死ぬことにより、過去にタイムループする時間を手に入れ、死に戻りの力を手にした日本人のナツキ・スバル。
聖域の戦いから、平凡な日常を過ごし、人工精霊のベアトリスとの契約から一年後……。
誰とでも対等に戦える己の体力作りにと、鬼畜秘密基地にて厳しいトレーニングを受けていたスバルはムチを上手く使いこなし、念願の基地をパーフェクトでクリアする。
──そんな中、スバル宛てにお客がやって来るとのこと。
予定にない来客にスペシャルなイベントを想像して屋敷に戻ると、エミリアから騎士ナツキスバルと紹介され、クールに振る舞っていると、アナスタシアから来たユリウスの弟ヨシュアはスバルに尊敬なまなざしで挨拶をする。
──アナスタシアからの伝言にて、魔晶石を手にするため、湖の中にある水門都市プリステラからのパーティーに招待されるスバルたち御一行。
屋敷内で眠り続けるレムに一時的に別れを告げ、何かあった時はガーフィール、説得にはオットーという強力なパーティーを加えて四人並べて竜車でプリステラを目指す。
──水の監獄と想像していたスバルの前にユリウスと再会するスバル。
和風建築と呼ばれた宿屋にて、これまでの世話になった仲間たちと合流する。
──とりあえず気分がてらに街を散策しようと、路上で弾き語りをしてる女の子リリアナに音楽センスゼロのスバルが茶々を入れ、観客からブーイングを受ける中、その状況で閃いてみたリリアナは次々と新曲を披露する。
──幼女使いの冒険者とも勘違いされ、魔晶石を譲り受ける商談を駄目にし、後日、赴くことになるエミリア。
旧友のラインハルトとも出会い、力の差を見せつけられるガーフィール。
宿屋にてアナスタシアの命によるクルシュたちと魔女教大罪司教と話を通す作戦を練ることに……。
──それとは別にガーフィールに目を付けたミミに励まされつつも、天真爛漫のミミに支えられるガーフィール。
川の子供たちにゴージャスタイガーと呼ばれたガーフィールが武勇伝を自慢する中、子供の送り迎えで自身の母親と出会う。
次の日、ミーティアの放送により、リリアナの切ない歌声が響き、素直な心で息子に接するヴィルヘルムだったが、そこにガラの悪い男が乱入して……。
──オープニング曲は鈴木このみによる『Re weave』。
けいおんなどを手掛けた音楽家TomH@ckによるハードロックなサウンドだ。
メタルに近い重厚なツインギターの演奏は最早、アニソンの常識を覆したアニメタルであり、新世紀のサウンド性を秘めているほどだ。
PVでは鈴木このみ本人によるセクシーな赤いドレスで踊るように歌い上げる。
エミリアが処女の意味を知らないように純潔でもある大人のイメージを彷彿させるだろう。
エンディング曲、『NOX LUX』はMYTH & ROIDによる作詞、作曲でボーカルも担当。
両曲とも過去のシリーズでも曲を手掛けていたこともあり、存分にレベルが上がった曲を聴かせてくれるだろう。
プリステラの都の一日の流れを映し、闇に光を、罪に罰を……などという二面性のある歌詞、英語混じりである濁流のセレナーデは聴いてる者の心を狂わせる。
──この作品は小説家になろうからのアニメ化であり、第3シーズンになっても歯止めのかからない大ヒット作だ。
タイトルの呼びにくさから『リゼロ』と略され、『転生したらスライムだった件』と並ぶくらいの人気を誇り、異世界ファンタジーと言えば、まずコレ(リゼロ)と転スラと呼ぶほどである。
──だが正統派で女性ファンも多い転スラと違い、こちらは描写も激しめで男性向けかつ、陰湿でダークな作り。
人と魔女教の激しいバトルにて血が噴き出たり、足が千切れて宙を舞ったり、痛みでもがき苦しんだりとあらゆる場所に暴力シーンや残虐な行為が含まれている。
──くわえて主人公のスバルがパーティーの中で一番弱い存在でもあり、どこにでもいるような平凡な男の子。
秀でた才能もなく、チート能力もないゆえに人並みの攻防しか出来なく、命を失うと転生できるのを理由に舌を噛み切ったり、首の動脈を切ったりと自害する場面もちらほら……。
──しかしこのシーズン辺りから何としてでも生き延びてやると強い意思を示し、相手が強敵でも逃げずに立ち向かうスバル。
お嬢様で生真面目な美少女、エミリアを守る騎士となるために鍛錬を通じて強くなり、一人の男として成長する後ろ姿がとても素晴らしい。
──エミリアと聖域でキスを交わした二人。
これが異世界でも変わらない男女の愛というものか。
そんな生々しい表現力がリアルに近くて
共感しやすいと評価され、若者を中心として爆発的なブームに乗っかり、現在に至るのだ……。
──予告無しで一時間以上のロングランでだらけた放送になったり、オープニング曲やエンディング曲をカットして曲のイメージが伝わりにくかったり、さらに二期までの振り返り映像もなし……。
難しい単語なども出てくるので、原作を知っていないと意味不明な点も多いのが残念だ。
転スラと同じく、登場人物も異様に多いので混乱してもおかしくない。
血で血を洗う強烈作でもあり、異世界ファンタジーの初心者が観るには多少、辛い作品かも知れない。
──ただストーリーやキャラクター、舞台設定などはよく出来ており、『習うより慣れよ』の言葉通り、免疫をつけるために原作小説やコミック、第一期からのアニメに触れてみるのも良いだろう。
前にも告げたが、とにかく初心者に容赦ない荒々しい作りの作品であるため、リゼロというタイトルのようにゼロからスタートしてみる(リスタート)などして、本作のストーリーを十分に理解することが先決だろう。
まずは詳しく、この刺々しい毒のある内容を注意深く滑らかにするため、じんわりとこの物語を噛み砕くことからオススメする。
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