アナザーライフ・オンライン

herpro
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17日目

公開日時: 2020年12月27日(日) 03:11
文字数:2,079

他サイトに投稿している「アナザーライフ・オンライン」の54話「37」です。

0.1/17


沖縄を取り返したらしい。


いやあ、すごいね、日本っていうのは。

自衛隊が出動して、かなりの被害がでたものの、沖縄を何とか奪還。

しかし、重火器の費用を考えると那覇ダンジョンを自衛隊で抑えるのは難しいため、政府からの報酬がでる上で、那覇ダンジョンのお守りをする、という仕事が発生した。

俺も行こうかと思ったけど、よく考えると数日後にはオーストラリアに行く予定になっているから、やめておいた。


オーストラリア。

魔物に蹂躙されている国、及び大陸。

それを奪還するために、一体どれだけの犠牲ができるのだろうか。

現実はゲームではない。

最近そう言う人が増えてきた。

確かに現実はゲームではない。

だが、アナザーライフ・オンラインの中と現実が近づいていくにつれ、境界があいまいになっている人も少なくない。


沖縄奪還のために出動した自衛隊だが、半数以上は帰ってこなかったのだそうだ。

だが、何とか那覇ダンジョンは奪還。

よかったね。


北海道の札幌ダンジョンの方も、準備ができ次第奪還作戦を開始する、と防衛省が言っている。

準備ができ次第。

いつになったら準備ができるのか。

那覇ダンジョン奪還だけで半数以上の犠牲ができような自衛隊だ。

北海道は沖縄よりも広い。

魔物の分布も広がっているだろう。

それを、どうやって奪還するというのか。


最近は、自衛隊がアナザーライフ・オンラインを推奨していて、訓練時間にゲームをしているんだそうだ。

だが、実際にそれは活用できているため、仕事中にゲームをして収入があるのだ。


いいなぁ。


まあ俺もそんなに変わんないけどな。

ゲームで遊んで、ダンジョンで金稼いで一日が終わる。

自分で言っていて、これでいいのかな、って思うな。


とりあえず今日もゲームするか。



「東、プレイヤー:ヴァレント。隼獣人。常に一方的な戦いをしていますっ!」

あれ、それ前も同じ説明だったくね?

3連続じゃん。

「西、プレイヤー:ゲーマー戦隊パープル。ドワーフ。第6会戦終了時点で6名が勝ち残っている集団のゲーマー戦隊のリーダーです!」

あれ、この説明も、昨日のを少し変えただけじゃね?

もう思いつかないのか。

語彙力お察しします。

「それでは、レディ」

既に瀑布の準備はできている。

すぐにでも放つ。

「あ、ちょ、待てって審判」

「あ、そうでした。すみません」

あ、またあれするのか。

「ゲームを愛し、ゲームのために生きる、正義の集団ゲーマー戦隊っ!リーダーの仇をうつため、パープル、ここに見参っ!」

「よろしいですか?」

「ああ」

「それではレディ」

パープルが剣を構えた。

2本。

二刀流の剣士か。

「ファイトっ!」

「【瀑布】」

「【大跳躍】っ!リーダーのときと同じ攻撃するなんて、莫迦かっ!」

いや、莫迦じゃない。

飛ぶだろうな、と思ったから。

「【ファイアー】」

「なっ!」

俺の技能が高くなったのか、最近は2つの魔法を準備できるようになってきた。

だから、準備時間が長い瀑布とファイアーの2つを準備しておいて、今、両方放った。

上空にいるパープルは避けることもできず・・・・・・


ピイィィィ


パープルが笛を吹いた。

すると、何かが召喚されてファイアーを受けて落ちた。

その後、パープルも下りてくる。

「召喚笛、っていうんだぜ。知らなかっただろ?」

召喚笛、割れてるぞ。

多分、召喚したモンスターが死んだら召喚笛は使用不能になるんだろうな。

俺も気をつけよう。

「そのモンスターは何ていうんだ?」

「ロックシールドっていう、盾用の召喚モンスターだ」

へえ、使い捨てってことかな。

便利だな。

俺も1個ほしい。

まあいいや。

召喚笛を使ってもいいっていうことがわかったから。

俺も。

「お、お前も召喚笛持ってたのか。いいぜ、使ぇよ」

じゃあありがたく。


ピイイイィィィイィ


ちょっと音が変だったが、ちゃんと竜は出てきた。

「な、なんだと・・・・・・」

「ブレス見せてー」





ヴォオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ





「二刀流奥義、【大防御回転】っ!」





パープルは、剣をぐるぐると回して、漫画みたいにブレスを弾いていた。多分ゲームでしかあり得ない光景だな。

ところで、剣溶けてるけど大丈夫か?

「はあ、はあ、正々堂々と戦えっ!」

いや、お前も召喚笛使っただろ。

召喚笛のどこが正々堂々じゃないっていうんだ。

まあいいけどさ。

「【闇球】」

「またかっ!二刀流奥義、【大防御回転】っ!」

予備の剣のようなものを取り出して、また回転させる。

が、闇球は剣を消滅させて進み、そしてパープルの腹部に穴を開けた。

「グハァッ!」

まだ死なないみたいだな。

なら、火刀を試してみるか。

「【火刀】」

「な、何だよっ!お前、魔術師じゃねぇのかっ!」

「両方だ」

燃えているヴァレントの刀2を持って進んでいく。

「やめ、やめろっ!来るなっ!」

MP使うからさっさと終わらせたいんだよ。

もう10秒経ったからMPが10も減った。残り1038だ。

「じゃあな」

俺は火刀でパープルを斬った。


「う゛ぁ、ヴァレント選手の勝利です・・・・・・。今までに見られたことのない戦い方で、ゲーマー戦隊パープル選手に勝利しました・・・・・・」


うん、めでたしめでたし。

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