この世には大量のようにゲームソフトが開発されているが、名作と呼ばれるソフトに埋もれた全然つまらないクソゲーも存在する。
そんなクソゲーをこよなく愛する陽務楽郎はクソゲーの中でもVRゴーグルを付け、仮想世界でプレイ出来るフルダイブ型というゲームにハマっており、クリアする度に近所のゲームショップに行き、新しいクソゲーに手を出す日々だった。
──陽務は今日も日課でもあるクソゲー、フェアリア・クロニクル・オンライン、略フェアクソというゲームをクリアし、ゲームクリア後に3分間だけ妖精ヒロインをボコれるという条件を満たすため、彼女に思う存分仕返しをし、余韻に浸っていた。
最近のは画質が綺麗でプレイヤーの動きも滑らかと思いきや、CPUの演算が追いつかないせいか、マニアな操作をするプレイヤーの行動に追いつかずにバグが発生してしまう。
今回もクソゲーの固まりのようなゲームだったのだ……。
──それから数日後、クソゲーの憔悴から立ち上がり、いつものショップにて新たなゲームと出会う。
──全世界3000万人がプレイしている神ゲーと呼ばれる『シャングリラ・フロンティア(シャンフロ)』。
陽務はサンラクというプレイヤーネームでゲームの世界にダイブした──。
──オープニング曲は紅白にも出演し、『鬼滅の刃』の曲でブレイクしたアニソンシンガーのLisaによる『QUEEN』。
1期の主題歌を手掛けた『FZMZ』からの作曲で曲の展開が前回とよく似ている。
出だしはメロディアスかつ、サビではツインギターのリフが吠えるように流れていく凄まじい手腕のメタルサウンド。
そこへ力強いボーカルが叫びながら踊り狂うさま。
まるで月明かり(ムーンライト)の下で狂気の舞いを踊るかのように……。
プレイヤーたちがモンスターと激しい攻防をしながら、サビでは新章のロボットアニメの流れらしく、様々なロボットたちが現れる。
エンディング曲はマルチクリエイターの音羽−otoha−による『闇夜のダンサー −Dancer in the Dark Night』。
歌謡曲のような緩やかなロックであり、シャンデリアの暖色の明かりに照らされて、ホスト役を演じるサンラクたちがクールに決める。
『月明かりの下で』などとオープニング曲でもあった詩が使われているのも特長だ。
紅一点のお嬢様でもあり、赤いパーティードレスがセクシーな斎賀玲は一体、誰をご指名しているのだろうか。
いつもとは違い、積極的な彼女の真相は、恋という酔いから覚めない夢物語かも知れない。
──シャンフロの特殊フィールドにて、7つの最強種でもあるボスモンスター墓守のウェザエモンに何度も倒されながらも、高額なその場で復活アイテムを多用して何とかウェザエモンを倒したサンラクたち。
ウェザエモンのサブキャラが落としたドロップアイテム、規格外戦術機や規格外特殊強化装甲などが使用できるエーテルリアクターを入手したが、激しい乱戦だったせいか既に故障しており、修理には魔力運用ユニットというアイテムの他に、腕の立つ鍛冶屋、古匠ランクによる加工が必要だった。
サンラクはラビッツの兎御殿に住む鍛冶師のビィラックを育成して古匠にするため、一緒にアイテム探しを始める旅をすることに……。
──ビィラックが鍛えた武器を使いながら、工房を探り当てたサンラクは地下への基地を発見するが、誘いのメールをガン無視されて苛ついていたウェザエモン討伐メンバー、ペンシルゴンとオイカッツォの目にも止まり、ウサギや猫が言葉を喋る愉快な動物を引き連れたサンラクの前にさりげなく登場する。
そしてサンラクに対して、地獄のお仕置きを浴びせるのだ……。
──ミニドラマ『シャンフロ劇場ミニ』も見逃せない。
本編が終わってから更新されるネット限定のアナザーストーリーだが、たまにリアルタイムでも放送する内容だ。
ミニだけに時間は短いが、番外編のような物語がクセになる。
──この物語は小説家になろうで公開されている同名の作品であるが、小説の刊行よりもアニメ制作の方が先となった異例の異世界ファンタジーでもある。
タイトルのサブに付いた『〜挑まんとす』という題名はコミカライズ版からの名付けであり、このアニメ版は漫画版からの内容で進むというこだわり抜いた内容だ。
──しかしこの作品は比較的、最近のリアルのゲーム市場(VRゲーム)を知らないと難儀な部分も多く、決して万人向けではない。
主人公のサンラクがゲームオタクでもあり、ゲームのアバターでは動きやすいスピード重視にするため、鳥のお面の被り物で半裸という怪しい格好もゴールデン放送さながら問題でもある。
さらに次から次へと新しいスキルを覚えてはモンスター相手に見事に使いこなすのはいいが、一回きりしか使用しないスキルもあり、サンラクによる説明不足な点も残念だ。
確かに原作も面白いのだが、マニアックな路線も多く、初めて触れるライトユーザーやゲームをしない方にもっと分かりやすい内容でも良いのではと感じてしまう。
アニメも第二シーズンに入り、これまでのあらすじがほぼないのも手厳しい。
大ヒットしたアニメ『ソードアートオンライン(SAO)』と似ているようで、鬱な設定や、リアルでのダークな人間関係には掘り下げず、基本VRゲームでクソゲーの知識を活かし、楽しく愉快に無双になるというとことんマニアに詰めた内容。
書店の店員が選んだオススメ本にランクインし、あの講談社漫画賞も受賞したアニメというメディアから化けた代物で、小説は刊行してないにも関わらず、とんでもない形で贈られた異世界ファンタジー。
RPGの売りでもあるバトル描写が激しく見応えがあり、しかも丁寧に描かれており、ゲーム好きな若者に多くの支持を集めている本作。
とりあえず『四の五言わずに黙って見ていろよ』とプレイヤーに訴えてきそうなサンラクの意気込みが伝わってくるだろう。
この作品のお陰で連載しているマガジン雑誌やコミカライズの売り上げもグングンと伸び、今、注目の話題作でもある。
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