「俺が引いたのは、トリガーカードの《キャンプファイヤー》……。これは場には出せない」
「………われながら、ドロー力には驚かざるを得ない……」
輝明のドローは悪かった。が、枝垂も良くない。ドラゴンではあるものの、
「《災害竜グラウンド・ゼロ》……」
「デッキに戻したアレか! こんな盤面では出したくないだろうがな……ドラゴンを引いたのなら、場に出してもらうぜ?」
《パワーオブドロー》の効果は強制。たとえ自分が不利になるカードであろうとも、ドラゴンを引いたのなら場に出さなければならない。
「うぐ……」
だが、《災害竜グラウンド・ゼロ》は場に出た時、他のドラゴンを全て葬り去ってしまう。枝垂は四体のドラゴンを失った。
(やった! 枝垂とドラゴンの絆は深い。だがそれが、墓穴を掘った! 俺も《サラマンフリート・スーパーノヴァ》を失いはしたが、枝垂と比べれば損害は少ない!)
「俺はこれでターンエンド!」
「われのターン……」
枝垂の手札は、《パラノーマル・ディザスター》を含めて五枚。だが新たに災害竜を出せば、《災害竜グラウンド・ゼロ》の効果が発動してしまうので、展開できない。
「とにかく! さっきそなたは《キャンプファイヤー》を引いておったな? それを温存されると厄介じゃ、《災害竜グラウンド・ゼロ》で攻撃! 過ちのファイナル・エアレイド!」
輝明はここで、《キャンプファイヤー》を発動。一度だけ、ダメージを受ける場合、代わりに回復できる。
「ふう、これで二十一点か…? 何とか安全圏まで持ち直したな…。んで、俺のターン!」
引いたのは、《サラマンフリート・インフェルノ》。これを召喚し、直接攻撃する。
「通るか…?」
「《パラノーマル・ディザスター》発動! 《災害竜グラウンド・ゼロ》をデッキに戻し、《災害竜ボルケーノ・エラプション》を場に! そなたに一点のダメージを与える」
ブロックはしない。この攻撃で枝垂の体力は三十点。振り出しに戻った。
(一番出したいであろう《災害竜アース・クエイク》は、エネルギープールに落ちちまってるからな…。それに今、俺には手札がない。そんな状況で《災害竜ロー・プレッシャー》を出しても意味ないし、まあ、妥当か?)
返しの枝垂のターンに移る。
「われは《災害竜タイダル・ウェーブ》を引いた! これを召喚し、一枚ドローと一点のバーン!」
さらに攻撃も行う。《サラマンフリート・インフェルノ》は無視し、《災害竜タイダル・ウェーブ》で直接攻撃。
「……!」
これで回復した分は帳消し。輝明は残り体力、九点。
「俺のターン! ドローカード、《デス・ギフト》! 俺の場のドラゴンを一体破壊し、一枚のドローとエネルギーチャージを行う!」
手札に乏しい輝明からすれば、ドローソースは貴重。そして引く、逆転のキーカードを。
「残った十コストで、発動だ! スペルカード、《レインボー・ファイアワークス》!」
「ここでそれを引いたか!」
コストの合計が相手の場のドラゴンのコストの合計以下になるように、デッキからサラマンフリートを場に出せるカード。枝垂の場のドラゴンの合計コストは、二十。よって二十以下になるようにドラゴンを展開可能。
「ただし、次の俺のスタートステップでそれらは破壊されるが……」
まず壁要員となる、コスト二の《サラマンフリート・スパークス》、コスト四の《サラマンフリート・バーン》とコスト六の《サラマンフリート・フレイム》。そして勝負札、コスト十の《サラマンフリート・パイロキネシス》。
「俺は《サラマンフリート・パイロキネシス》で……」
相手プレイヤーに攻撃するなら、ブロックされない。相手のドラゴンに攻撃するなら、そのバトルの間だけ、バトル相手のドラゴンのコスト分上昇。
「ここは、《災害竜タイダル・ウェーブ》に攻撃だ!」
「待った! 《パラノーマル・ディザスター》の効果発動! 《災害竜ボルケーノ・エラプション》をデッキに戻し、《災害竜ロー・プレッシャー》を場へ! ハンデスは発動しないが、《災害竜タイダル・ウェーブ》の効果で一枚ドローじゃ!」
《パラノーマル・ディザスター》の効果を使えば、《災害竜タイダル・ウェーブ》をデッキに戻しつつ攻撃を直接攻撃にさせることができた。しかしそれでは受けるダメージが変わらない。ならばここはあえて《災害竜タイダル・ウェーブ》を場に残し、新たな災害竜を出すことでドローをする。十点を受けてまで引いたカードは、
「悪くはない…」
輝明はターン終了を宣言し、枝垂のターンが始まる。
「われはコスト八の《災害竜ファイアストーム》を召喚」
このターン、が終われば、輝明の場のドラゴンは全て破壊される。ならば攻める必要はない。が、《災害竜ファイアストーム》で攻撃はしておく。当然、《サラマンフリート・スパークス》にブロックされる。
「これでターンエンドじゃ。が、そなたのドラゴンはスタートステップ時に破壊される…それが《レインボー・ファイアワークス》のデメリット」
「ああ……」
また、輝明の場ががら空きになった。
「でもこれは、逆転のドローだ! コスト三のスペルカード、《火炎の魔法陣》を発動! その効果で相手の場のドラゴンの数プラス一枚、ドローだ!」
計三枚ドロー。ただしこのターン、炎のドラゴンでなければ攻撃は不可能。
「そしてこれが、俺の切り札を復活させるカード…! コストを十支払って、《ドラゴンリベンジ》を発動する!」
それはコストが決まっていないスペルカードで、自分の墓地のドラゴンを一体選んで発動できるカード。選んだドラゴンと同じコストを支払うことになるのだが、そのドラゴンを蘇生させる。
「俺が選ぶのは! コスト十! 《サラマンフリート・ムスプルヘイム》!」
「ここで、《サラマンフリート・ムスプルヘイム》だと…?」
《サラマンフリート・ムスプルヘイム》は、相手のドラゴンとバトルする時、自分の墓地のサラマンフリートの数だけコストを上げる。今、輝明の墓地には十六体のサラマンフリートがいる。
「に、二十六……!」
「もちろん直接攻撃だ!」
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