他サイトに投稿している「アナザーライフ・オンライン」の2話「1」と3話「2」と4話「3」と5話「4」を一部改編したものです。
噴水だ。
噴水がある。
目の前に。
本物にしか見えない。
これがゲームの画像だと言われても、俺は信じることができない。
俺は、<Another Life Online>の世界にいた。
人は、まあまあ多い。
というか満員電車状態が1つの町でずっと起こっているような状態だ。
視界の右上には、「1.1/1」と、現在の現実世界の時刻が表示されている。
前者は年と月と日だろう。今日は1年1月1日。今日から暦が始まるのか。
多分ステータスと言ったらステータスが表示されるんだろうと思って言ってみた。
「ステータス」
<ヴァレント 種族:隼獣人
HP30/30 MP15/15
力10 耐久10 敏捷10 器用5 知力5 精神5 運5
所持スキル(6/10)
○刀術1.00
○火魔法1.00
○鍛冶1.00
○採掘1.00
○調教1.00
○飛行1.00
○空き
○空き
○空き
○空き
装備
頭部:空き
右腕:空き
左腕:空き
首:空き
胴体(上):初心者のシャツ(+0)
胴体(下):初心者のズボン(+0)
右足:初心者の靴(右)(+0)
左足:初心者の靴(左)(+0)
インベントリ
○初心者の刀×1
○初心者の杖×1
○鍛冶の七つ道具(梅)×1
○初心者のつるはし×1>
表示の意味が理解できない部分も多いが、まあそれはプレイしていくうちにわかるだろう。
とりあえず、人混みに酔ってしまいそうなので、飛行してみる。
「【飛行】」
おぉ、飛べたっ!
た○コプターがなくても飛べたよドラ○もんっ!
10分ぐらい飛んでると落ちた。
痛い。
HPが25になった。
でも、飛行が1.02になって敏捷が12になった。
MPの最大値も2上がった。
よし、とりあえず装備でもしてみようかな。
インベントリ画面を出して、初心者の刀を押す。
すると、いつのまにか右手に初心者の刀が握られていた。
すごいなぁ、と思って初心者の刀をじっと見ていると、画面が増える。
<初心者の刀
プレイヤーの初期装備:刀。
効果:力1
装備:両腕>
ほお。
ステータスを見てみると、力が11になっていた。
HP最大値も33になっている。
ここまでの効果からして、HPは力+耐久+敏捷、MPは器用+知力+精神になっているんだろうか。
運は一体何なんだ?
「訓練場・特別無料解放」と書かれた紙が見えたので、そこに入る。
「異界の方ですね。まずは説明させていただきます」
何を?と思ったが、NPCによる現状の設定の説明だった。
この世界には神が存在していて、巫女とかも存在していて、巫女は神からの声を聞くことができ、神から「これから異界の者が大量に来る」という旨の説明があったため、急いでこっちの世界でも準備したらしい。
そしてここが、異界の者、つまりプレイヤーが最初に出現する場所。
いわゆる始まりの町。
んで、今日は本来お金を払うべき訓練場を無料で開放してスキルの熟練度を上げて欲しい、とのこと。
とりあえず剣の素振りを繰り返す。
100回ほどすぶりをすると、ようやく刀術の熟練度が0.01ほど上がった。
素振りはあんまり効率がよくないらしい。
でも、結構形になってる気がする。
刀なんて持ったことさえなかったというのに。
刀術スキルのおかげなんだろうが、多分刀使用補正的なものがあるらしくて、アーツとかを使うことができない。
つまり、ただただ素振りをするか実践でやってみるかしか熟練度を上げる方法が、今のところ、ない。
しかも、次に熟練度が上がったのは素振りを200回した頃。
つまり、素振りを永遠にやり続けても、熟練度が上がるペースは落ちていくってことだ。
きついって。
続いて、火魔法を使ってみる。
ステータスで火魔法のところを押してみると、こんなのが出てきた。
<火魔法1.00 スロット:【 】【 】【 】【 】【 】
控え
○ファイアーボール>
ファイアーボールを押してみる。
<ファイアーボール
魔法中距離攻撃。
属性:火
使用MP1
準備時間1s>
火魔法のスロットのところにファイアーボールをセットする。
スロットにセットされた技じゃないと使えないようだ。
初心者の刀をインベントリに直し、初心者の杖を取り出す。
<初心者の杖
プレイヤーの初期装備:杖
効果:精神1
装備:片腕>
右腕に初心者の杖を持って、的に向かって
