カード・オブ・ドラゴン

杜都醍醐
杜都醍醐

CARD 49

公開日時: 2020年9月13日(日) 13:00
文字数:2,090

「危ないところだったぜ…。《アベンジドロー》で引いてなければ、大きく体力を失うところだった!」

「ピンチの時に、いいカードを引いたのか。悪運が強い…いや、デッキがお前の思いに応えたんだな……。仕方がない、俺のターンは終了だ…」

「の前に、《リベンジチャンス》を使わせてもらうぜ?」


 その効果により、リュウシはエネルギーチャージを選ぶ。


「そして、オレのターン!」


 引いたカードは、《リヴァイムート・アトランティス》。エネルギープールには既に九枚のカードがあるので、問題なく召喚できる。そして効果を発動し、一枚ドロー。


「……引いたのは、《リヴァイムート・ネプチューン》だ!」

「まさか…!」


 コストを踏み倒して、それを場へ。


「バトルだ輝明! オレはコスト八の《リヴァイムート・アトランティス》で、お前の《サラマンフリート・ステラー》に攻撃!」

「うぬう……」


 これで一点だが、ダメージを与えられた。この時、《サラマンフリート・ブレイズ》の効果が発動し、コストが一上がる。


「まだだ! オレはさらに、お前の《サラマンフリート・バーナー》に《リヴァイムート・ネプチューン》で攻撃!」

「相打ちか……? 待てよ、確か《リヴァイムート・アトランティス》の効果だ!」

「知ってるのか! じゃ、遠慮なくドローさせてもらうぜ?」


 他のリヴァイムートが破壊された場合、《リヴァイムート・アトランティス》の効果で一枚ドローできるのだ。


「ターンエンドだ、輝明!」


 ひたすらドローをしていくリュウシのプレイングに、輝明は何かを感じる。


(もしや、手札の分だけコストが上がる《リヴァイムート・ニヴルヘイム》? 狙っているのか? コストを上げ続ける俺の【サラマンフリート】に対し、意趣返しか?)


 そう考えれば、エネルギーチャージも積極的に行っていたリュウシのプレイにも説明がつく。


(それをさせるわけにはいかない! だが……)


 輝明の手札には、ハンデス系のカードはない。今はそれに備えて盤面を補強するしかないのだ。


「コスト八、《サラマンフリート・ボイラー》を召喚だ」


 自分の他のサラマンフリートが攻撃するたびに、自身のコストを一上げられるドラゴン。だが今、輝明の場の《サラマンフリート・ブレイズ》は疲労状態。ここでその効果は活かせない。そしてそのまま、ターンを終える。


「オレの、ターン!」


 このリュウシのスタートステップ、十枚目のカードがエネルギープールに置かれた。


「オレはコストを十支払って、ドラゴンを召喚するぜ!」

「く、来るのか! もう!」


 リュウシは後攻だったのだが、彼の過剰なまでのエネルギーチャージによって先に、最上級のドラゴンを場に出せる。


(《リヴァイムート・ニヴルヘイム》か? 今のリュウシの手札は、召喚すれば四枚。場でのコストは十四…!)

(コイツを早く出せるかどうかが勝負だったぜ。でも、オレの勝ちだな…!)


 リュウシが召喚したのは、輝明が抱いた危機感ではない方。


「その海に、近づいてはならない。彷徨える魂は、未だ陸地に流れ着くことを知らない。《リヴァイムート・バミューダΔ》!」


 超大型のドラゴンの出現。輝明は驚いている。


(俺の思っていたドラゴンと違う…? これまでにリュウシが使ったことのないドラゴンか!)


《リヴァイムート・アトランティス》の効果で一枚ドローすると、リュウシはそのままターンエンド。相手の場には疲労状態の《サラマンフリート・ブレイズ》がいるが、ブロックできるコスト八の《サラマンフリート・ボイラー》もいる。こちらの攻撃は《リヴァイムート・バミューダΔ》でしか通らないだろうが、ここで攻撃してトリガーカードを踏んだり、疲労状態にしたりも好ましくないので何も仕掛けない。


「俺のターン! ドローしてエネルギーチャージ!」


 ここで輝明は考える。予想していたドラゴンではなかったが、リュウシの顔は自信に満ち溢れている。


(アイツは、エネルギーチャージを何度も行ってまであのドラゴンを召喚した。ということは、アレは勝負できる札ってことだ。だが、攻撃は仕掛けて来なかった。ということは、バトルに関する効果は持っていない!)


 エネルギープールには九枚のカードがあるので、《サラマンフリート・ブリムストーン》を召喚する。


「効果だ! 俺のサラマンフリートを任意の数疲労状態にして……」

「待て! ここでオレは、《リヴァイムート・バミューダΔ》の効果を発動! 手札を一枚捨てることで、相手のドラゴンの攻撃または効果を無効にする!」

「な、何!」


 一枚、墓地に送った。たったこれだけで、《サラマンフリート・ブリムストーン》の効果は不発。しかし疲労状態にするのは発動コストであるので、《サラマンフリート・ブレイズ》は無意味に疲労した状態に。


「……ターンエンドだ…」


 予想外の効果に、恐れおののく輝明。


(俺の【サラマンフリート】は、コストを上げて攻撃しないと勝てない…。どうやってあの、《リヴァイムート・バミューダΔ》を突破する…?)


 できない、と思ってしまったが、その考えをすぐに捨てる。


(できない、じゃない! しないといけないんだ! 諦めるな、俺! 諦めなければ道が自ずと見えてくるはずだ!)

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