──大人気吹奏楽部アニメ、待望の新作。
前回までの内容を纏めた劇場版4部作も大ヒットし、今作がシリーズ最終部となる。
原作は小説であり、それを元に久美子によるナレーションの語り口が所々に入るのが特長だ。
──ヒロインの黄前久美子は北宇治高校の三年となり、部長に任命され、今年で最後となる吹奏楽部で最早、相棒でもあるユーフォを吹き続けてきた。
同じく相棒の高坂麗奈も久美子と同様、トランペットを練習し続けた。
そんな中、三年で転校してきたお嬢様な黒江真由が銀のユーフォを吹いてる現場を見かけ、久美子は部活に入りたいと言う彼女の願いを尊重する。
しかし真由は『今年度のユーフォの演奏を私が担当しても良いよね?』とさらりと口に出し、ユーフォ奏者である久美子は新たな悩みを抱えてしまう。
──去年のベテラン部員の卒業による大きな損失、新しい部員を入れる勇敢な行動、去年までとは違う、全国大会の金賞を目指すため、上手い人だけがコンクールに出られる厳しい状況。
去年とは違い、オーディションは三回あり、その度に受かればコンクールで演奏できる口約束だが、そこで様々な部員同士での衝突が起こる。
──真面目な性分ゆえ、部長としての責任を感じ、一人で堂々巡りだった久美子はそれらの壁を乗り越えるため、副部長の塚本秀一と麗奈と一緒に三人で交換ノートを始め、それぞれの悩みや相談を書き綴ることになった。
そして夏休みの合宿、ソリを一緒に吹こうという麗奈の願いに答えられず、オーディションに落ちてしまう久美子。
久美子は思った。
この世には下手に首を突っ込まずに、知らないこともあった方がいいと……。
真由の辞退したいという想いに反論した結果がこれだった……。
──オープニング曲はReCoda。
部員の日常の風景から滝先生が指揮するコンクール、久美子と麗奈が青春を謳歌し、ベンチに座る映像が流れ、アニソンの女王TRUEがリズミカルなオーケストラポップを上品にソプラノで歌い上げる。
このシリーズでは欠かせないアーティストとなった。
北宇治カルテットという四人の声優が歌うエンディング曲は『音色の彼方』。
真由持参のカメラを持ち、四人のメンバーの過去の写真を振り返っていく。
久美子と麗奈に加わり、葉月と緑輝の高い歌声にトランペットなどの音色が入り混じり、終楽奏となるキャラソンバラードをゆったりと歌い上げる。
どちらもアニソンとは思えない気合の入った楽曲である。
──この本作はとにかく作りが丁寧でイラストも綺麗で、さらに音楽パートの音質も良く、素人が観たら、劇場版からのカットかと思わせるほどだ。
京都アニメーションの実力を耳と肌でも感じ、TVアニメなのに一切妥協してないクオリティーの高い作品である。
──キャラもみんな個性があって面白い。
特に久石奏による人を選ばない毒舌キャラは多くのファンの心を掴み、今ではユーフォシリーズでは欠かせないキャラに……。
奏の意外な声優陣にも圧倒させられた。
あの清楚系お嬢さんが演技でここまで変えられるものかと思わせたほどだ……。
──今年の春アニメの中でも特に評判が高く、何もかもがレベルが高いアニメ、ユーフォニアム3。
ちょっと楽器の知識やルールなどを知らないと分からない点もあるが、NHK放送なのでCMが一切なく、集中して一気見できる点はありがたい。
百合アニメのようで男性キャラもいて、疲れるような恋愛要素もなく、吹奏楽に情熱を注いだ作品。
次回予告後の一枚絵のチビキャライラストも受けを狙っているのか、思わず飲んでいるコーラを吹き出してしまう。
この絵柄だけを集めたイラスト集が欲しくなってくるさまだ。
数あるアニメ視聴に迷ったら、まずこれを観よと胸を張って言える(言えてない)作品でもある。
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