「【ファイアーボール】」
が、出ない。
もしかして、準備時間ってやつだろうか。
準備時間は1sってなっていたから、もう発射できるだろう。
「【ファイアーボール】」
お、火の玉がでた。
的が燃える。
あぁ、やばいやばいやばい。
と思ったが、的は燃えていなかった。
あれすごいな。
あの素材欲しい。
現実世界でもいいものじゃないか。
もう1発撃とう。
「【ファイアーボール】、・・・・・・【ファイアーボール】」
狙いは的確。
伊達に祭りで射的ばっかりやっていたわけではない。
ステータスを見ると、何か増えていた。
<ヴァレント 種族:隼獣人
HP27/34 MP16/18(15/17)
力12 耐久10 敏捷12 器用5 知力5 精神8(7+1) 運5
所持スキル(6/10)
○刀術1.02
○火魔法1.02 【ファイアーボール】
○鍛冶1.00
○採掘1.00
○調教1.00
○飛行1.02
○射撃0.02
○空き
○空き
○空き
装備
頭部:空き
右腕:初心者の杖(精神1)
左腕:空き
首:空き
胴体(上):初心者のシャツ(+0)
胴体(下):初心者のズボン(+0)
右足:初心者の靴(右)(+0)
左足:初心者の靴(左)(+0)
インベントリ
○初心者の刀×1
○鍛冶の七つ道具(梅)×1
○初心者のつるはし×1>
射撃というスキルが。
熟練度は0.02とかなり低いが、スキルに関係することをやると熟練度が上がって0.01以上になったら表示されるのかもしれない。
っていうか、思ったより簡単にスキルって手に入るんじゃないだろうか。
とりあえず早速実戦をしてみようと思って、訓練場を出た。
訓練場を出て、町の外へ。
町の外に行ったのに、そこは狩りをしているプレイヤーばかり。
めっちゃ安全だろうな。
モンスターに脅かされている(という設定の)この世界では、こんなにもモンスターがどんどん狩られることはないんだろう。
それなのにこんなに狩られたら、安全性がどんと跳ね上がり、いっときモンスターに脅かされる心配はない。
NPCが本物の人間だったら感謝しても感謝しきれないんじゃないだろうか。
それにしてもモンスターがいない。
というかプレイヤーが多すぎる。
世界初のVRMMOだもんな、しょうがない。
近くにいたNPCに鉱山の場所を聞いて、鉱山へ行った。
初心者の杖をインベントリに戻し、初心者のつるはしを取り出す。
<初心者のつるはし
プレイヤーの初期装備:つるはし
効果:力1(戦闘時効果なし)
特殊効果:爆薬に触れても爆発しない
装備:両腕>
両腕で持ち、鉱山の穴の1つの中に入って掘る。
こっちはプレイヤーが少ないようだ。
皆戦闘大好きなのかな?
でもまあ確かに、VRMMOっていうなら戦闘してみたいよな。
戦闘を現実でやることなんてないし。
生産は現実でやってもほとんど変わらないんじゃないだろうか。でもまあ、鍛冶なんてしないよな。
さっきの町の外ほどではないが、少しはプレイヤーもいる。
ちゃんと需要はあるらしい。
<金
鍛冶の素材。>
何て短い説明文なんだ。
本当の採掘なんてしたことがないからわからないが、こんな、普通に金の立方体がでてくるものなのか?
だいたい10cm³といったところだろうか。
もう少し掘ってみる。
<金
鍛冶の素材。>
インベントリへ。
<銀
鍛冶の素材。>
「あんたすごいな。さっきから金とか銀とかしか掘り出してないじゃないか」
プレイヤーに話しかけられた。
「え?普通なんじゃないんですか?」
「そんなわけないだろ。普通は鉄とか銅とか石炭とかスズとかしか出てこないんだよ」
へぇ。
「名前教えてもらっても良いか?」
「ヴァレントっていいます」
「俺はカイズだ。武器屋をしようと思っている。よろしくな」
「よろしくお願いします」
作業に戻る。
<金
鍛冶の素材。>
<銀
鍛冶の素材。>
<金
鍛冶の素材。>
<銀
鍛冶の素材。>
<火薬
素材。>
<ダイヤモンド
素材。>
<オルコリハン
鍛冶の素材。>
<サーバーより称号:幸運者が贈られました。>
変な素材ばっかりとれるなー、と思っていたら称号が贈られてきた。
ステータスを出して幸運者を押す。
<称号:幸運者
<Another Life Online>内で低確率を10回引き当てたものに贈られる称号。
獲得条件:低確率10回以上
効果:運×2>
運が何に作用するのかわからないのでよかったともいえず悪かったともいえないな。
