他サイトに投稿している「アナザーライフ・オンライン」の42話「29」です。

0.1/13

悪い知らせは、毎日のように届く。

また、早朝に。

札幌ダンジョン発生。

日本政府は北海道の放棄を決定。

北海道住民は至急本州へ避難しなさい。

そう命令されてから、数時間。

ニュースに流れる北海道の映像は、地獄絵図としか表せないような状態だった。

札幌ダンジョンから発生した魔物は、ドラゴン。竜種だ。勝てるわけがない。

自衛隊は為す統べなく撃沈され、現状に至る。

北海道から避難してきた人数は、北海道に在住している人数の4分の1にも満たなかったという。

北海道は、もう絶望的だ。

ニュースに流れる映像も、ドラゴンに墜落させられ、そして映像が途切れる。

こんなんで、どうやったら勝てるっていうんだ。

俺が考えても仕方ないので、アナザーライフ・オンラインにログイン。

さて、今日は第3会戦、2試合目で、アイヌというプレイヤーとの戦闘だったはずだ。

だが。

アイヌはこなかった。

時間になっても。

少し、俺も考えていた。

アイヌ、という名前。

北海道のアイヌ民族からつけているんじゃないか。

アイヌ民族は歴史で習うから、どこに住んでいる人がアイヌと名付けてもおかしくはないが、だがやはり北海道に住んでいる人の可能性が高い、と思っていた。

札幌ダンジョン。

それほどにやばいのか。

オーストラリアの奪還どころじゃないかもしれないな。

「プレイヤー：アイヌが遅刻しましたので、第3会戦2試合はプレイヤー：ヴァレントの不戦勝となります」

本当に、大丈夫なのか･･････？

今日はゲームをする気にならなかったので、博多駅ダンジョンへ。

＜博多駅ダンジョン7階　モブ＞

7階の攻略。

7階に入った瞬間に、昨日と同じ豚の魔物が走ってきたので斬りふせる。

俺、すごいんじゃないか？

スキル補正とかなしでも普通に戦えるかもしれない。

一撃で殺せた。

＜リアルオークを倒した！＞

これがオークか。

とりあえずダンジョンを進んでいく。

「ピヨピヨッ！」

光が走り始めた。

俺も急いで後を追う。

前にでてきた魔物は光が蹴散らしていくから、俺は走るだけ。

俺にもちょっとは戦わせてくれないかな。

「ピヨッ！」

階段が。

光は階段を見つける才能でもあるのかもしれない。

＜博多駅ダンジョン8階　農場＞

の、農場？

と思ったら。

とても広い部屋。

奥には階段があるみたいだ。

そして、その広い部屋の壁一面に･･････食べ物がなっている。

つまり･･････取り放題、ということか？

というか光はもうどんどん食べてるけど。

＜オーバーイートマンマスクイックコッコ：光が進化条件を満たしました。

　進化先

　○ハイオーバーイートマンマスクイックコッコ

　○オーバーイートマンマスクイックヘン

　○リアルオーバーイートマンマスクイックコッコ

　○暴食猛毒雛＞

もう進化するのか･･････。

こいつ、成長速度速すぎないか。

まあ、考えるか。

そうだな。

もうハイになるか鶏になるか魔物になるか漢字になるかの4種類しかないらしい。

まあ、当然鶏にはしない。多分他の選んでもまだ鶏にはなれるから。

すると、残るは3種類。魔物になる必要もないから、それも除く。

ハイオーバーイートマンマスクイックコッコか暴食猛毒雛か。

暴食猛毒雛って、前の進化のときも選択肢が暴食猛毒雛だったよな。

ならこれにしたら損か？

よし、ならハイオーバーイートクイックコッコにしよう。

＜オーバーイートクイックコッコでよろしいですね？

　【Yes】　【No】＞

イエス。

「ピヨォッ！」

＜光　種族：ハイオーバーイートマンマスクイックコッコ

　HP22800/22800 MP14600/14600(7300×2)

　力13000　耐久400　敏捷9400　器用800(400×2)　知力400　精神6100　運22000

　称号：ヴァレントのペット　魔法を喰らう者

　所持スキル(5/10)

　○強蹴術1.00

　○水魔法1.23　【ウォーターボール】【ウォーターバリア】

　○猛毒属1.09

　○悪食戒1.82

　○氷魔法1.00

　○射撃0.12

　○空き

　○空き

　○空き

　○空き

　装備

　頭部：空き

　右羽：空き

　左羽：空き

　首：巻物の跡形(器用×2)

　胴体：空き

　右足：空き

　左足：空き＞

蹴術が消えて強蹴術になってるな。あと、氷魔法が追加されている。技はまだ使えないみたいだけど。

さて、俺も食材集めでもするか。

最近スーパーに並ばなくなっていた果物類が大量に収穫できた。

これを持っていって売ればそれなりのお金になるだろう。

でも、もう持てないから一旦帰るか。

帰るの大変だな。

仕方ない。

ピー―――ーっ

竜を召喚させてもらう。

そして、8階に入口まで戻るわけでもなく、普通にダンジョンを突き抜けて1階へ戻る。

一部の食材は自分で確保するが、8割方は売却。

「はい、買い取り金額はこちらになります」

そこには明らかに10万円より多い札束。

「ありがとうございます」

うきうきで帰る。

っていうか、俺いらないよな。

光さえいれば。

帰ろうとしたところで、呼び止められる。

「博多駅ダンジョンでは、現在10階攻略しにいったメンバーが全滅することが繰り返しています。10階に行く場合にはお気をつけください」

はい、気をつけます。

今日はもう家に帰って新鮮な食材を使って何か食べて寝ます。