今、場と体力を見るに相場がリードしているように見える。しかしそれは大きな間違い。何故ならリュウシのエネルギープールには、次のターンで六枚目が置かれる。コスト六以上のドラゴンは、場に出たターンに攻撃できる。
「俺のターンだ! ドローとエネルギーチャージ!」
これで準備が整った。
「俺はコストを六支払って、《リヴァイムート・レムリア》を召喚!」
「な? コスト六のドラゴン! 既に手札にあったか!」
新たな水のドラゴンである。
「効果で二枚、デッキからドローするぜ!」
その効果は、《リヴァイムート・キャンサー》の上位種。コストが倍なだけあって、引ける枚数も二枚。
「お、おお! 来た来たぜ! オレは今のドローで、《リヴァイムート・ネプチューン》を引いた!」
そのカードを相手に見せるリュウシ。普通なら情報アドバンテージを失うプレイミス。
「馬鹿が! だからどうしたって言うんだ!」
「知らないのか? 《リヴァイムート・ネプチューン》はカード効果でドローされた場合、コストを支払わずに場に出せるんだぜ?」
そのコストは六。普通なら次のターンに出されるであろう大型のドラゴンが、一気に二体並ぶ。
「うおおおお!」
これには相場も驚きを隠せない。
「さ、お前の大好きなアタックステップに入るぜ! まずはアタッカーを除去させてもらおう! オレは《リヴァイムート・レムリア》で《ドラゴニュート・ランス》を攻撃!」
相場はこの攻撃を《ドラゴニュート・ハンマー》で防ぐこともできるが、そうすると戦力が極端に落ちる。
「コイツめ…!」
ブロックしなかったので、普通の戦闘が行われる。効果によって相場の《ドラゴニュート・ランス》のコストは四になっているが、それでも《リヴァイムート・レムリア》には届かない。この戦闘で生じたコストの差は、そのままプレイヤーの体力から引かれる。相場に二点のダメージである。
「クソが!」
「まだだ! オレは《リヴァイムート・ネプチューン》で《ドラゴニュート・サーベル》に攻撃!」
これも相場は防がない。よって四点のダメージを受けた。相場、わずか一ターンでドラゴンを二体失い、そして残り体力は二十四点まで下がる。
「だがな、調子に乗るなよお前! 俺は手札からトリガーカード、《ウェポンリクルート》を発動する!」
「何!」
そのカードはコストは三だが、発動条件として自分の場にドラゴニュートが一体でもいなければいけない。
「その効果で…俺はこのターンに受けたダメージ以下のコストを持つドラゴニュートを一体、デッキから場に出す! 来い、《ドラゴニュート・シールド》!」
コスト五のドラゴンを相場はデッキから出した。
「コイツはアタックできないが、疲労状態でもブロックできるんだ。コストはお前のドラゴンに負けているが、バトルする時だけ俺の《ドラゴニュート・ハンマー》の効果で倍の十になる…。これでお前の攻撃は封じた!」
「………」
リュウシは無言でターン終了を示唆する。
「俺のターンと共に反撃が始まる! 怯えろ、リュウシ!」
相場はドローしエネルギーチャージも済ませると、一体のドラゴンを場に繰り出した。
「出て来い、《ドラゴニュート・アロー》!」
コストは四のそのドラゴンを出した相場の表情は妙に自信ありげだ。
「いいかリュウシ…。《ドラゴニュート・アロー》はブロックされねえ」
「何……? そうか!」
その一言で、リュウシは事態を把握。
次のターン、確実に《ドラゴニュート・アロー》はリュウシに直接攻撃をしてくる。ブロックできないので四点体力を削られる。攻撃して撃破しようにも、相場の場には疲労状態でもブロックできる《ドラゴニュート・シールド》が。そしてそのブロック時、コストは《ドラゴニュート・ハンマー》の効果で倍増する。
「これでは攻撃しても! 相場にも《ドラゴニュート・アロー》にも届かない! クソ、苦戦する……」
「する、んじゃない。してる、んだ。お前はもう、俺の黄金パターンにハマった! 二体のドラゴンを一ターンで繰り出してきたのは驚いたが、逆に《ウェポンリクルート》を使えたので良しとしよう! では料理はこれから…」
そのままターン終了。リュウシのターンが始まり、ドローしてエネルギーチャージ。
(駄目か…。オレの手札にはこの現状を打開できるカードはない…)
この時にリュウシがドローしたのは、コスト七の《リヴァイムート・ニライカナイ》。戦闘で相手のドラゴンを破壊した場合、そのドラゴンのコストの分だけドローできる強力なカードである。しかし今攻撃しても必ずコストの倍増した《ドラゴニュート・シールド》に防がれて無駄死にである。
「………《リヴァイムート・キャンサー》を召喚して、その効果でドロー。このままターンエンドだ…」
「フフフ、エンド宣言をしたな? では俺のターンが始まる!」
スタートステップを済ませると相場は容赦しない。
「まずはコストを四支払って、《ドラゴニュート・トンファー》を召喚!」
相場の場のドラゴンが増える。
「そして、アタックステップ! 俺はもちろん《ドラゴニュート・アロー》でお前に直接攻撃だ! これはブロックできねえぞ、おぅい!」
「クソ…!」
今の一撃で、リュウシの体力は二十四点。相場と並んだ。
「《ドラゴニュート・シールド》は自分の効果で、《ドラゴニュート・トンファー》は出たばかりで攻撃できねえから、これで俺のターンは終わりだ」
相場は、一体でしか攻撃をしなかった。《ドラゴニュート・ハンマー》は自分の効果の恩恵を受けられないためである。
「まだだ! オレのターン!」
ここでリュウシ、スペルカードを引く。それは《アクアブースト》。自分の水のドラゴン一体を墓地に送り、そのコストを他のドラゴンに加算するカードである。そしてブロックされても相手にダメージを与えられる一枚。
(しまった! 前のターンに《リヴァイムート・ニライカナイ》を出しておけば…!)
ここでようやく、リュウシはそれを召喚する。
「いくら大型ドラゴンが並んでも、もう怖くはねえな! 決まったんだからよ!」
ターンは相場に移る。
「じゃ、俺は再び《ドラゴニュート・アロー》で攻撃だ! くらいな!」
もう、残り体力は二十点。初期値の三分の二である。
「……今、オレはダメージを受けたよな?」
「ああ?」
リュウシは手札のトリガーカードを相場に見せた。
「こ、コイツ…! 《ディープストライク》なんて隠し持ってやがったのか!」
「おいおい、相場! オレの表情に惑わされたな?」
さっきまでの感情の起伏は、リュウシの作戦であった。確実に自分のトリガーカードを発動するため、相場に警戒心を持たせないための、演技。
「効果を知っている様子だな、相場!」
コストは六と高めだが、今のリュウシのエネルギープールにはカードが八枚存在している。
「じゃあ、オレが選んだドラゴンには、お前の手札に退場してもらうぜ! もちろん選ぶのは……」
このカードの効果は、バウンス。相手のカードを手札に戻す、その場しのぎの一手である。だがそこで生じた隙に、一気に攻め込める。
「《ドラゴニュート・ハンマー》だ!」
「このガキめが…!」
相場は悪態を吐きながら、それを手札に戻した。
(チッ! 盤面が乱れちまった! だが………)
このまま相場はターンを終了する。
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