もう少し掘ってみよう。
<オルコリハン
鍛冶の素材。>
<ダイヤモンド
素材。
<アダマンタイト
鍛冶の素材。>
<オルコリハン
鍛冶の素材。>
<金
鍛冶の素材。>
<ラピスラズリ
素材。>
<ダイヤモンド
素材。>
<銀
鍛冶の素材。>
<ラピスラズリ
素材。>
<魔銀
鍛冶の素材。>
<サーバーより称号:超幸運者が贈られました。>
・・・・・・まあ、確かに差、オルコリハンとかラピスラズリとか魔銀とかが普通の素材だとは思わないけど、こんなにもとれるものなのか、普通。
超幸運者を押してみる。
<称号:超幸運者
<Another Life Online>内で超低確率を10回引き当てたものに贈られる称号。
獲得条件:超低確率10回以上
効果:運×3>
そうか、超低確率を10回も引き当てたのか。
俺は案外すごいんじゃないだろうか。
ていうか、いつのまにか採掘の熟練度が1.40になっている。めっちゃ上がってんじゃん。
力も40上昇して52、装備の効果も合わせて53になっている。
HPの最大値は74、装備の効果も合わせると75だ。
始めの方は一方的にモンスターを蹴散らすことだってできるんじゃないだろうか。
鉱山で注目を集めてしまって作業がしにくかったので、鉱山を出てまた町の外へ。
そろそろプレイヤーも分散してきたかなー、と思ったがそんなことは全然なかった。
普通にめちゃくちゃ多い。
また狩りを諦める。
カイズから貸し出し鍛冶場の話を聞いていたので、そこへ行く。
貸し出し鍛冶場では、お金を払えば一定時間鍛冶場を使えるらしい。
つるはしをインベントリに戻しておく。
そして貸し出し鍛冶場へ到着。
「1時間1000円だ」
鍛冶場の前にいた人に言われる。
そういえば、お金持ってないじゃん。
普通ゲームって最初から少しぐらいお金持ってるもんだろうがよぉっ!
と叫んでもしょうがない。
「あの、これ、買い取ってくれませんか?」
そう言ってインベントリから金を取り出した。
「おお、金か。珍しいな。いいぞ、10万円で買ってやる」
1円がどのくらいなのかがわからないから、とりあえず言い値で売った。
貨幣はお札だった。
まさかの日本円。
もしかして、とは思ったが、本当に日本円なのかよ。
まあわかりやすくていいけどさ。
9万9000円を受け取った俺は鍛冶場へ。
あてがわれた場所には台がひとつ。
どうするんだろうなー、と思って台を触ったら画面が出てきた。
<鍛冶初心者へ、運営より説明です。
【次へ】 【skip】>
次へ。スキップなんてするわけないだろ。
<まず、使う素材を台の上に置いて下さい。
レシピなどは1から自分で発見していく必要があります。
以上です。
【閉じる】>
アナザーライフ・オンラインの運営って、結構雑だと思う。
まあいい。
今度運営に文句のメールを送るとして、とりあえずやってみよう。
早速台の上に素材を置こう。
でも、俺が持っている素材って希少価値があるやつばっかりなんだよな。
とりあえず金と銀を置く。
<形状を選んで下さい。
○刀
○杖
○つるはし>
選択肢少ないっ!
っていうか、俺が持ったことあるやつだけじゃん。
あぁ、そうか、そういうことなのか。
持ったことがある形にしかできないのかよ。
そういえば、鍛冶の七つ道具とかったよな。
鍛冶の七つ道具(梅)を取り出す。
<鍛冶の七つ道具(梅)
鍛冶初心者のための七つの道具。>
箱だったので、空ける。
本みたいなのがあったので、これじゃないかと思って取り出した。
<鍛冶の知識本(梅)
鍛冶の七つ道具(梅)の1つ。形状の選択肢を増やす。>
多分合っているな。
本を開く。
1ページ目には剣が載っていた。
2ページ目には槍が載っていた。
3ページ目には刀が載っていた。
4ページ目には斧が載っていた。
5ページ目には鏃が載っていた。
6ページ目には小盾が載っていた。
7ページ目には大盾が載っていた。
8ページ目には杖が載っていた。
9ページ目にはノコギリ。
10ページ目にはノミ。
11ページ目には槌。
12ページ目にはとんかち。
13ページ目にはつるはしが載っていた。
初期スキルで使いそうなやつばっかだ。
もう1度台の方の画面を出す。
<形状を選んで下さい。
○剣
○槍
○刀
○斧
○鏃
○小盾
○大盾
○杖
○ノコギリ
○ノミ
○槌
○とんかち
○つるはし>
とりあえず刀を作ってみよう。
刀を選択。
<鍛冶石を置いて下さい。>
鍛冶石?
