私立由ケ丘女子高等高校。
アニメ好きなら言わずとしれたスクールアイドルの大会ラブライブに出場し、優勝を目指す青春真っ盛りの女の子しか出てこない百合アニメだ。
シリーズ四作目となり、今回は声優からではなく、一般人選考で歌の上手い女性から声優を決めたという流行の最先端を行くオリジナルアニメである。
──急遽、ウィーン国立音楽大学への留学が延期になったLiella!(リエラ)のセンター澁谷かのんはLiella!のメンバーに顔向けができず、人目を避けて皆の様子を伺う日々だった。
気合いを入れて、荷造りも無事に済ませ、メンバーにドヤ顔でオーストリアに行くからさようならと別れを告げたからだ。
──同じくウィーンへの入学を断られたマルガレーテは現地でかのんと歌を学びなさいという親からの結論に苛立ち、同じ一年生の冬毬を加えた三人で「トマカノーテ」というグループを結成した。
それにも関わらず、かのんはLiella!のメンバーと交流したり、相談にのってあげるが、マルガレーテにとってはメンバーへの裏切りだとしょっちゅう機嫌を悪くし、敵に情は要らないという孤高の存在でもあった。
──一方で本番の会場で上手く出来ればそれでいいと塩対応で発言していた冬毬も姉の存在を大きく受け、サボりがちだったダンスの練習にも顔を出すように……。
かのんにとってLiella!は敵ではなく、ライバルでもあり、ラブライブのてっぺんを決める起爆剤のようなもの。
それが新しいメンバーの二人に伝わったことに正直嬉しい気持ちだった。
──三学年となったかのんたちが将来の進路に頭を悩ます中、可可は両親が住む上海に帰国することに……。
親から北京への大学進学を推薦してくれたことに戸惑いながらも、本音も出せず自分自身の気持ちに迷っていた。
可可が帰国した後日、自宅に無名の上海行きへのチケットが届いていたかのんの元にLiella!のメンバーも家に押しかけてくる。
メンバー全員にそのチケットが届いていたからだ。
こうして10人のメンバーは可可の気持ちに応えるため、初の海外旅行に胸を膨らませて現地へと到達するが、何やらスマホにて無言メッセージの可可から、謎の画像が届いてきて──。
──オープニングテーマ曲は夢に向かって僕らは一つだよと11人でステージにて歌う『Let's be ONE』。
二期と似たような出だしから始まり、いかにもラブライブの主題歌らしい元気なポップチューンだ。
JPOPにありがちな聴く者の心を震わし、泣かせてあげるなラブソングではなく、明るく前向きな青春ソングなのがポイントだ。
基本ラブライブシリーズにはこういう系の元気になれる楽曲が多く、今回もCGのキャラたちが歌いながら優雅にダンスを披露する。
エンディングテーマは『DAISUKI FULL POWER』。
オープニングと同じく応援歌でもあり、キャラがこれでもかと動く。
メンバーごとのシャッターチャンスやラストでは全員集合と青春アニメのツボを押さえており、毎回歌うキャラが違うという楽曲だ。
──第一期は五人、二期は四人が加わり、今作の三期では二人と入学して来て、シリーズごとに新入生がメンバーに入るという拘った設定でもあり、これまでのラブライブの展開をガラリと変えた。
メンバーも今までのようにただ増えるのではなく、二つのグループに分散され、同じライバルとして競い合うという部分にも驚きを隠せない。
上海での世界観の表現も丁寧で画面越しでも観光気分が伝わり、現地でのラブライブのフェスでもLiella!が特別ライブを披露するさまは感動でしかない。
──好きなことを頑張ることに終わりはない……などと心を揺さぶり、感動の涙を誘う名言も各所にあり、バッグに流れるBGMと重なり、思わず涙ながらに感情移入してしまう。
ただの可愛い女の子が出てくるアニメでは終わらせないのだ。
どんなにキャラが変わってもラブライブシリーズに終わりはないことを思わせる。
本編が終わっても日常を彩るキャラソンやオマケドラマがあるのも嬉しい。
──また物語の出だしを大切にしており、一話が始める前に前回の内容のエピソードが流れ、前回の話を見逃しても理解しやすい。
前半パートではギャグ、後半パートではシリアス路線、そしてオリジナル楽曲を披露と、物語の演出も丁寧で上手な手法で、なおかつNHK放送なのでCMも無くてストレスフリー。
しかもこのクオリティでゴールデンでの放送。
大ヒットしたアニメでの王者の余裕というものを感じさせる。
──見た目は美少女による萌えアニメとオタクが観るようなイメージがあるが、女子校生アイドルとキャッチーな音楽を組み合わせた独自の展開は、ラブライブでしか味わえないもの。
登場する女の子も萌えではなくリアル寄りの設定であり、萌えアニメ系が苦手な人でも取っつきやすい。
──沢山あるアニメの中でお子さんと一緒に観れる万人向けのアニメはどれがいいのか。
ラブライブシリーズは過激な表現もなく、ストーリーも王道寄りだ。
シリーズを通じて名作揃いで安心して観れるのもいい。
とりあえずアニメ初心者でも安定して観れる名作を探しているなら、この作品から観ても十分に楽しめるだろう。
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