とある海辺にある喫茶店で5人の女神様が働いていると噂なカフェテラス、ファミリア。
先代の粕壁家の祖母が店主として店を切り盛りしていたが、その祖母が亡くなり、東大に合格した孫の粕壁隼が実家でもあったファミリアに帰省する。
しかしそこには祖母の優しい気遣いでルームシェアをしていた5人の女の子がいた。
何も知らなかった隼は赤字経営なファミリアを解体して駐車場にすることにし、ちゃっかりと住み着いていた5人を追い出すことを宣言する。
──真面目で料理が得意な小野白菊、元天才子役で努力家の月島流星、クールで情熱的でバンドをやってる鳳凰寺紅葉、裁縫が得意で家事もできる幕澤桜花、ひたすらボケとツッコミをするおバカな鶴河秋水。
不器用な部分はあってもお互いに長所でカバーする5人の仕事への情熱に段々と惹かれていき、だったら俺が経営を立ててやると大学を休学し、勢いでファミリアの店主になる隼。
──だが待ち受けるのは店の経営のみならず、客とのトラブルの連続だった。
隼の祖母の借金を肩代わりしていた不破の爺さんによるイビリ、店を潰そうと躍起になるヤンキーな客、さらに似たような店舗を建設して5人の美人が接客し、ファミリアの売上を横取りしたり……。
全ては不破の爺さんが絡んでいる件ゆえに隼たちは大いに頭を悩ませた。
それでも隼と従業員5人の策略により、不破の計画を阻止し、ファミリアは平和を取り戻す……はずだったが、今度は隼を取り巻く5人が隼に恋をし、彼の取り合いになるというハーレム系のラブコメでもある。
──オープニング曲はシンガーソングライターの小玉ひかりによる『チャージ!』でテンポの良いダンスチューン。
馴染み深く、耳に残りやすいノリノリな楽曲は良いのだが、映像は露出の多い5人のヒロインがあれこれと迷アクションをする困った内容。
挙げ句の果てにはメイドの服装で招き猫の真似事をしたり、隼との口づけのドアップとやりたい放題である。
この辺は一期のオープニングと対して変わっていない。
エンディング曲は元Vtuber四天王アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ
による『なっちゃった!』。
好きになっちゃったや、キミを愛してるというピュアな歌詞で、映像でも隼への想いを花束とウエディングドレスで表現するという熱い曲でもある。
祖母の名前を付けられた野良猫の幸子が絡んでくるのもインパクト大である。
ちなみにオープニングのような過激な映像はない。
──この物語の原作はあの大ヒット作『五等分の花嫁』に続く正統派な続編とネットなどで噂となり、記念すべき第一巻が秒単位で売れて完売し、あまりの売れ行きで重版も追いつかず、一ヶ月以上は入手出来なかったという記録を持つという超人気作でもある。
──個性的で魅力溢れる美少女5人が桜花の手作りの衣装に身を包み、独自の接客をする愛らしい姿は多くの読者の心を鷲掴みにし、キャラの人気投票も白熱を生んだ。
特に流星の小悪魔な大学生やツンデレな紅葉の二人が大人気でSNSでもファンがお勧めと太鼓判を押して(推して)いたくらいだ。
──時に語られる5人のキャラによる黒歴史に、親子の愛が生んだシリアスで切ない場面、それをものともせずに頑張る前向きな部分、たまに見せるお色気なセクシーカットとサービス精神が旺盛で、秋水がたまに放つ必殺技はラブコメに関心がない格ゲーファンの心さえも揺り動かした。
……とここまでは良かったのだが、話数を追うごとに徐々にアダルトな方向性になりつつあり、この作品のクオリティがグンと低下した。
この第二期のアニメでも初回から恵方巻きがどうのこうのとヒロインたちが騒ぎ立て、リアルな女の子は野郎が居ても居なくても、こんなこと堂々と口にしないと思わせるほどだ……。
深夜帯の放送だから許せたのか、放送禁止用語には他のBGMで隠し、仕舞いにモザイクをかけるという、酔った白菊に似せたとんだ淫乱アニメでもある。
──さらに物語の流れ上か、原作の大事な場面をカットしたシーンもあり、これにより物語の雰囲気が薄っぺらい内容となり、多くのファンを失望させた……。
それなのにお色気シーンだけはしっかりとついてくる……。
TVCMではそんな描写は一切ない純愛なアニメと見せつけるから、余計に困るさまだ……。
ちょっとラブコメの路線から外れた不思議なアニメでもある。
──近年、この原作者によるラブコメへの表現力不足も問題となっている。
どれだけ丁寧な絵柄の作品を生み出して、新作が出るたびにアニメ化になっても、どう考えても物語を変な方向に捉えてしまい、消化不良で終わらせてしまう締め方となっており、キャラのイラストが綺麗な所にしか魅力がない。
もうこれが作者の限界なんだろうと呟く方もいるほどだ……。
──色んな意味で、今注目となっているアニメ、女神のカフェテラス。
最近の話は最早下ネタのオンパレードで正直ヒイてしまうが、新たな美少女ヒロインを大勢引き連れてやって来る部分に一夫多妻がウリな作品なのかと思ってしまう。
──キャラの絵柄が可愛いのと、時折入るコントみたいなお笑いギャグ。
この二つの要素がなければ、とんでもないアニメでもある……。
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