鍛冶の七つ道具の中を見てみると、確かに石が6つ入っていた。
そして、それ意外に箱に入っているものはない。
詐欺だ。
7つ道具っていうのに本1冊と石6つっておかしいだろ。
まあいいや。石を見る。
<鍛冶石Ⅰ
鍛冶初心者が使用する鍛冶石。>
6つとも同じだったので、鍛冶石Ⅰを台に置く。
<使用MPを設定してください。
【1】【↑】【↓】
【鍛冶】>
↑を押し続けて15に設定した。
そして、鍛冶を押す。
<完成まで15:00>
14:59になった。
14:58になった。
つまり、完成まで15分かかるってことね。
おけおけ。
ところでさ、これを鍛冶と呼んでしまっていいのかい?
こんなものを鍛冶と呼んだら本職の鍛冶師がブチ切れるんじゃないかな?
鍛冶初心者の俺でさえ違和感を感じているんだ。
<完成まで14:42>
あとはここでぼー、っとしとくしかないのか。
MPも使い切ってしまったので、もうすることがない。
ゲーム内ではネットを見ることもできないようで、本当にやることがない。
刀の素振りを500回ほどしてようやく刀術の熟練度が0.01上がったところで刀ができあがった。
<名前未設定
プレイヤーが制作した装備:刀。
効果:力24 敏捷-3
制作評価:2
装備:両腕
制作者:ヴァレント>
鍛冶の熟練度が0.02上がっていたので、おそらく制作評価の部分の分熟練度が上がるんだろう。
それにしても初心者の刀との効果の差がひどくないか?
だが、敏捷が下がるということは速度が遅くなるってことだよな。
あんまり嫌だな。
名前は何にしようかな。
俺はあんまりネーミングセンスがないからなぁ・・・・・・。
もういいや、ヴァレントの剣1とかにしよう。
<ヴァレントの剣1
プレイヤーが制作した装備:刀。
効果:力22 敏捷-3
制作評価:2
装備:両腕
制作者:ヴァレント
名付け:ヴァレント>
って、もう名前つけられてるし。
ってかおい、冗談だろ。
マジでヴァレントの剣1になるのかよ。
ないわー。
ってか、そもそも剣じゃなくて刀だしな。
俺が剣って考えてしまったのが悪いのか。
ないわー。
ヴァレントの剣っていう名前の刀なのかよ・・・・・・。
トホホ・・・・・・。
そして俺は気づいた。
持ち手がない。
何で刃だけなんだよ。
いやまあ確かに、金属しか置いてないもんな。
でもさ、ゲームだから何とかなると思うじゃん?
もしかして、木工職人のところとかに行かないといけないの?
・・・・・・ありそうだな。
よし、木工職人を探すか。
木工職人に柄を・・・・・・
金がねぇ。
金(きん)はある。金(かね)がねぇんだよ。
金とか銀とかは低確か率らしいから、もう売りたくない。
だから、何とかお金を稼がないといけない。
やっぱり戦闘だよな。
モンスターを殺せばきっとお金が沸いてくる。
そうじゃなかったら戦闘系の人たちはお金を稼ぐことができないからな。
まさか素材を売ったお金しか手に入らないとかじゃあるまいし。
きっとそろそろプレイヤーもばらけているはず。
よし、いこう。
やっぱりプレイヤーはまばらになっていた。
まばらになっていたっていうのは、プレイヤーが減ったっていうことではなく、奥に行ったのだ。
多分どんどん熟練度が上がって、奥にいるモンスターと戦えるようになっているんだろう。
俺、遅れちゃったな。
剣という名の刀を作っている間に差が開いてしまった。
俺もモンスターを倒そう。
やっと俺がモンスターを倒すときがやってきた。
「【飛行】」
とりあえず飛行して周辺にいるモンスターを確認する。
お、近くに兎がいる。
よし、あれにしよう。
地面に下りて、初心者の刀を装備。
ステータスを確認。
<ヴァレント 種族:隼獣人
HP70/77(76+1) MP2/19
力54(53+1) 耐久10 敏捷13 器用7 知力5 精神7 運30(5×2×3)
称号:幸運者 超幸運者
所持スキル(6/10)
○刀術1.03
○火魔法1.02 【ファイアーボール】
○鍛冶1.02
○採掘1.40
○調教1.00
○飛行1.03
○射撃0.02
○空き
○空き
○空き
装備
頭部:空き
右腕:初心者の刀(力1)
左腕:
首:空き
胴体(上):初心者のシャツ(+0)
胴体(下):初心者のズボン(+0)
右足:初心者の靴(右)(+0)
左足:初心者の靴(左)(+0)
インベントリ 99000円
○ヴァレントの剣1×1
○初心者の杖×1
○初心者のつるはし×1
○鍛冶の七つ道具(梅)×1
○金×4
○銀×4
○火薬×1
○オルコリハン×3
○ダイヤモンド×3
○アダマンタイト×1
○ラピスラズリ×2
○魔銀×1>
MPは不安だが刀だけで戦闘するつもりなので問題なし。
HPは、最大ではないが70あれば問題ないはず。
早速兎に近寄る。
「キュウィィィィ!」
兎の突進は思ったより速く、反応できずに、俺はちょっとだけ飛ばされた。
結果、HPが5減った。
うん、結構楽勝かもしれない。
兎が体勢を崩しているうちに刀でサクッと。
「キュウィィ」
兎は死んだ。
<ワーラビットを倒した!
