【最強の剣×盾 魔法士バディ誕生!】絶対領域と瞬撃の剣姫

夕姫
夕姫

24. 色々な力

公開日時: 2022年7月30日(土) 18:00
文字数:2,078

 24. 色々な力



 朝の教室。いつものようにHRが始まるのを待っていると周りのクラスメートから話し声が聞こえてくる。


「なんかクラス編入の子がくるみたいよ?」


「え?この時期に?めずらしくない?」


「そういえば、そんな噂聞いたかも」


 クラスの女子たちが話している内容に耳を傾けているとレオン先生が教室に入ってきて教壇に立つ。


「おはようございます。今日はこのクラスに編入生を紹介します。入ってきてください」


 その言葉と同時に一人の少女が入ってくる。小柄で長い黄緑の髪。どこかで見たことのある姿。うん。見た。昨日見たよ。あいつオレを殺そうとしたやつだ。


「はじめましてコレット=フルールです!よろしくお願いします!」


 元気よく挨拶をするコレット。周りは拍手をしている。


「彼女は事情があって1学年飛び級でこのクラスに編入なります。皆さん仲良くしてあげて下さいね」


 その理由は無理矢理すぎだろ……しかもなんで王立魔法学院側に通るのか分からんが恐るべし『レイブン』。というかこいつ後輩かよ。


「じゃあコレットさん空いている席に座ってください」


 コレットが空いている席につく。オレの隣だ。


「あっよろしくお願いしますアデル先輩!」


 笑顔で挨拶してくるコレット。


「ああ……」


 とりあえず適当に返事しておく。すると、後ろのほうでヒソヒソと話し声が聞こえる。


「なぁあの子可愛くねー」


「だよなぁ。ちょっと幼さ残ってるが結構タイプだわ」


「なんか名前呼んでたけど、あいつと知り合いなのか?」


 くそ……地獄の始まりだ……このままでは面倒ごとに巻き込まれるぞ……その後の授業も隣同士座らされたまま受けることに……。授業中にも関わらずコレットは色々と話しかけてきたりしてきたため集中できなかった。


 そして昼休み。オレはいつものように屋上でエミリーの弁当を食べる。やっと平和になった休める。と思ったが、同じくいつものようにあの銀髪ツインテールはやってくる。


「やっほーアデル君!トマトのサンドイッチちょうだい!」


「またかよ……」


 相変わらず馴れ馴れしい。まあもう諦めたが。ちなみにこの学園には食堂もあるのだが、人が多く騒々しいため行かないらしい。


 オレは弁当箱の中にあったトマトのサンドイッチを渡す。こいつはトマトが好きなのだ。


「う〜んやっぱり美味しい!リコピン最高!」


 モグモグしながら幸せそうな顔をする。別に悪い気はしないが。


「お前さ、オレにかまってないで他のやつと遊べばいいんじゃねぇの?友達いっぱいいるんだろ?」


「ん?いや私は今ね~アデル君にしか興味無いし〜そういえばさ。今日の編入生ちゃんと知り合いなの?ずいぶん仲良さそうだけど」


「……ただの顔見知りだ」


「ふぅ〜ん。まあいいか」


 なぜか納得してくれたようだ。正直助かる。これ以上変なことに巻き込まれたくないからな。


「でもあの子。勉強がすごくできるわけでもないし、今日の実技の授業も全然ダメ。飛び級とか不思議なんだよね?」


「知らん」


 そりゃそうだ。コレットは別に優秀なわけじゃない。ただ悪魔討伐ができる魔法弾丸を使うことができるだけだ。


「セリア」


「ん?」


「トマトのサンドイッチ食べるか?」


「うん!アデル君優しい!」


 その後も特に何も無く昼休みを終えることができた。


 午後の授業が終わるとすぐに帰宅しようとする。早く帰りたい。しかし、今日に限って校門の前で誰かが立っている。嫌な予感しかせず近寄りたくもない。無視して帰ろうとすると声をかけられてしまう。


「あっアデル先輩!待ってましたよ〜」


「……さよなら」


「え!?ちょ、ちょっ」


 コレットを無視して立ち去ろうとしたが腕を掴まれてしまう。そしてそのままオレに耳打ちしてくる。


「これから『レイブン』本部に行くんですけど……。あたし1人じゃ緊張するので一緒にきてほしいんです!」


「アリスを誘え。オレは知らん」


「アリスティアお姉様は『誰ですかあなた?話しかけないでください。』って言われたんですもん!」


 あいつそんなこと言ったのかよ……どうしようか迷っているとコレットが上目遣いでオレを見つめてくる。


「お願いしますアデル先輩……!」


「……」


 結局コレットに連れられて『レイブン』の本部に向かうことになってしまった……。どうしてこうなるんだよ……そしてそのまま本部に行く。


「おう!待ってたぞコレット。なんだアデルも一緒か」


「コイツが無理やり連れてきたんですよ……」


「いいじゃないですか!可愛い後輩のあたしのためなんですし!」


「お前昨日オレのこと殺そうとしてたけどな」


「昨日は昨日。今日は今日です。」


「開き直りやがった……」


「まあまあ2人とも仲良くしろよ。よし!じゃあ早速だがコレット。これを渡しておくぞ」


 そう言ってグラン団長が渡したのは通信魔法具だった。まさかこれだけのためにオレは連れてこられたのか……。


「これは『レイブン』専用のものだ。これでいつでも連絡が取れる」


「わぁ!ありがとうございます!見てくださいアデル先輩!あたしの髪の色と同じ黄緑ですよ!かわいいですね!」


 確かにコレットの髪色とそっくりだな……。まぁ本人にやる気があるならそれでいいか。

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