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あらすじ:アリーシャが懲りずに
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――朝食のため食堂に向かうと、5人が揃った。
「クウトはこれからどうするの? 私たちはこのまま一緒でも全然大丈夫だけど?」
すぐにエリナが昨日と同じ質問を投げかけてくる。
「特に行く当てもないからよければお願いしたいんだけど、正直まだまだ足手まといだぞ?」
謙遜なんかじゃない。 これは厳然たる事実。 そう思っていた。
「あんたがいると俺らも儲かりそうだし、そんな風に思わなくていいぜ」
しかし、アズラックからは意外な言葉が返ってくる。
「そうですね、未来の主戦力と考えるなら特に問題ないですね」
クレスはどうも頭が回る印象を受ける。 しゃべり方だってよく言えば冷静沈着、悪く言えば親しみの無い冷めた話し方だ。
言葉では受け入れているが、その胸の内は何とも読めないからな。
「クウトくん!外は危ないから私たちと一緒にいたほうが絶対安全だからねっ!」
アリーシャは女の子なんだから少しは隠す努力をしてくれ!下心が見え見えだぞ。
それで俺の方が当面いいとして、一つ気がかりなところがある。
――姫奈と皇帝だ。
王宮に向かってからどうなったのかはすごく気になる。
悠斗の情報も少しでも欲しいな。
俺と同じように転移してきてるなら、おそらくまだこの町にいるはずなんだが…………。
――実は昨日、ギルドに向かうアズラックに頼んで、その辺の情報も集めてもらってた。
しかし、そういった話は聞かないらしい。
俺たちはしばらく一緒のパーティーとして過ごすことになった。
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――それから一週間。俺はエリナたちのパーティの手伝いをしながら過ごした。
エリナに頼み込んで魔法というのも教えてもらった。 意外なことに、クレスも基礎を教えてくれた。 それも実に楽しそうに。 素はこっちで、普段はパーティの頭脳兼ブレーキ役を果たすために冷静さを演じているのかもしれない。
魔法は掴むべきコツがあってなかなか難しいが、優秀な師匠を二人も抱えた俺のこと、それでも4日目ぐらいで習得できた。
やはり近距離で殴りあうより、遠距離から攻撃するほうが安定するので、弓も練習しながら戦術に組み込んでみた。
一週間経った今の俺はこんな感じ。
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阿良々木 空々
【習得スキル】
異世界言語 能力向上+α
ヘイトリアクション(特殊) 所持品収納(中)疲労回復(中) 気力アップ(中)
リサーチ(小)罠回避率(小)回避率(小)
衝撃耐性(中)剣修練(中)武器研磨(小)魔力回復(小)
毒耐性(中)魔法攻撃耐性(中)物理攻撃耐性(中)
火属性耐性(小)水属性耐性(小)風属性耐性(小)土属性耐性(小)
短剣修練Lv1 スタミナLv1 敏捷Lv1
麻痺耐性Lv1 夜目Lv1 スタミナLv1 敏捷Lv1
弓修練Lv2 短剣修練Lv4
気配察知Lv2 回避Lv3 魔力探知Lv1 解体Lv2
火魔法Lv1 風魔法Lv3
スキルポイント残り13
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時折部屋が一緒になることも多かったが、普段はなるべく男女で別れている。
なんでもアズラック曰く、慣れも必要という事で時々部屋のメンバーはローテーションしてるらしい。
ちなみに麻痺耐性は、アリーシャに盛られたことがあった。
あの時は危うく難を逃れたが、近々危ないかもしれない。普通逆じゃね?
そういえば、この間アズラックは、エリナに吹き飛ばされて窓から投げ飛ばされていた。しかも2階の窓から。それで平然として戻ってくるアズラックもすごいが。
それはそうと、だいぶスキルも覚えたし、方針もある程度固まってきた。
少なくとも最初に転移してきたころよりは良く動けるし、そこそこいろんなことができるはずだ。 ただ、スキルポイントがだいぶ余ってしまっている。アクセサリーに頼らなくても、修練を続けるとスキルを取得したりするので、どう使うべきか悩んでしまうのだ。
更に言えば、俺自身の強さが、一体どれぐらいなのかの基準が分からないと来た。
――これって、俺が転移組で一番弱いんじゃないかという疑惑すら出てくる。
エリナは風魔法を使いつつ、回復魔法も使える。剣での立ち回りもシーフみたいで素早く、卒なくこなす。水色の膜みたいなのも見えるが現段階ではよく分かってない。
アズラックは斧をぶんぶん振り回しているし、まさに重戦士的な立ち位置だ。 クレスに至っては魔法のスペシャリストだ。
小柄なアリーシャも大剣を振り回しているかと思えば、先読みをして敵の攻撃を防いだりしている。
さて、俺はどんな道を進むべきか………。
今日も狩りを終え、いつものように街に帰ったらなんだか騒がしい。
騒いでいるのはなんか女性ばっかり連れまわしたパーティのようだが、その中心人物に見覚えがある。
「俺はああああああああああ、選ばれた勇者様なんだあああああああああああああ」
このやたらハイテンションで叫んでるやつは、まぎれもなく一緒に転移してきた
朝倉悠斗《あさくらゆうと》だった。
―――――なんか嫌な予感がするので、俺は逃げようと画策するのであった。
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