七歳となるウィリアムズ・アリシアは前世にてプレイしていた乙女ゲームの世界に転生していることを急に思い出し、前世で憧れを抱いていた歴史に残る悪役令嬢になれるよう、第二の人生を奮闘することに──。
──オープニング主題歌は透き通るシンセのストリングスとパーカッションの合いの手が効いたポップサウンド。
『バッドゥドゥドゥ』というタイトルをコスプレイヤーのLiyuuがリズミカルに歌い上げ、良い子じゃ始まらないと悪役令嬢ぶりを歌詞でも再現。
夕焼けになっても続く剣術に、薔薇が咲き乱れる恋心と映像からでもアリシアの成長っぷりを感じさせる。
エンディング曲はガーリーな歌声が特徴的なラブライブの声優、来栖りんによる『わっちゅあね』。
アリシアとピンクのウサギのぬいぐるみがマカロンを通じて仲良しになる絵柄。
淡い色使いなEDMにより、メルヘンな乙女の気持ちで溢れている。
──廊下を元気よく駆け、礼儀正しく挨拶をするアリシアは今日から悪役令嬢を目指すため、兄弟から剣術の稽古を教わろうとするが、剣術にも体力作りが必要と言われ、腕立て伏せ50回や腹筋100回を毎日続け、この筋トレが一週間できたらとアルバートと約束する。
とりあえず筋トレは夜にすることに決め、図書室で魔法の勉強をすることにするが、肝心の魔法書がどこにも置いてなく、仕方ないのでこの世界の勉強をする。
魔法以外の教養がないとと植物の勉強から始めるが、この世界にしかない独特の植物の多さに夢中になり、遅い時間まで読みふけってしまう。
──それから一週間後、剣術をするには何時間も剣を持ち続ける体力も必要だと、一年間、素振りをやらされるアリシア。
ある日、光、闇、風、火、水と五大貴族属性のうち、一番のタイプである水属性のシーカー・デュークから初めて声をかけられる。
でも悪役令嬢になるには恋心は必要なく、イケメンの王子様は清楚なヒロインに譲るわと心を固めるアリシア。
デュークに頭を撫でられて、思わず照れるアリシアだったが、デュークは図書室の本を借りに来ただけ。
でもデュークはそれだけの感情でもないんじゃとウィリアムズの兄が問いかけるが、俺にも分からないとの答え……。
それどころか、遅くなった誕生日プレゼントとして前世以上に高価なダイヤの付いたネックレスをくれるハメに……。
ゲームではデュークは正統派ヒロインと恋に落ちるはず……。
アリシアは彼の心が読めなかった……。
──国王陛下からも関心を持たれ、アリシアに政治の内容を聞いてくるが、これは悪女になる試練と思い込み、本で得た知識を元に色々と議論を交わした後、例の金のバラが見つかったとの報告。
金のバラは聖女のもとでしか育たないと聞かされ、国王はその相手を捜す……。
──アリシアは国王に質問されたロアナ村のことが気になり、夜更けに侵入すると目が見えないウィルおじいさんに声をかけられる。
おじいさんは貴族だったが、とあるきっかけを気に目を奪われたことを話し、心を許したアリシアも悪女になることさえも打ち明ける。
この人とここで縁を立つのはもったいなすぎると……。
──二年後、剣術に教養、ロアナ村でのウィルおじいさんとの交流を続け、私がなりたいものはヒロインじゃなく、悪役令嬢だと努力を重ねてきたが、自分はまだ無力なことを思い知る。
そんな時、偶然にも魔法の本が収められた書庫を発見するアリシア。
アリシアは魔法さえも習得し、悪役令嬢としてのレベルを上げていく──。
──原作は小説家になろうからで『歴史に残る悪女になるぞ 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!』という長文タイトルの異世界ファンタジーからである。
──物語的に女性向けのボーイズラブな作品かと思いきや、箱を開けたらトラックにはねられての異世界ファンタジー。
所々にラブコメのような展開もあり、意外にも万人向けでもある本作。
コミカライズされた内容も変な癖もなく読みやすい。
ゲームではヒロインであるキャザー・リズが主役ではなく、リズに対抗する悪役令嬢が主役という流れも面白い。
ツンデレで口が悪い悪役を目指し、悪役令嬢になるための腕を磨くアリシアだが、根はいい相手だと逆に人々に好かれ、様々な人との縁が繋がっていく。
このツンデレなギャップの良さがこの作品の最大の魅力だろう。
──国王陛下から直でリズの監視役を頼まれたアリシアはどう動くのか。
これからの彼女の動きに期待したい。
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