昔、コタローという幼い男の子がいた。
おもちゃ遊びに夢中だったコタローは教育番組の『おカエルさんといっしょ』のTV番組にて、スライムを作ろうという人気コーナーでスライム作りにチャレンジすることに。
ホウ砂水と洗濯のりをボウルで混ぜ、ビーズを加え、コタローがスライムを作ると、目の前に可愛いペンギン姿のスライムとして命が宿り……。
コタローは名もなきスライムにぷにるという名前を付け、二人は幸せに暮らしました……。
──と流れ的にいい感じで友達となって、7年後の朝……。
中学二年となった河合井コタローはベッドから飛び起き、ベッドで一緒に寝ていたぷにるに怒鳴る。
昔は一緒によく寝たじゃないですかと、人間の女の子のような姿で、はだけた服を気にせずに目を覚ますぷにる。
思春期のコタローにとっては目に毒だった。
そんなスライムが寝ていたことにより、粘液でベトベトになった布団を見て、絶望するコタロー。
一刻も早く取り除かないとと、ぷにるにベッドから移動するため、触ろうとしたら腕がゼリーのように飲み込まれ、ベタベタな腕になる。
さらに飲み込まれた目覚まし時計は遅刻の時間を指していたのだった……。
──ぷにるのせいで大変な日常だとブツブツと呟きながら、学校の廊下の手洗い場で粘液塗れの手を洗い流すコタロー。
そこへ偶然にも三年生のお姉さん、雲母麻美と出会うことに……。
赤いバラの背景とマッチし、誰にでも優しい聖母のような存在でもあり、おまけに顔も良くてたわわな胸にスタイルも良し。
学校のマドンナと呼ばれ、コタローの片思いの相手でもあった。
そこへ蛇口からぷにるがウニョウニョと出てきて、コタローに家に置き忘れていた進路希望調査表を手渡すが、将来の夢がないコタローはその件に思い悩んでいた。
なお、第一志望の空欄はぷにるが『ぷにるランド』と埋めており、ボクの可愛いが世界中に繋がる『ぷにるランド』という夢の計画を実現したいと……自己中でワガママにもほどがある……。
──オープニング主題歌はノリノリのダンスミュージックで、全体的にカラフルな色使いの『ぎゅむ!』だ。で、全体的にカラフルな色使いの『ぎゅむ!』だ。
混ぜてネバネバ、触れるとベタベタの歌声、クリームソーダが好きな台詞に、ぷにるが歌に合わせてジェスチャーをする。
コタローが痛バッグになったバッグを見せて怒ったり、スライム状のぷにるが麻美に抱かれて困ったりとコメディ要素も満載だ。
『唱』というエンディング曲は王道のダンスチューン。
DJのスクラッチ音が華やかで、変身したぷにるがファッションショーに出たり、ダンサーや体を張ったマジシャンと実に多彩。
両曲とも、ぷにるの声優、篠原侑が歌っている。
また各所に流れるBGMも良質で豊富なジャンルなサウンド揃いであり、ゲームのサントラのようなパターンに思わず聴き惚れしまう。
サントラの購入も視野に入れたくなるほどの仕上がりだ。
──ぷにるがポーチから出したホウ砂水と洗濯のりを体に混ぜて魔女っ子のように変身するシーンも話題でもある。
ぷにるの体が光に包まれてコインとなり、大きなガチャのコイン投入口に吸い込まれた後、購入口から出てくるガチャポンのカプセル。
そのカプセルトイを開けるとぷにるがお望みの相手に変身し、アイドルや小学生、モデルに恋人と可愛いの思うがままだ。
──中学生とは思えない南波遊助に違和感があり、遊び人という設定だが、遊びと言ってもカードゲームやコインゲーム、トランプ、挙句の果てにスライム遊びなどの子供の遊びであり、見た目はアレでも中身はコロコロキッズということにいささか納得でもある。
──麻美の子供を見た時の反応も怖い。
私をお母さんと呼んでいいのよと胸に押し当てて呼吸困難にさせたり、おしゃぶりやペロペロキャンディーを強引に口に突っ込んだり、爬虫類のような奇妙な動きで夕飯はカレーが良いよねと迫ってきたりと……。
聖母のイメージがガタ落ちであるが、それでもコタローはそんな雲母先輩に少しズレた恋をしていた。
──変身したぷにるがたわわなアイドルになり、その果実を鷲掴みにしたいという男の子の願望に胸だけを切り落としたり、
可愛い顔の方が家出していなくなったら、世界中がほっとかないですよと、
ナタで頭から縦に切り分けたりと、天然ボケの気質も目立つ。
──この作品は子供向けの漫画WEBコロコロコミックからの原作であり、アニメの絵柄も子供向けである。
それなのになぜ深夜帯の放送なのか。
お子様向けの内容ではなく、ぷにるやぷにるを取り巻くキャラたちが規制を超えて、やりたい放題しているからである。
ぷにるを強く抱きしめたら胴が半分に切れたり、不意の衝撃で体がバラバラになったり、無神経に体を分断したり、体をドロドロにしたりと、ぷにるに関して猟奇的なシーンもあるからだろう。
──だが、全体的に笑えるギャグアニメであり、原作が飛ぶように売れているのも分かる気もする。
一話が公開されて秒単位で60万PVを突破、単行本一巻の初刊が瞬く間に10万部も売れ、次にくるマンガ大賞にも選ばれた超人気な本作。
幼児向けのイラストと見せかけて、中身は意外にも大人向けな部分もあり……。
見かけに騙されると変な意味で痛い目に遭う内容でもある。
ギャグのツッコミのシーンに『ズコー!』と昭和の漫画のように頭から真っ逆さまにズッコケる部分もあり、お笑いアニメ好きなら目を通しても損はない作品だろう。
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