……。とにかくまずはこいつの誤解を解かないと話にならない。さてどうしたもんかな。

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