ドロップ:>
は?
ドロップアイテムなしですか?
それでいて、インベントリに入っているお金の金額も変わっていない。
ただ戦っただけ。
嘘だろ。
戦闘に特化する人とかどうやって食べていくんだよ。
と考えていたら後ろから衝撃。
HPが48になっていた。
20以上減っているんですが。
後ろを見ると、犬がいた。
「ワウッ!」
刀で切りつける。
「キャウンッ!」
可愛い声をあげても見逃さない・・・・・・けど、調教できるかもしれないよな。
犬がおびえてこちらを見ている。
「俺についてこないか?」
噛まれた。
<ワードッグを倒した!
ドロップ:犬の犬歯>
この犬の制作者はきっと頭がいかれているんだろう。
なんだよ、ドロップアイテム犬の犬歯って。
頭わいてんじゃないの?
チッ!またワードッグがいる。
よし、射撃してみよう。
近くにおちている石を拾って、狙いを定める。
そして、投げた。
コツン。
「キャウンッ!」
ワードッグが仲間にしてほしそうにこちらを見ている。
嘘です。本当はこうです。
ワードッグが親の敵を見るようにこちらを見ている。
「ヴァウ、ヴァウヴァウッ!」
怖いって、やめろよ、悪気はなかったんだよ。
「【ファイアーボール】、・・・・・・【ファイアーボール】」
急いで杖に取り替えてファイアーボールを放った。
犬が燃えている。
この光景もう一生見たくない。
さっさと楽にしてやろう。
刀に持ち替えて斬る。
<ワードッグを倒した!
ドロップ:焦げた犬の犬歯>
えー、倒し方によってドロップアイテム変わるんですかー?
それはちょっとだめだろう。
戦闘系を火魔法しかとらなかったら焦げたやつとか燃えかすとかしか手に入らなくなるんじゃないか?
嫌なものを見たので今日はもう戦闘をしない。燃える犬とかもう嫌だ。俺犬好きなのに。
町に戻ってドロップアイテムを換金する。
「犬の犬歯ですね。5円です。こちらは焦げているので2円です」
・・・・・・。
今は一体何時代なのだろうか。
あんだけやって、俺の今日の戦闘での報酬は7円。
きっと現代の日本での1円の価値の100倍とか、そんなことであってほしいな。
そうじゃないと、生きていけない。
あれで、7円だとぉっ!?
町に出て刀でワードッグを1匹倒した。
何故かって、イライラしていたからだ。
俺は鍛冶場に来ている。
何故ならば、また獲得した犬の犬歯だったので、鍛冶で使えないかと思ったからだ。
だが、鍛冶場の前で思いとどまった。
こんな、成功するかどうかもわからない犬の犬歯のために、低確率で引き当てた珍しい鉱産物を使っても良いのか、と。
そう思うわけだ。
やっぱり、鉄とか銅とかが手に入ってからするべきなんじゃないか?
一番レアじゃなさそうなやつでも俺が持っているのは銀、または火薬だ。
火薬はもっと鍛冶が上達しないと使う気はないから、銀を使うことになる。
犬の犬歯に銀を使う、なんて。
考えられないな。
うん。やめておこう。
というか、いつのまにかログアウトしないといけない時間になっている。
楽しかったというか、そうでもないというか、本当に異世界で生活したみたいだったな。
ドロップアイテムのところが解体する必要があったのなら本当に異世界で生活したみたいにな
あっ!
そうだ、解体だっ!
倒した後も、モンスターの死体は残っていた。
ということは、それを解体すればまたアイテムを得られて、それでお金を貯めていくんじゃないか・・・・・・と、そう思った。
急いで町の外にでて死体があったところに行ったが、何者かに解体されていた。
あ、やばい、時間過ぎている。ログアウトしなきゃ。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!